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反抗期でも子どもは愛情を受け取っている

2冊めのKindle出版の内容を何しようかと、ずっと悩んでいました。

1冊書いたらもうあとはネタがないなぁ、などと考えながらの初出版を終えると、もっと書きたいという衝動が抑えられなくなりました。

では、何について書こうか、と考えたのですが、2冊めは子育てをテーマにすることにしました。

幼保園、小~高校の人権参観日の講演で話す機会があるのですが、子どもが中・高校生になると保護者さんの悩みも変わってきます。

「聞いて下さい、うちの子、最近ぜんぜん口をきいてくれないんですよ
「何をいっても口答えばっかりするようになりました」
と悲しそうな顔で話すお母さんが多くなります。

中には、涙を流しながら話されるお母さんもいます。

「あんなに可愛かった子どもが、声変わりして、足も臭くなるし」
なんてことを嘆くお母さんもいました。

可愛くて仕方がない子どもがだんだん自分たちから離れていくという寂しさと、「子離れできないダメな親」なのではないかと自分を責める思いと、2重の苦しさを抱えているように感じます。

「いいじゃないですか、いきなり子離れなんかしなくったって」
と私がいうと、

「えっ!?」
と驚いた表情をされます。

「私なんか、男親なのに子離れできませんでしたよ。こうなったら一生子離れなんかしてやるもんか、くらいに思ってましたよ」
と笑いながらいうと、

「なんだか気持ちが楽になりました」
と笑顔になられました。

思春期の子育てについての本はたくさん出版されていますが、「子離れしなくてもいい」なんてことを書かれた本は、少なくとも私は見たことがありません。

子離れできないと毒親になりますよ、という本はたくさんあるので、寂しい思いをしている親は、自分が責められているように感じているのかもしれません。

子どもが話してくれないのでさみしい

友達とはあんなに楽しそうに話しているのに・・・

子どもが思春期になって無口になると、親はとてもさみしい思いをします。

学校から帰るとすぐに、
「お母さん、あのね、あのね」
なんて嬉しそうになんでも話してくれたのに、今ではなんだかつまらなそうな顔をしていて、ちっとも話しかけてくれない。

男の子も、高校生くらいになると、無口になるだけではなく、親に向かって何かと文句を言ってきます。

何がそんなに腹が立つんだろうと思うくらい、いろんなことに怒りをぶつけるようになります。

それが親離れしようとしている喜ぶべき成長過程なのだと頭ではわかっていても、どうにも寂しくてならないのが親の心ですね。

反抗期のときには感じていても気づかない

「今は可愛い子どもが、これから何年か先に、反抗期を迎えますよ」

数年前に、2つの小学校と1つの中学校の合同講演会で、保護者さんにそんなお話をしました。

「何か話しかけても、『うるせえなあ』なんて、にらみつけてくるようになりますよ」
というと、会場のお母さん方から「えーっ!」というため息まじりのどよめきがおきました。

頭ではわかってるんだけどやっぱりそうなのか、という雰囲気でした。

「それでも心配しないでください。いくら憎まれ口をたたくようになっても、ちゃんと愛情を注いであげていれば、そんな反抗期のときもちゃんとその愛情を心に蓄えていますよ」

そんな話をして、実例の画像をプロジェクターで見ていただきました。
(壁の穴関係の詳細は ↓ の記事で)

そのあとには、居酒屋で家族でピースサインをしている写真。

我が家の非常にプライベートな画像に、笑い声がおこりました。

反抗期のときには、心の中に親の愛情が注がれていることに、本人は気がつきません。

親に対する思いがなくなったわけじゃないけど、友達のこと、気になる異性のこと、勉強のこと、違和感を覚える大人社会のこと、いろんなことが頭の中に渦巻いています。

子離れできない心は強い愛情があるから

どんなに反抗期で無愛想な子どもでも、ほんとうはちゃんと心の中に親がいます。

我が家の息子たちも、高校生になるとあまり口をきいてくれなくなりました。

住宅ローンがまだまだ残っている我が家の壁面に、大きなブラックホールをあちこちに作り出していました。

後年、彼らが社会人になってから一緒にお酒を飲みながら、当時の話になることがありました。

「お前、あの頃、どんな気持ちで壁を殴ってたんだ?」
と聞くと、

「うーん、覚えてないなあ。よくオヤジはがまんしたよなあ。俺だったらガツンと鉄拳制裁してたかも」

「壁壊したお前がいうんかい!」
とツッコむと、笑っていました。

「あの頃、とうちゃん、寂しかったんだぞ。ずっといっしょにふざけて遊んでいたお前たちが、ぜんぜん話もしてくれなくなるし、卒業したら遠くに行っちゃうし」

「まあ、親はそんなもんかもしれないなあ。でも、嫌いになったわけでもないし、俺はずっとうちの親でよかったと思ってたで」
ビールをぐいっと飲みながらいいました。

「ほんなら、その頃にそういってくれや!」
とはいいませんでしたが、親の心はちゃんと伝わってたんだなあ、と思いました。

なかなか子離れできなくても干渉も束縛もしないで、子どもたちとのちょうどいい距離を探したんですが、やっぱり心は寂しかったんでしょうね。

彼らが成人して、社会人になって、家庭を持って、子育てに奮戦している今も、ちょうどいい距離を保つように心がけています。

あの頃、悩んだり不安がったり寂しがったりしたことが、今ではとても貴重で愛おしい日々に思えます。

彼らと音信不通になった時期も越えたからこそ、こんなに楽しく話せるのかもしれません。

子どもが反抗期のときには、
「本当はちゃんと親の気持ちをわかってくれいてるくせに、生意気なことばっかりいうんだから、もう」
なんて思いながら愛情を注ぎましょう。

同じ屋根の下で一緒に生活できる幸せを、しっかりと味わいながら。


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