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何かの代償

酔っ払って朝、僕は眼鏡を無くした事に気付く

眼鏡か、と僕は思う
眼鏡は惜しいけど、また買えばいい
もっと大切なものを失うよりは、ましだよね

その日の夜、自転車で転んで膝を痛める

膝ですか、と僕はつぶやく
膝で良かったと、思うべきなんだろうな
膝は痛いけど、歩けることは歩ける
きっと僕は何を失う代わりに膝を痛めたんだろう
そう思えば僕はラッキーだ

違う日の朝、鏡を見るとまた髪がなくなっている

いいですよ、と僕は言う
髪ならば差し出しましょう
(嫌だけど)
それが何かの代わりなら、いいです

だから、と僕は誰かに願う
僕にとってかけがえのないことや人
それは勘弁してもらえますか

眼鏡も膝も髪もあげます
だから

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