放射能は懐中電灯に例えられる
こんばんは。
五十嵐です。
前回までは放射線について解説しました。
今回は放射能について解説します。
意外と放射線と放射能を混同して使いがちな記事だったりを見かけることが多いので、自分の復習の意味も込めて書きます。
↓↓僕が原子力を知るシリーズを書く理由は、以下の記事で綴っています↓↓
1.放射能ってなんだろう?
過去の記事にて解説しましたが、放射線は物質ではありません。
同じく放射能も物質ではなく、放射線を出す能力や性質、あるいは現象のことです。
よって、前回の記事でラジウムという元素が出てきましたが、ラジウム(226Ra)=放射能を持っている元素であり、ここから放射線が出ているということなんです。
ラジウム(226Ra)のように、放射性元素を含んだ物質を放射性物質と呼びますが、これをメディアでは放射能と呼んでいて、この呼び方が社会的に定着してしまっており、専門家でも放射能と呼ぶことが多いです。
放射性物質=放射能という等式ですね。
ここで放射線と放射能の違いを、懐中電灯に例えてみます。
懐中電灯本体が放射性物質(放射能を持つ元素=放射能)、懐中電灯から発せられる光が放射線というイメージです。
なんとなく違いをイメージできたでしょうか?
放射能と放射線を混同することは、懐中電灯と光を混同することと同じということになります。
2.放射線漏れと放射能漏れってどう違うのだろう?
メディアで放射線漏れと放射能漏れが混同されて使われることがあります。
既に放射線と放射能の違いを理解している我々は、放射線漏れと放射能漏れ明確に違うということが分かりますよね。
放射能漏れは、チェルノブイリの原発事故(1986年)や福島の原発事故(2011年)のように、建家から放射性物質が大気中へ放出されることを指します。
一方、放射線漏れは、茨城県東海村のJCOの臨界事故(1999年)のように、建家から放射性物質が放出されるのではなく、放射線だけが放出されることを指します。
JCOの臨界事故では、多くのメディアが放射線漏れだった事故を、放射能漏れと報道したことから、茨城県産の農作物が売れなくなり、生産者は大きな風評被害を受けました。
でも、放射線も放射能も取っつきにくいので、難しい問題ですよね…。
実際に漏れた放射線は、以前の記事で述べたブラウン管テレビから漏れ出る放射線と同程度でしたが、人は活字や映像になると信じやすい!
ちなみに福島事故は放射能漏れでしたが、これも正しい知識があれば、食べる食べないの判断を自分の頭で決めることができます。
これについては、今後の記事で説明します!
3.まとめ
放射能のついて、放射線との違いとともに解説してみました。
少しずつでも原子力の世界を知っていただければ嬉しいです!
次回は、放射性物質の居場所と種類について解説したいと思います。
では、またお会いしましょう!
(*記事出典元:Q&A放射線物理 改訂2版 大塚徳勝・西谷源展著)
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