#3 『文化人類学の思考法』 で思考のギアアップ
この本は13名の文化人類学者による共著となります。文化人類学的な考え方を分かりやすくまとめてくれています。この本を通じて私が学んだ(メモした箇所)の一部を書き出してみます。
ワグナーは参与観察やフィールドワークにより他文化を知ろうとするプロセスの中で、研究者自身の"自文化"を発見すると指摘しています。"自文化"がなければ相対的に比較する"他文化"を認識する事も出来ず、"他文化"に飲み込まれてしまう。文化人類学者は"自文化"と"他文化"の世界を自由に行き来できる必要性があると主張しているのだと思います。
モノと芸術 ー 人はなぜ美しさを感じるのか
(作:渡辺 文)
これはとても面白い(私が好きな)視点です。
ある面白い事例が紹介されています。2016年の5月にサンフランシスコ現代美術館の床の上に、突如なんの変哲もないメガネが無作為に配置されました。美術館を訪れる人びとはそこにあるものには「芸術的な価値」が存在するものだと連想するでしょう。人びとはなんとか作品の意味を理解しようと、もがく様子を多くのメディアが伝え、話題になったそうです。
後からわかったことは、これは二人の若者による"イタズラ"だったという事です。社会実験といって良い、面白い試みだと思います。
この行為により、言葉で定義されてきた芸術とモノの境界線が崩れました。
子どもと大人 ー 私たちの来し方、行く先を見つめなおす
(作:高田 明)
私の興味分野である「教育人類学」にヒントを与えてくれた寄稿文です。私自身小学3年生と1年生(2023年時点)の2人の男の子どもがいます。家族とはいえ、私は群馬の田舎生まれ、彼らは東京の都会生まれです。そしてインターネットが普及したのは私が大学生の頃で、彼らは生まれた時からインターネットへ接続している。姓や遺伝子の一部を共有しているということ以外、価値観は異なる人間だと考えます。
極端な例を引用してみます。
今私たちが生きている時代では考えられない悪行ですが、当時の時代背景や社会構造を考えるとそれは悪意を持って行われていた訳ではなく、当時の常識だった事が想像できます。
19世紀に入るとイマと近い家族感が形成されます。
そして、今を生きる我々にとってはまた新しい子どもと大人の関係性が構築されつつあります。少子化、国際化、ダイバーシティー、インクルージョン、母子家庭、選挙権年齢の引き下げ などなど。様々な点で子どもと大人の境界線が変わろうとしている。
そんな中、子どもの「教育」を「文化人類学」的に紐解く「教育人類学」の重要性が高まる事が考えられます。
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