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初仕事の話②

の続きです。エキストラにご興味をお持ちの方など気になる方は読んでいただける嬉しいです。

ついに始まる

何もかも初めての僕にとって、周りの人達は「手練れ」に見える。
靴を脱いでサンダルに履き替える人、長時間の待ち時間に対応できるように簡易枕を持参している人、場面ごとに違う人を演じられるように(あくまでもエキストラとしてね)着替えを何着も持ってきている人など。
すごいなぁと感心していると、お呼びがかかり、撮影現場に移動しました。

カメラマンさん、照明さん、大道具さん、小道具さん、監督さんに助監督さんなどたくさんのスタッフの方がいらっしゃいました。今回はレストランでのロケでした。

場面説明

「これからこんな流れでみなさんには演技していただきまーす」
とADさんから説明があります。台本などは有りませんので、大まかな流れを聞いて、こんな感じでお願いします的な簡単なものです。
とはいえ、演技なんて勉強したことないですし、即興でその場で居た人達と組み合わせ(今回は親子役)を決められて、「はい、スタート」です。

今回の場面を簡単に説明すると、梅田のレストランで食事中に大きな地震(南海トラフ地震)が発生。

  1. 梅田の屋上レストランで食事中に南海トラフ地震が発生

  2. 屋上から非常階段を使って避難

  3. 津波に襲われビルの中で立ち往生

という流れ。
細かい場面設定は現場で作り上げられていくもと、この時知りました。
僕と奥さん役の人、息子役の人と話し合って、「就職祝いに来た家族」という設定にして、できるだけ不自然ではないように笑顔で会話をしながら、運ばれてきた食事を食べるということをしました。
この時の食事はちゃんと用意されてて、食べることもできました。
もちろん、全部を平らげるなんてできませんでしたけど 笑
ドラマのメインの役者さんが演技をされているところとはだいぶ離れていたので、特に緊張することもないし、映り込むこともないだろうと楽しんでました。これを何度も繰り返します。

そして、地震のシーン。これが大変でした 汗
実際に地震が起きたわけではないのに、大地震が来た!ビルが揺れてる!
っていう演技をしないといけないわけです。
スタッフさんたちがテーブルを大きく動かしたりしている中、大きな揺れでも大切な奥さんをしっかりと掴んで守るという演技を何度もしました。
それはテレビでもちゃんと映ってまして、それがこの記事のトップ画像 笑
結構ガッツリ映ってたみたいで、僕が「エキストラで出演してる」と伝えてなかった人からも連絡きて、逆にこっちがびっくりしました 笑
これが僕のドラマデビューです。

このシーンだけで2時間近く費やしたと思います。
この日の撮影終了予定は、翌日の午前5時ごろだと聞いていたので、まだまだ先は長いなぁと思いながら、興奮からか全く睡魔に襲われずにいました。

この次が、非常階段を大人数で降りるシーンの撮影。
降りる途中も余震でビルが揺れる、という演技をしつつ階段を降りていきます。この撮影のタイミングから「エキストラボランティア」なる人達が合流しました。エキストラの上にボランティア??はて?ってなってたんですが、世の中には無料でも映画やドラマに出たい!推しの出るシーンに出たい!という人達が世間には多くいらっしゃるようで、そういう人達専門に情報を提供するサイトやコミュニティがあるようです。
僕らとの明確な違いは「ギャラが発生する・しない」というだけ。
なので、エキストラボランティアの人たちは、なんとか映り込もうと必死で、その勢いがすごくて、早くこのシーン終わってくれへんかなぁと思いました。

最後は、梅田に大津波が押し寄せてくるシーン。
これも本当は津波が来ていないのに押し寄せてきている、その状況に絶望しているという演技をしなくてはならず、ワケワカラン状態で演技しました。
中には、絶叫の演技や嗚咽の演技をスタッフさんにも灯られる人も居て、すごいなぁと感心してました。

テレビでは映らない裏側のリアル

空が白み始めた頃、最初の集合場所に戻らされて、撮影終了まで待ち。
なんとここでロケ弁登場!!人生初ロケ弁に興奮しました。
その日は撮影が押したこともあり、朝の軽食も用意してくれていました。
と、こんな感じの撮影に参加した人しかわからないリアルの部分、
といっても僕が気づいたことだけですが、書いてみます。

役者さんやスタッフさんは優しい

なんかコントなんかで見てるとメインの役者さんだったり、スタッフさんは厳しかったり、偉そうにしてるイメージがありますが、実際は皆さん本当に紳士的で優しくて怒鳴り声なんてどこからもしてませんでした。

セットには慎重

舞台セットにはめちゃくちゃシビア。
何度も撮り直しがあった場合には、モニターを確認して、小道具さんたちが前映像を元にセットを戻していく。放送された時に視聴者が違和感を持つからだと言うことですが、ミリ単位でされているのにはさすがに驚きました。

拘束時間が長い/待ち時間が長い

特にロケになるとそうなのかもですが、とにかく無駄に時間が長い。
恐らくギャラは時給ではないので、時間が長くなればなるほど時給が安くなっていく・・・。エキストラでは食べていけないなぁと思いました 笑

エキストラにも常連さんが

すでにスタッフさんに名前を覚えられているエキストラの方もいらっしゃって、普通に挨拶や世間話をしてて、その方たちはシーンの中でも衣装があったり、カメラに抜かれたりしてて、「あーそうやってアピールしないといけないんやなぁ」と感心しました。

必ず映るとは限らない

そして、こんなに長時間の拘束での撮影にも関わらず、本放送を観たら、ガッツリ自分が映っているシーンが編集でカットされているということ。エキストラボランティアが増えた非常階段でのシーン、津波が押し寄せるシーンはすべて全カット!!これは、テレビに映りたい人達には精神的にキツイな、と思いました。僕なんかは、初仕事でガッツリ映ったんで、ビギナーズラックだったんでしょう。

ギャラは安い 笑

当たり前の話。芸能の世界は厳しいなぁと改めて知りました。

初仕事を終えて

良い経験でした。テレビに映ったのも 笑
この後、もう一度この国営放送局の連続テレビ小説のエキストラの仕事をしたわけですが、こちらは少し余裕が出て楽しむことができました。
こちらの話は、また機会やリクエストがあれば書きます。
長文にお付き合いいただきありがとうございました!!


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