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300人のAIが「労働と経済成長」について考えたらオーバーツーリズムの話題が出てきた

こんにちは、今回はSDGsの8番目の課題である「労働と経済成長」について、Askaを用いて300人のAIエージェントに回答してもらった結果をご紹介します。

Askaとは
大量のAIエージェントを並列処理させて質問に答えてもらうツールです。
利用者募集しているので、試してみたいという方はお気軽にお声がけください


質問内容

元アンケートは英語ですが、ここでは翻訳してご紹介します。

質問
以下の目標を達成するために必要な具体的な行動は何だと思いますか?:「2030年までに、地方の文化や産品を広め、働く場所をつくりだす持続可能な観光業を、政策をつくり、実施していく。」

SDGs 目標8のターゲット項目8.9についての質問

処理手順

このアンケートでは、最初に選択肢としての初期回答が自動生成されます。AI回答者たちは自身の考えに基づき、該当する選択肢に投票(SNSでいう「いいね」)をしつつ、自分の回答が既存選択肢と異なるようであれば自由記述回答として投稿します。投稿された回答は、他のAI回答者に選択肢として提示され、投票(いいね)される対象になります。

1回のAIのレスポンスではなく、300人分のAIエージェント(GPT-3.5 turboとGPT-4oのミックスで構成)に互いに回答を評価してもらうことで、集団としてのAIの挙動を見ることができます。

結果

頻度の高い回答パターンに要約した図(サンキー花束ダイアグラム)

このSDGs課題は、単に労働と経済成長というだけでなく、地方創生がテーマになっているので、「地域コミュニティとの協力」とか「現地ビジネスの支援」という意見がかなり人気です。

ご存知かと思いますが、ChatGPTは無難かつ抽象的な回答を提案しがちです。こういう回答もなんとなくそれっぽいんですが、誰が行動を起こすのかが不明確であり、具体性に欠けているように思います。
反省点としては、質問文で主体を明確にするべきでした。

もっと具体的な案: オーバーツーリズム関係の意見も出現

AI回答者たちが提案した回答は全部で61個ありますが(上図は頻度の高いパターンに限定)、その中には「宿泊施設のグリーン認証プログラムの開発」や「観光業の労働者の公正な賃金を確保する」といった具体的な提案も出ています。

グリーン認証プログラム (green certification programs) というのは、環境保全に配慮したポリシーや活動のことで、すでにそういう認証はあるようです。
具体的な地域ビジネスの保護の方法の提案が出現してきて、なるほどなと思います。
ただ、これらはあまり票が集まっていないので、AI回答者たち的には微妙な案ということのようです。

タイトル回収が遅くなってすみません。
その他の意見として「利害関係者と協力して責任ある旅行行動を促進する」や「観光客の流入を制御するための規制を実施する」といった提案も出てきました。観光地のオーバーツーリズム問題を反映していると考えられる意見です。そういう視点を取り入れてくるのは興味深いですね。

Askaで聞くメリット

今回のテーマ的には以上ですが、「Askaを使う必要が分からん」という方のために、Askaのメリットを書いておきます。

  1. 普通にChatGPTに聞くと無難で抽象的な回答になりがち。Fine-tuningだのjailbreakingだのをせずに、物量作戦でChatGPTのパワーを最大限引き出せる。

  2. 1つのChatGPTの出力が膨大だと、読み手の人間がそれを解釈できない。大量のエージェントに分け、構造化された出力を可視化することで読み解けるようにしてある。

1.の状況がよく分かるように、おまけとして普通にChatGPTに聞いてみた場合の出力も最後に載せておきます。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
試してみたい方は、弊社までお気軽にお問い合わせください。

[おまけ] 普通にChatGPT-4oに聞いてみた場合

以下は、普通にChatGPTにプロンプトを投げて聞いてみた場合の出力です。質問文は上に載せたものと同じですが、「各行動の重要度も提示しながら回答してください。」という文言を最後に追加して聞いてみます。

Askaで出現したメジャーな意見に対応していて、無難なものに偏りがちな印象です。

2030年までに地方の文化や産品を広め、働く場所をつくりだす持続可能な観光業を構築するためには、以下の具体的な行動が必要です。それぞれの重要度を考慮しながら提案します。

1. 地方の魅力を発掘・発信する
• 具体的行動:
• 地域ごとの魅力を調査し、独自の文化や産品を発掘する。
• デジタルマーケティングやSNSを活用して情報発信を行う。
• 国内外の観光博覧会に出展し、地方の魅力をアピールする。
• 重要度: 高い
• 地方の魅力を知ってもらうことが観光客の呼び込みに直結するため。

2. 地元住民の協力と教育
• 具体的行動:
• 地元住民や団体との連携を強化し、観光客受け入れ体制を整備する。
• 観光業に関する研修やセミナーを開催し、ホスピタリティや英語対応のスキルを向上させる。
• 重要度: 非常に高い
• 持続可能な観光業には地元住民の協力が不可欠であり、質の高いサービス提供が求められるため。

3. インフラ整備
• 具体的行動:
• 観光地への交通アクセスの改善(バス路線の新設、レンタサイクルの導入など)。
• 観光地周辺の宿泊施設やレストランの整備・充実。
• 重要度: 高い
• 観光客の移動の利便性や滞在の快適さを向上させることで、訪問回数や滞在時間の増加を見込むため。

4. 持続可能な観光資源の開発
• 具体的行動:
• 自然環境や文化遺産の保護を前提とした観光資源の開発(エコツーリズム、文化体験ツアーの実施など)。
• 再生可能エネルギーの利用や廃棄物管理の徹底。
• 重要度: 非常に高い
• 持続可能性を確保することで、長期的な観光業の発展を支えるため。

5. 政策支援と資金調達
• 具体的行動:
• 国や自治体による支援制度の構築(助成金、補助金の提供)。
• 公共・民間の資金を活用した観光業への投資促進。
• 重要度: 非常に高い
• 財政的支援と政策の後押しがなければ、多くの計画が実現困難であるため。

6. データ収集と分析
• 具体的行動:
• 観光客の動向やニーズを把握するためのデータ収集(アンケート調査、ビッグデータの活用)。
• 収集したデータを基に、観光戦略の見直しや改善を行う。
• 重要度: 中程度
• 効果的な戦略策定には重要だが、他の施策と比べると直接的な影響はやや少ないため。

これらの行動を総合的に実施し、地域全体の協力を得ることが、持続可能な観光業の実現に向けた鍵となります。

普通にChatGPT-4oに聞いてみた場合の返事


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