どう書く京大理系国語2現代文2018

2018京都大学理系二 現代文(随筆・約1800字)30分
【筆者】湯川秀樹(ゆかわ・ひでき)
1907~1981年。東京府生まれ。理論物理学者。1歳の時に父の京大教授就任に伴い、京都市に移住。京大理学部物理学科卒。京大・阪大名誉教授。1943年、文化勲章受章。1949年、日本人として初めてノーベル賞(物理学賞)を受賞。
【出典】「科学と哲学のつながり」。『湯川秀樹 詩と科学』(平凡社2017年)所収。
【解答例】
問一「科学と文学との境目は、もはやはっきりとはきめられない」のように筆者が考えるのはなぜか、説明せよ。(3行=90~120字)
★文学が忠実に表現する個人的体験も、その中から引き出され客観化された多くの事実を相互に比較することで共通性ないし差違が見出され、法則の定立に発展する可能性があれば、科学の対象として価値を持ち得るから。(99字)

問二「芸術的価値の本質は、つねに科学の網によって捕えられないところにしか見出されない」のように筆者が考えるのはなぜか、説明せよ。(2行=60~80字)
★私たちの生き生きとした体験に含まれている絶対的なものは、科学の発達に伴う抽象化の過程の途中で脱落してしまうことを免れないから。(63字)
問三「科学の宿命」とは何か、筆者の考える「科学」の本質を明らかにしつつ説明せよ。(4行=120~160字)
★科学の本質は、事実の確認と、諸事実の間の関連を表す法則の定立にある。科学が自己発展を続けてゆくためには、その出発点において、またその途中において、故意に、もしくは気がつかずに、人間のさまざまな活動の中にある貴重な芸術的価値の多くを捨象するほかなかったということ。(133字)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?