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何の変哲もないアメリカのサラリーマン生活

サンフランシスコにあるPokemon Goの開発元のNiantic, Incに転職して、1年が経ちました。日本で働いていたときは、アメリカを特別視していて、アメリカに来ればITビジネスで成功する秘訣が身につけられるんじゃないかと思っていました。ところが、アメリカで働き始めて1年が過ぎて、自分の心境の変化を振り返ってみると、アメリカだからといってなんら特別なことはない、「ただ生きていく上で大切なこと」を学んだことに気づかされました。

今回は、僕がアメリカで学んだ3つの“大切なこと”についてお話しようと思います。*所属組織の意見ではなく、私個人の意見です。

信頼貯金を貯めていく

2017年8月にアメリカに移ったのでもう2年半が経ちますが、英語にはいつも苦労します。残念ながら、「いつか英語が流暢に喋れるだろうな」と子どもの頃に抱えていた甘い期待は一向に叶いません。それでも仕事をしていれば、自分の専門知識で他の人を助けられる機会がありますし、逆に、自分が苦戦しているときに助けてもらうこともあります。

例えば、白熱した議論では英語のスピードも早くて聴くのが精一杯になってしまうのですが、いつも一緒に仕事をする人が、「Tatsuyaはどう思うの?」と議論を止めて発言する機会を作ってくれるんです。いつも人に優しく丁寧に接することで信頼貯金を貯めて、自分が苦手なことは他の人に頼ろうと思うようになりました。

大いなる力には、大いなる責任が伴う

日本で働いていたときに、いつももう少し自分で決められることが多いといいなと思っていました。自分はこういう風にプロジェクトを進めたいと思って企画資料をつくっても、打ち合わせで全く違った方向に進んでしまい、無力感を感じることがあったからです。

ところが、今の会社では自分で決められることが増えた反面、決めることへの重圧を感じるようになりました。僕の技術的な決定が世界中のユーザーさんに影響を与える、それはとてもやりがいのある仕事ですが、責任の大きさを感じています。1年働いた今でも、商用サービスに変更を加えるときは胃がキリキリしています。まさに、スパイダーマンの名台詞「With great power comes great responsibility. (大いなる力には、大いなる責任が伴う)」。自分で決められることはタダでは手に入らないと学びました。

打席に立ち続ける

アメリカといえば、GoogleやAmazonなど成功したIT企業のイメージばかり先行しますが、消えていったスタートアップの話を聞く機会も多いです。どんな企業も成功する未来を描いて始まるわけですが、様々な理由で、その通りにはいかなかったのでしょう。未来を予測できないというのは僕らが持っている公平性です。

その前提のうえで、僕らエンジニアにできることは、いち早くサービスをユーザーさんに届けて、一緒に改善していくことだと思っています。論理的思考や経験則は役に立ちますが、最大の学びは使ってもらえることでこそ得られると思います。新しい機能をリリースすることで、ネガティブなご意見をいただいて落ち込むこともありますが、勇気をもって打席に立ち続けていきたいと思います。


以上が、サンフランシスコで1年働いてきた僕が今大切にしている価値観です。IT先進国のアメリカといってもこんなものか、日本にいたときの僕が読んだら、そう思うのかもしれませんね。


Photo by Corey Agopian on Unsplash