「倉敷中央斎場」
およそ40年前に建てられた「倉敷中央斎場」に行ってきました。
小高い山々に囲まれ、静かな空気が流れていました。
5年前にスウェーデンの森の墓地「Skogskyrkogården」に訪れた時のような静かな空気でした。
ここでいう静かな空気とは、音が無いわけではありません。鳥のさえずりや木の葉の擦れる音、穏やかな光の波長が優しい協奏曲のように調和しながら、その場所に溶け込んでいます。
ただ、やはり残念だったのは、このメインの斎場の正面に大きな増築が行われるため、正面の庭は跡形もなく解体され、真っ白な仮囲いに覆われていました。
今回訪れた理由も、増築棟が建つ前に見ておきたいと思ったため。
老朽化と設備拡充のため、やむ無しとはいえ、計画案を見る限り、既存建物の良さを消してしまうように思います。
ところで、この地に訪れ、建物の外観が見えてくると、シンメトリーで遺跡のような重厚感のある雰囲気を感じるかと思います。
しかし、徐々に近づき礼拝室に入ると、いつの間にか柔らかな空気に包まれているのに気付かされます。
生と死が向き合う場所をシンボリックに表現しつつも、結局は人間も自然の摂理の中にいる儚い存在なのだと感じさせられる、私たちを包み込む器の大きな建物だと思います。
なぜでしょうか。
死者の空間の隣で、ベンチに座ってスケッチをしている時。
そこには静かで穏やかな感覚がありました。
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