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娘達が人生初キャンプ。味わう、日常のありがたみ。


僕は先日、4才、6才の娘達を連れて、彼女達の人生初キャンプに行きました。


僕は、家族に内緒で、あるテーマを持ってました。

何かというと

「娘達に自然の厳しさを味わってもらおう。

 そして、家や家電など、恵まれた今の環境の

 "有り難み”に気づいてもらおう。」

というものです。



そうです。

僕はだいぶ面倒臭い父親です。



なぜ、僕がこんなことを思うのか?

そして、結果どうなったのか?


浅くてしょうもない話に過ぎませんが、以下に書いていきます。


自然



昭和生まれの僕の昭和的思考

エアコンの無い当時の生活


まずは僕自身についてです。

昭和生まれの僕は、時代背景に素直に従い、昭和的思考を持っています。


例えば僕の奈良の実家では、いまだにエアコンはリビングにしかありません。

小学校の途中まで団地住まいでしたので、エアコン無しの生活でした。


一戸建てに引っ越した後に、ようやくエアコンが家に来ました。

そのエアコンも、引っ越してすぐではなくて、

僕が小学生の高学年か中学ぐらいになって、ようやく買われた記憶があります。


基本的には、親父もオカンも

「暑けりゃ薄着。

 もしくは団扇」

という方針でした。

ちなみに扇風機は家に1台しかありませんでした。

なので、2階にある僕の部屋では基本的に扇風機がなく、団扇で毎夏乗り切っていました。

もちろん、当時(今から30~40年前)は今ほど夏が暑くなかったとも言えます。

しかし、やっぱり暑かったです。

その暑さは、めっちゃ覚えています。


特に辛かったのは受験期。

中三の夏、高三の夏なんかの夏の受験勉強では、大変でした。

僕は窓全開にして、汗だくになりながら、パンツいっちょで常に勉強してました。

そして、右手にはペンを持ち、左手には団扇を持って受験勉強をしていました。

それ以降、僕の持ちネタの一つに、

「受験勉強?ああ、左団扇やったわ」

という、パッと聞くとめちゃくちゃ余裕で合格したかのように聞こえるフレーズが、加わりました。


また、受験勉強といえば、僕はほぼ睡魔との戦いみたいな時間でした。

やる気はあるのです。

でも、睡魔には負けてしまうことが多かったんです。椅子に座ったまま寝落ちをしていました。

なので、僕はある時期から、少しでも眠くなると椅子に座らず、立って勉強をしていました。

つまり、真夏は、パンツ一丁で汗だくで左団扇で、立って勉強しているという、個性的なスタイルで勉強をしていました。



また、当時の僕は、プライバシーみたいな考え方が皆無やったかもしれません。

暑いので、窓全開で毎夜受験勉強をしまてました。

すると、ある日、裏の家のおばちゃんが、うちのオカンに

「息子さん、受験勉強めちゃくちゃ頑張ってるわね・・・

 あの様子見ると・・・」

と、僕の姿が丸見えだったと話したそうです。

そりゃ、

「パンツ一丁で、汗だくで、立って勉強している裏に住むの子供」

を見ると、頑張っていると思うでしょう。

ビジュアル的なインパクトは、昭和の頑張る受験生そのもの?やったんでは、と思います。



また僕は、ずっと野球をやっていたこともあり、小学生から大学まで、年がら年中、外で汗だくで過ごしていました。

そう言えば、大学時代は一人暮らしでしたが、その時もエアコンが無かったですね。

こんな感じの子供時代を過ごしてきました。


エアコン



子供が産まれて、今


エアコン一つをとっても、そんな感じで過ごしてきた昭和な僕です。


時は令和。

今、子育てをしていて、時代の変化を感じます。

特に、熱中症の危険性が大きく取り沙汰される昨今。

また、幼児の時など風邪をひいたら、命にも関わることがあります。

なので、悪いことではないですが、娘達は産まれた時からエアコン三昧です。

僕は、

「毎日にエアコンにあたって、この子らは軟弱に育つんちゃうか」

という軽い懸念を持っていました。


夏もエアコン、冬もエアコン。

僕は、夏はウチワ、冬はちゃんちゃんこ。


現代のこの子らの五感は正常に発達してるんやろうか?

汗腺の数が少なくなってへんか?

いや、自然との肌での触れ合いが少ないんちゃうか?

などと、アホな不安を持っていました。


詳細はまたnoteに書きたいと思いますが、僕はほぼ毎日、保育園帰りに公園に子供を連れて行っています。
(以前、その一幕を書いたnoteを、投稿していました)


そんな僕でも、こういったアホな不安を感じているのでした。

そういうこともあってか、娘達が大きくなったら、キャンプなどの自然と触れ合う遊びに連れて行きたいなと思い続けてきました。


それがようやく、下の子も4才になって、キャンプでも安全に過ごせるだろうと思うに至りました。



ちなみに僕は、そもそもキャンプやBBQが好きです。

20代の頃はよく行っていました。

なので、自分が好きなことに子供を連れて行きたいなとは、かねてから思っていました。


それに加えて、冒頭に書いた通り、

「自然に直接触れ合って、自然の厳しさを味合わせなアカンな」

という、昭和的?な懸念、僕の隠しテーマがあったのです。


自然



前置きが長くなりました。

ここからが本題です。



植村直己冒険館


行き先は植村直己冒険館にしました。


ここでは、「貸しテント」があります。

今はテントを持っていない僕としては、今回はレンタルで乗り切ろうと思いまして、貸しテントがあるキャンプ場にしました。



さて、当日。

植村直己冒険館に到着。


とても素敵な施設でした。

キャンプ場も良かったですし、子供向けのジャングルジムもありました。

子供が目一杯遊べて、とても良かったです。


しかし、個人的には一番印象に残ったのは、ここです。

植村直己ミュージアム

稀代の冒険家、植村直己さん。

彼の詳細な経歴や、彼が実用した様々な展示物があります。

改めて、彼の功績を見て、驚きました。

  • 世界初の五大陸の最高峰を登頂。

  • 単独でアマゾン川をイカダでくだったり、

  • 果ては北極を犬ぞりで単独で横断。


凄すぎませんか。

カッコ良すぎます。



僕は、幼心に冒険家を夢見た頃を思い出しました。

何を隠そう、子供の頃の僕は世界ふしぎ発見ウオッチャー。

コタツに入りながら、ぬくぬくと見ていた世界ふしぎ発見。

「将来はミステリーハンターになる!」

と、夢見た頃の気持ちを思い出しました。



数々の植村直己さんの展示品を見ていると、

口にこそ出しませんでしたが、40過ぎたこの体の中で、

フツフツと冒険心が沸き起こっていました。



娘達にも

「見てみ。植村直己さんは、こんな狭いテントの中で、一人で北極の中を過ごしたんやで」

などと、説明します。

「寒いやろうし、一人で寂しいやろうし。。。

 冒険家っちゅうのは、すごいなぁ」

僕の説明にも熱がこもります。

娘たちは、”入って良い”と展示されているテントの中に、出たり入ったりして、はしゃいでいます。

長女なんかは、

「いらっしゃいませ〜」

などと、テントを店に見立てて遊んでいます。

また、植村直己さんの実際に使った手袋などを見て、

「でか!」

などと騒いでいます。


僕は、あまり植村直己さんの偉大さが娘達に伝わった気がしませんでしたが、

「まあ、着いたばっかりやし、こんなもんやろ」

と自分を納得させました。


まだ、キャンプは始まったばかりです。





自然の中で不便さを教える


さて、テントの中に荷物を運び込んだり、食事の準備などを進めます。


僕は、BBQの準備をしながら、娘達に

「ほら、こうやって、火を燃やして、ご飯作るんや。

 不便やろ?大変やろ?

 でも、大昔、人間ちゅうのは、こうやって生活してきたんやで」

などと、話します。

もちろん、僕自身の子供時代も、家がかまどだった訳ではありません。

普通に炊飯器とガスコンロで育ちました。

あくまで大昔のアカの他人の話です。


娘達は

「早くしてよ〜

 お腹すいた〜」

などと言っています。


僕は、

「まあまあ。

 キャンプってのは、こういう”不便さ”を味わうもんなんや。

 これが、人間の本来の姿や」

と、教えます。

更には、

「こういう不便さを乗り切らな、

 植村直己さんみたいな冒険家にはなれへんぞ」

などと、娘達は一言も冒険家になりたいとは言っていないのに、僕は講釈をたれます。

むしろ、植村直己ミュージアムを観て、一番冒険家になりたいと思っているのは僕だったでしょう。そこは自信があります。


さて、いざ食事。

ご飯の最中に、6才の長女が僕に聞いてきます。

「なんでキャンプに来たの?」

お、ええ質問。

それ、今聞く?


とうとう、我が意を明かす時が来ました。



僕は答えます。

「こういう自然の中で、いろんな不便さを味わって欲しいんや。

 水、トイレ、ごはん、寝る。

 どれをとっても不便やろ。

 それを経験すると、普段の家の生活の有り難みがわかるやろ?」

と、今回の隠れテーマを話しました。

エアコンや、あったかい布団は、当たり前ちゃうんやぞ、と。


長女は、いつも家でも飲んでるパックのジュースをここでも飲みながら、僕の話を聞いています。
長女の表情は、わかったような、わかっていないような感じでした。

まあ良しです。

言葉でわからずとも、経験によって体で感じるものですから。


こんなことを話している間に、娘達は、BBQで出されたご飯をペロリと平らげました。

僕は、内心

「おお、直火で料理したご飯も食べるとは、ええやんか。

 たくましさが、培われてるんちゃうか。」

と、小さくガッツポーズをしました。



食事を済ませた子供達を尻目に、一方で、僕と妻は、

「ちょっと肉焦げ過ぎたな。火の調整が難しい」

「ここ、近所にコンビニないんか」

「あー、虫多い」

などと、ツラツラと小言を言い合っていました。



さて、僕が一番の難関であると思っていたのは、ここからです。


果たして、子供達は外のテントで寝れるのか?

日頃のエアコン三昧の生活。

フカフカの布団に慣れきった体。

そんな娘達が、温度調整もできない、しかも寝袋という環境で、寝れるのでしょうか。

当然、屋外に設置されたテントです。

色々な生き物の声も聞こえてくるかもしれません。


この体験こそ、キャンプの醍醐味。

軟弱な体と精神を鍛え直す時と思っていました。


いよいよ、その時がきました。





子供達はテントで寝れるのか?


さて、テントの中で、レンタルされた寝袋を広げます。

僕は娘達に

「こういう環境で寝れるか?

 寝にくいで。」

などと声をかけます。


「植村直己さんみたいな冒険家になるにはな、

 どんな環境でも寝れなアカンのや。」

と、娘達に話しました。

ちなみにこの時点でも、娘達は一言も冒険家になりたいとは言っていません。冒険家への憧れは、あの時でも僕が一番でしょう。そこは自信があります。


狭いテントで、僕、妻、二人の娘という家族4人が身を寄せ合って、寝袋に入ります。


娘達は、寝袋に入って

「イモムシ〜」

などと言って笑い合っています。


僕は内心で、娘達に

「ふふふ、笑ってられるのも今のうちやで」

と思っていました。


もう数分も経てば、娘達は気づくはずです。

日常の有り難みに。


しかも運悪く、その日は風が強い日でした。

テントがバサバサと揺れます。

僕は内心、

「さあ、どや?!

 寝にくいやろ?!

 日頃のエアコンや布団がなかったら、”寝る”という普段の行為が、

 どれだけ有り難い環境に支えられてるか。

 実体験で、わかったか?」

などと思い続けています。


そんなことを考えながら、僕も目を閉じます。



・・・

まだテントが風でバサバサと鳴っています。



僕は、少し子供達がかわいそうにも思えてきました。

なかなか寝れへんやろうな、と思い、横を見ました。


すると、寝袋に入って、まだ2、3分しか経っていないのに、

もう長女も次女も寝ていました。


ええ?!

いや、ええことやけど、そうなん?!

もう寝たん?!


普段の寝る時間より早い、夜の8時ぐらいでしたが、もう寝ていました。

僕は、ツッコミたくなるのを必死に抑え、妻の顔を見ました。

妻は露骨に寝にくそうな表情で、スマホをいじっています。



若干僕の思惑と異なりましたが、これはこれで良いことなので、自分も寝ることにしました。

 

・・・・


バサバサバサ


・・・・

バサバサバサ



全く寝れません。


変わらず風の音がうるさいのです。

そして、やっぱり寝袋も寝にくいです。


寝るのに最適な姿勢などを探しているうちに、とうとう完全に頭が冴えてしまいました。


・・・


ふと時計を見ると、もう夜中の12時です。



妻もまだ寝れていません。

僕と妻は上半身を起こし、小声で話し合います。

「寝れる?」

「いや、無理」

「はよ、帰りたいな」


それからも、なんとか寝る努力をし、夜中の2時ごろでしょうか。

ようやく眠ることができました。





翌日


睡眠不足で疲れ切った僕と妻が目を覚まします。

子供達は、睡眠もバッチリ。

この日も、元気にジャングルジムなどで目一杯遊びます。



僕ら夫婦は、なるべく早く帰ろうと子供達に働きかけます。

もう疲れ切っていますので。

「えー!!まだ遊びたい!」

と言う子供達に、お願いするような感じで、なんとか帰路につきます。


帰りの車の中でも、娘二人ははしゃいでいますが、僕らは言葉は少なめ。

ようやく、待ち焦がれた家に着きました。

家に着くなり、僕はエアコンにスイッチを入れます。

妻は、早々に布団をしきます。



就寝時間。

いつも通り、家族四人、川の字で寝ます。

またもすぐに寝る子供達。

僕は妻に小声で語りかけました。


「やっぱり、家が一番やな。」


「そうね、家とエアコンって有り難いね」


「ほんまに。改めて、感じたわ」








今日も読んで頂いて有難う御座いました😃






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