ベネチアを網羅する弾丸一人旅行二泊三日
ミラノ留学中にベネチアに二泊三日一人旅を敢行。時期は一月から二月ごろ。ベネチアの閑散期に名所を駆け巡ります。ベネチアは小さい街なので、徒歩でほとんどを移動できます。
初日
移動
早朝ミラノチェントラーレ駅から、ベネチアサンタルチア駅まで列車で移動。Italoを使うのは初めてでしたが、非常に清潔でシートも快適でした。遅延もありませんでした。往復で44€ほどだったと記憶しています。チケットは事前にOmioから予約しました。
ドゥカーレ宮殿
ベネチアに上陸してからすぐドゥカーレ宮殿まで徒歩で移動。閑散期であまり人込みはありませんでした。ベネチアの戦争を描いた巨大な壁画に圧倒されました。学生割引をもらうことができました。中にはワードローブがあり、リュックを預けることができました。ホテルチェックイン前なので助かる。
宮殿のチケットには、ベネチアが昔牢屋として使っていた棟の見学も含まれており、ため息橋の中もわたることができました。
ベネチアの守護聖人である聖マルコの名前が付けられています。彼のシンボルでもある羽のあるライオンの紋章は町中で見ることができます。そびえたつ鐘楼は工事中で見学できませんでした。
コッレール美術館
イタリアの彫刻がお出迎え。海運で栄えたベネチアの歴史を、イスラム世界やアジアから購入した品々から感じ取ることができます。宗教画などのコレクションも豊富です。
夕焼けを見ながら散歩
そうこうしているうちに日が暮れてきました。
遠回りをして、名所を見ながらホテルに向かいました。
二日目
船でムラーノ島へ
朝から水上バスを使って、ムラーノ島の博物館に向かいます。ベネチアから離れた島に、ベネチアングラスの職人の工房が集中しています。この日だけ水上バスの一日券を購入。移動にかかる時間と体力をセーブします。
ムラーノ島は歩道も広く、時間の流れがゆったりしていました。博物館がどこかわからず道に迷いましたが、いい散歩になりました。
ムラーノガラス美術館
ムラーノ島のガラスは、ベネチアの産業の重要な一部でした。非常にレベルの高い作品を見ることができた一方、数あるベネチアの美術館の中であまり優先度は高くないかと思います。ドゥカーレ宮殿内部でも、非常に優れたムラーノ製のシャンデリアを見ることができます。
ビエンナーレを目指すが….
ムラーノを後にし、水上バスでビエンナーレに向かいました。二年に一度の芸術祭ビエンナーレのコレクションを保管している美術館があります。さんざん入り口をさがしてもわからず、結局人に聞いてみると今の時期は展示入れ替えで閉館中。次回絶対に来ると決意し次へ向かいます。
乗る水上バスを間違えたことに気づき、結局歩くことにしました。
結局デッラサルーテの隣で降りました。目的地からは反対方向。
パラッツォ コンタリーニ デル ボボロ
螺旋階段が美しい隠れ名所です。なかには小さなギャラリーもあります。目の前まで来て、中に入らずに帰っていく人を多く見ましたが、上まで登るべきです。
運動不足で息が上がってしまいました。遠くにサンマルコ聖堂が見えました。ベネチアの海風を感じ、しばし休憩です。
お昼ご飯を探しながらリアルト橋をわたり、次の目的地へ
フォンダコ デイ テデスキ
リアルト橋のすぐ隣にある、高級ブランドがならぶ百貨店です。内部のデザインが凝っており見ごたえがあります。上にテラスがあるらしかったのですが、しばらく探してどこにあるのかわからず怖気づいて逃げました。
カ ドーロ
内部にギャラリーがあると聞き、来てみたのですが入り口がわからず断念。すぐ隣の水上バスの桟橋から、有名な建築を拝みました。そのまま船で次に移動します。移動中、ひょっとしたらあれが入り口だったのかな?と気づきましたが、船はもう岸を離れていました。
カ・ペーザロ国際近代美術館/オリエンタル美術館併設
あまりこの美術館には期待していませんでしたが、ロダンの考える人が展示されており驚きました。コレクションには力を入れているようです。
良くも悪くも、考える人は本物が日本にもありますから、ベネチア旅行における優先度は高くないかもしれません。
ここで人生で初めてアドルフォ ヴィルトという彫刻家の作品を見ました。この不思議な雰囲気に一目ぼれしました。日本おろかイタリアでも知名度はあまり高くないようですが、カ ペーザロのキュレーターのお眼鏡にかなう手腕を認められているようです。その場ですぐにスマホで名前を検索し、彼はミラノ出身でミラノにも作品があることを知ります。ミラノ帰宅後に必ず見に行くと決意し、またすぐ移動を開始です。
美術館の中も素敵でした。同じ建物に東洋との交易で得たコレクションを展示しているオリエンタル美術館があり、甲冑や日本刀をたくさん見ることができます。日本に興味のあるイタリア人にとっては、イタリア国内で日本文化を見学できる数少ない美術館なのかもしれません。品々には徳川の紋がたくさんありました。これはベネチアが東洋との取引を活発に行い始めた年代と合致します。わたしは写真すら取らず、さっと見てすぐに出ました。
ベネチアはどこを歩いても美しく飽きません。日が傾き始めたので急ぎます。この写真で、イタリア留学開始後1万枚目の写真でした。
サンマルコ聖堂
ベネチアの中心的存在のサンマルコ聖堂ですが、建築様式はほかのイタリアの聖堂と大きく異なります。どちらかといえば、モスクの構造に似ていると思いました。内部への入場は安かったのですが、この二階部分の博物館とベランダ部分の入場券は別で、入場料より高額でした。ベネチアが昔コンスタンティノープルから獲得した四頭の馬の像を見学できます。博物館の内容は非常に少ないですが……
ベランダからの眺めはその料金の価値がありました。サンマルコの二階部分から、L字に広がるサンマルコ広場を一望できます。二つの広場がつながるポイントにサンマルコ聖堂が立っているのです。これは空間設計がよくできているなと思います。
反対側にコッレール美術館が見えます。ちょうどこの時期にカルニバーレが控えていたので、その準備の資材が積まれていました。もう日が暮れてきました。もう疲れたので、ホテルに帰ることにします。と言いたいところですが、まだ一件行くところがあります。
リブレリア アクア アルタ
記念撮影がたくさん楽しめる観光地化した本屋といえば、聞こえは悪いかもしれませんが、それでも素敵なものは素敵なのです。けっして広々とした店内ではありませんが、イタリア語の古本なども充実しています。このお店の記念エコバッグなどおすすめ。
ベネチアのバンクシー(夜)
ベネチアビエンナーレのときにバンクシーが残したそうです。日が完全に暮れてから前を通ったので、肉眼では全く見えませんでした。ネットの情報を頼りに、書かれていると思われる方向にシャッターを切りました。翌日帰宅前に明るいときに見直したいです。
スクオーラ・グランデ・ディ・サン・ロッコ(外観のみ)
こちらも美術館です。行きたかったのですが、時間が足りず間に合いませんでした。次回ベネチアに来ることがあればトライしたいです。
ホテル帰宅
ベネチアの路地は奥に吸い込まれそうな不思議な感覚があります。洗濯物をそとに干している家庭もちらほら。一方で、これは住みにくいだろうなと思ってしまいます。
警察官が見回りをしているのを見かけました。観光都市として忙しい日常とは一歩はなれた、ベネチアの貴重な一面を垣間見た気がします。
三日目
ヴィットーリオ・コスタンティーニ氏のガラス工房
早一番で、ヴィットーリオ氏のガラス工房に向かいました。ヴィットーリオ氏の作るガラス細工はベネチア最高峰ではないでしょうか。気さくな方で、日本のことや昆虫のことを教えてくれました。日本の昆虫図鑑を作品制作の見本にしているそうです。現在では、作品のほとんどは非売品のコレクションとしてこの工房や一部の博物館に展示されています。
一番の力作を奥から持ってきて見せていただけました。細かい部分までよくできています。とてもガラス製だとは思えない。輪郭や突起がシャープで、ガラス特有の透明感を非常にうまく利用した自然な発色です。
彼自身の作品はなかなか手が出なかったので、展示されていた彼のお孫さん作の作品を購入しました。お孫さんもさすがかなり技術が高い。露店で売られていたガラス細工よりも色や造形が凝っています。小樽の博物館にヴィットーリオ氏の作品があるそうです。日本にいながらでも彼の技巧を見ることができます。
アカデミア美術館
ベネチア派の絵画が自慢の美術館です。展示されている絵画のほとんどは宗教画ですが、少し像もありました。あまり宗教画には明るくないのですが、素人目に見ても描写力の高い絵画には満足感がありました。イタリアの芸術史を理解するには宗教画の理解がかかせないのではと焦りを覚えつつ、次に移動しました。
ペギーグッゲンハイムコレクション
これまた入り口がわかりにくいところにありました。やはりベネチアの表玄関は運河側で、通用口が歩道に面しているからなのでしょう。ペギーグッゲンハイムと親しかったデュシャンの作品が多く展示されていました。モダンアートの有名どころは軒並み網羅されています。中庭にある作品には日本人の名前も。個人的にはミラノ未来派のウンベルトボッチョーニの立体作品があったのがお気に入りです。写真はあまりとりませんでしたが、かわりに英語版の図録を購入しました。
ガーデンは運河に面しており、絶景が見どころです。資産家の別荘として使われた屋敷も、美術館として完璧に機能しています。時間がありませんので次の目的地に急ぎます。
ベネチア海洋史博物館
ベネチアといえば海運です。ベネチアの船について勉強したいと思い訪れました。ほかに外国人家族が来ていただけで、それ以外には僕しかいませんでした。人気がないのは悲しいですが、展示物の量はかなり多く見ごたえがありました。
今は閉鎖されており入り口の門しか見ることはできませんが、昔はアルセナーレの中で船がたくさん作られていました。興味深いのは、水路が白で、陸地に斜線が入っていることです。なので、一見するとどこが陸地なのかわかりにくくなっています。船目線での図面になっているのでしょう。
現代の船についてもたくさんの模型で勉強できます。また、乗組員の制服なども展示されていました。
北西部を散歩
急ぎすぎた結果、時間を余らしてしましました。ベネチア北西部のエリアをあまり歩いていなかったので、この時間で探検してみます。
サンタルチア駅からパドヴァまでのびる道路が水平線に消えていきます。行きかう電車が水面を滑っていくのはなんとも不思議な光景です。
観光地ベネチアも端のほうまで行けば、のどかな雰囲気が漂い始めます。
鳥もかっこいいですね。まだ時間が余っているので、少し南に歩いてバンクシーリベンジします。
ベネチアのバンクシー(昼)
想像通りの感じでした。数枚写真をとって満足したので、そろそろ駅に向かいます。
ミラノへ帰宅
疲れ切ったからだをもたげて、電車に余裕をもって乗車。無事帰宅しました。
まとめ
感想
今回の博物館は10件前後でしょうか。まあ、もっと頑張れたかもしれません。ビエンナーレに行けなかったのが悔しいのでまたトライしたいところです。ベネチアは夢のような場所でした。三日ですっかり土地勘もできてしまい、居心地がよくなってしまいました。
おすすめの名所
・ヴィットーリオ・コスタンティーニ氏のガラス工房
・カペーザロ国際近代美術館
・パラッツォ コンタリーニ デル ボボロ
・ドゥカーレ宮殿
・サンマルコ聖堂
でしょうか。ベネチアで美術館をスキップする人は多いと思いますが、余裕があればよってみても面白いですよ。
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