2023 面白かった本
年末年始になると暇を持て余すからなのか、新年の抱負的なやる気なのか、本を読みたくなる。
せっかくなので2023年に読んだ30冊の中で面白かった本を5冊こちらにメモしておく。年末年始のお供にぜひ。
▷ 祖母姫、ロンドンへ行く!
個人的に今年で一番引き込まれた作品かもしれない。気付けば一気に読んでしまっていたし、読後もしばらく心に残っていた。
あらすじとしては、著者が若き頃の記憶を綴ったロンドン旅行記。ただし、わがままでお転婆な祖母と共に。
まるでマンガのようにキャラの立ったおばあちゃんにブンブン振り回される孫娘の珍道中。彼らのやりとりがありありと目に浮かび、ドタバタと過ぎていく数日間。
英国のスマートなホテルマンや老舗デパート店員に学ぶおもてなしの本質、一流の在り方、人々の温かさがギュッと詰まった魅力の一冊。
なんと言っても読みやすい。孫娘に同情しつつも、旅行の醍醐味が凝縮され、最上級のお土産話を友人から聞かせてもらっているようだった。
読後はなぜかスコーンが食べたくなる。
▷ 六人の嘘つきな大学生
読み始めた前半と後半では印象が全く異なってくる小説。そこが最高に面白かった。
人が生きていく上で他人に何を見せているのか、相手がそれを正しく受け取れているのかは全然わからないと改めて感じた作品。
私たちは思った以上に "よそ行きの自分" と "他人のフィルターを通した自分" の認識にズレがあるという当然のことに気づかせてくれる。
特に、かつて学生の頃に就活をして、自分の良い面だけを見せようと奮闘したことのある人には、かなり刺さる一冊かもしれない。
まぁ、それは友情でも恋愛でも同じなのだが…
▷ バッタを倒しにアフリカへ
こんなんズルいやんと叫びたくなる。
面白くないわけがない。引きが強すぎる。
モーリタニアへ単身でバッタ研究所に向かった日本人学者の奮闘記。
そんな研究分野あるのか〜から始まり、文化が想像以上に異なる地域で著者が陥る様々な葛藤が新鮮。
そもそもバッタについても、モーリタニアについても、この本を手にしなければ考えることさえなかった。
研究者という未知の職業を体験できる一冊。
▷ ゴリラ裁判の日
タイトルを聞いて何を思い浮かべるだろうか?
この本の主役は嘘偽りなくゴリラだ。
人語を理解する知的かつ良識的なメスゴリラが人間相手に裁判を起こすというとんでもストーリーと知り、気づいたら手に取っていた。
なんだそのおもしろ設定。
途中で中弛みは感じたものの、言語の役割と思考の存在、権利の在り方について考えざるを得ない作品だった。
人権の歴史を考えた時、私たちは様々な意識改革の段階を経て今がある。ここから先、それが揺らがないことがあるのだろうか?
▷ 本と鍵の季節
個人的に米澤穂信さんといえば古典部シリーズだったが、こちらも殺人の起こらないミステリ。絶妙な距離感の男子高校生2人を主軸に季節がめぐる。
古典部よりもビター。
この方の作品は安定して面白い。
米澤穂信さんを未読の方でも、【ビブリア古書堂】【ビストロ・パ・マル】【掟上今日子】などのシリーズが好きであれば楽しめる一冊。
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