#4 空気を撮る
今回は、こちらの写真について書こうと思います。(記事のヘッダーの写真は関係ありません)
先日のサッカーJ1リーグ【町田ゼルビアーFC東京】からの一枚です。WEBにて、FC東京の話題を取り上げる「青赤のピッチサイドから」 という連載を持っています。
連載内コーナーとして、少し前から「MatchPHOTO」というものを始めました。撮影したFC東京の試合から一枚を選び、簡単な記事を添えるといったものです。
町田戦の撮影後に今回のMatchPHOTOはどの写真にしようかとセレクトをしていて目に止まったのが冒頭のXにある一枚です。
写真は左サイドでドリブルを仕掛ける、FC東京の遠藤渓太選手と対峙するDF望月ヘンリー海輝選手の一対一の場面です。
この写真を選んだ理由は3つあります。
それぞれについて、説明していきます。
1.夕方の西陽が綺麗だった
2.遠藤選手の視線が面白かった
3.駆け引きの空気を感じる写真だった
1.夕方の西陽が綺麗だった
これは、逆側のゴールサイドで撮影していた前半から感じていて写真にうまく活かせないかと考えていました。前半は、逆光になるような場面が多く選手のシルエットがキラキラ輝く瞬間が多くあり、プレーの一瞬と重ねることができないかと狙っていましたがうまくいきませんでした。
後半、逆側のゴールサイドに移動してからはピッチのバックスタンドに近いサイドが日向となっていました。FC東京の左サイドにポディションを取った遠藤選手にボールが渡ると写真のようにスポットライトが当たりました。サムネイルを見ていても、それだけでこの写真に目が行きました。
2.遠藤選手の視線が面白かった
写真を見ると、遠藤選手が対峙する望月選手の足下に視線を送っているのがわかります。
本人に聞いたわけではないので憶測になってしまいますがおそらく、重心の移動やステップを見ていたと思います。ドリブルで相手をかわすには、ディエンダーの逆を取ることが大切です。この場面も最終的には遠藤選手はタイミングよくカットインを試み、ゴール前にパスを送ることに成功しました。映像で見ると3〜5秒の世界です。一瞬を切り取ることによって細かいところまで推察できるのはスポーツ写真の良いところだと思いました。
3.駆け引きの空気を感じる写真だった
これに関しては、言葉で説明するよりも写真を見ていただくのが良いかと思います。
新聞に載せる写真ならば、遠藤選手を縦でトリミングして使いそうな写真です。
今回、この写真を選び横のまま使ったのは2人が纏う勝負の緊張感が写真内の余白から感じられたからです。5万人近くが入った国立競技場は両チームサポーターのチャントが鳴り響いていました。それでも、この写真は静かな印象が強いです。そこのギャップも面白い写真だと感じる理由の一つです。