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ラインアウトムーブの視点 ◆日本対オーストラリアより

引き続きBIGMAN向けの質問回答です。

今回該当しそうな質問は下記の通りです。
「サインの考え方は?」
「ダミーの回数は?」
「どんな駆け引きしてるの?」

今回は、先日行われた日本対オーストラリアの試合の日本代表(以下:ジャパン)のラインアウトを引用して書きます。

※基本的に他のチームの事について映像で結果だけを見て外からとやかく言うのは好きではないですが、日本代表の試合なら高校生でも映像を入手できてイメージしやすいかなと思うので今回は例外です。
また、映像から「そう見える」と言う判断なので、必ずしもチームがそういう意図でやっていたのかは不明です。

とりあえず「私はこう見た」と言うもので、参考になればと思います。

少しマニアックかつ映像を見ながらでないとわかりづらいかと思いますが、録画が残っている方はそれを見ながらお楽しみ下さい。

1.基本的な考え方

ラインアウトムーブを作る時の基本的な考え方は下記の通りです。

①裏表の組み合わせ
②相手の誰(どこ)にプレッシャーをかけるのか?

最低限この考え方が必要で、上記に加えて、

③相手のDFシステム
④お互いのメンバーの状況(身長差、ジャンパーの数など)

まで把握できていると一歩先へいけると思います。


2.ジャパンのラインアウト

ジャパンの5manラインアウトを用いて書いていきます。
合計15本で内5manが8本でした。

構成は、大体下記の通りです。
①動きの解説
②「基本的な考え方」に沿った感想
③その他

●1本目(全体1本目)

前半1分 自陣22m付近

1)大体等間隔に並んでいる所から、32のセットアップへ
2)そこから元に戻って、フロントボールでキャッチ

まぁ様子見な感じで比較的安心な体形を変えてからすぐ動いて取るオプションでした。

良いテンポで相手は跳ぶ事なく獲得できました。

跳べなかったのか跳ばなかったのかはまだ判断しづらいです。

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●2本目(全体4本目)

前半10分 敵陣10m付近

1)最初のダミーまで1本目と同じ(ダミー1回目)
2)3番がループして、371でバックボールの動き(ダミー2回目)
3)振り返って453でジャンプ⇨ターンオーバー

「基本的な考え方」から見ると
①裏表の組み合わせと言う面ではGood

しかし、
②誰にプレッシャーをかけるのか?
③相手のDFシステム
以上の2点ではBadでした。

当日の今のところある情報としては「オーストラリアはダミーなしのフロントボールは跳んでこなかった」だけなので、裏のオプションを選択した事は悪い判断ではないと思います。

DFシステムの面で予想できるのは、ミドルボールに対して156か564どっちのポッドで跳んでくるのか?と言う事です。
結果的に156で跳んできた訳ですが、と言うことは2回のダミーは6にプレッシャーをかける為に動く必要がありました。

ターンオーバーは仕方ないのでこの情報を次に生かしましょう。

その情報がある前提で、このムーブを少し変えるとするならば、371のダミーをもう少し引っ張り、相手の6を引きつけながら45ももう少し下がってきて、371に対して投げるタイミングで前で跳ぶイメージかなと思います。

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●3本目(全体6本目)

前半18分 敵陣10m付近

1)1本目と同じように32にチェンジしてすぐミドルの457でジャンプ ⇨ ターンオーバー

さっきまでもチェックはしていましたが、ここまで見るとオーストラリアの5は、ジャパンの5を見て動いているっぽいです。

チームとしては、基本的には前は捨てめで、ミドルとバックにフォーカス。
6はストレートは跳ぶけど、動いたら5or4をリフトするイメージだと思います。

●4本目(全体7本目)

前半28分 HL付近

ターンオーバーされた2本目をダミーにさらに後ろのオプションを選択しました。
②誰にプレッシャーをかけるか?の視点でいくと、さっき6と言う話をしました。
このムーブだとたくさん動いているようで、最終的にジャパン4の方が、プレッシャーをかけるべき6よりも動く距離が長くなっています。

動く距離が長くなると完全に外せない限りタイミングはシビアになっていきます。
また、相手の方が動く距離が短くなる事で6はある程度余裕を持って動けてしまうので、獲得するのは難しくなります。

ここだけを切り取るなら、思い切って15mオーバーまで下がってしまうオプションでも良いのかなと思います。

●5本目(全体8本目)

前半30分 自陣10m付近

1本目と同じでした。綺麗に獲得します。

●6本目(全体10本目)

後半19分 敵陣10m付近

1本目をダミーに、345のPodが少し下がって跳びました。

ここから後半になり、相手の6の位置に20が入っています。
動きを見ると6に比べるとジャンプの意識はあまり高くないのかな?と見えます。

●7本目(全体12本目)

後半23分 HL付近

19がトリガーで5が一歩前で跳びました。

DFは、もしATが5のストレートなら20、それより前なら19が跳ぶプランっぽい事、あとは19が4の身体の向き&5の動き出しで対応していた事で、19のトリガーのオプションに反応が遅れました。

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●8本目(全体13本目)

後半25分 自陣22m

1本目と同じ動きでプレッシャーをかけられてボールがこぼれました。
獲得はできましたが、良いボールは供給できなかったので失敗ですね。

6本目の所に書いた通り、DF20があまりジャンプする感じではないので「動いたら19か4のリフトだけしよう」となっていたような動き方です。

3.まとめ

最初に書いた通り、ムーブを作る基本的な考え方は下記の通りです。

①裏表の組み合わせ
②相手の誰(どこ)にプレッシャーをかけるのか?
③相手のDFシステム
④お互いのメンバーの状況(身長差、ジャンパーの数など)

以上を事前に準備してプランを考えつつ、疲労下で相手のプレッシャーもある中その場でチェックして状況判断していく事になります。

外から見て言うのは簡単ですが、いきなり全部をやろうとするのは実際にはかなり難しいです。

まぁここがラインアウトの楽しさでもあるんですが…

重要なのは「自分が判断する基準を明確にしておく事」になります。

プランBまでは確実に、できればプランCも準備しておきましょう。

色々こだわるからこそどんどん楽しくなっていくと思います。引き続き頑張って下さい👍

以上
ありがとうございました

いつも読んで頂きありがとうございます。 サポートしてくれて大変嬉しいです。 また頑張れます👍