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香港に着目する理由

海外の市場を理解しようと、色んな国を訪問してはリサーチしています。今日は香港についてお話します。

香港と言えば、ニュースで民主化デモが話題です。ぼくもたまたま今年6月に出張した時に大規模なデモに遭遇しました。駅や橋が封鎖され、移動もままならない状況に。一方でビジネス街は至って普通で、そのギャップに驚きました。

ブレードランナーの世界観

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香港に行ったことのある方なら分かると思いますが、とても狭い土地に細長いビルが隙間なくひしめき合っています。
余談ですが、ぼくはこの香港の街並みが大好きなんです。行った時にちょうど雨が降っていたので、まさにシド・ミードが描いたブレードランナーの世界観でした。

なぜ「ブレードランナー」は不朽の名作といわれるのか?


香港の構造

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香港の人口は720万人で面積は1,100km2。1人あたりGDPは48,450USDと日本の1.2倍なので、日本より豊かなのかなと思いきや、貧富の差を示すジニ係数(0に近い程貧富の差が少ない)は53.3%で、38.1%の日本より格差が大きい

確かに身なりの良い人と、貧しい人の差が日本より激しく感じます。

国の所得格差順リスト - Wikipedia


世界一高い家賃

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実際に生活されてる方が口を揃えて言う不満は家賃の高さ。香港の不動産価格は世界一と言われています。なんと住宅の平均価格が1億3,830万円。平均ですよ。

香港の平均住宅価格1.4億円、家賃31万円 | 香港BSニュース

家族で2LDKに住もうとすると家賃が30万円以上します。共働きしながらメイドやベビーシッターを雇うと、働いてもお金が貯まらない構造なんです。
過熱する不動産は生活者にとっては過酷ですが、投資家にとっては好都合で、まさにピケティの言う資本収益率が国民所得の成長率を上回る「r>g」の構造です。

同じように家賃の高い都市といえばロンドンやシリコンバレーを思い浮かべます。実際この2都市でも問題になってるのですが、いざとなったら他の都市に引っ越すことができます。しかし、香港は国土が狭く、引っ越すという選択肢がとれないのです。

更に香港は昨年、お隣中国の都市シンセンにGDPで追い抜かれてしまいました。ずっとリードしてきた香港人にとってショッキングなニュースだったと想像します。

深圳GDP初めて香港抜く :日本経済新聞


身を置き換えて考えてみる

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今回の民主化デモには、こうした将来への不安が少なからず原動力になっているように感じられます。また、個人だけでなく法人も高騰する固定費と戦わなくてはなりません。法人が傾くと給料が厳しくなるため、ますます個人の生活が窮する負の連鎖が起きます。

企業にとって生産性を高めることは生き残りのための必須条件になり、同時に差別化や付加価値向上で売上を増やさなくてはなりません。香港はとても特殊な状況ではありますが、ぼくは企業の生産性を高めるSaaSを提供する立場として、その中で企業がどう変革していくのかに着目しています。

(Photo 2018.6に香港で撮影)


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