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アトツギ甲子園を経て感じたこと

第3回アトツギ甲子園決勝大会が2022年3月3日に開催されました。私は中日本ブロック大会を戦い、のファイナル進出を逃しましたが、最終的にファイナリスト15名とは別枠の準ファイナリスト(3名)に選出頂けました。39歳の私にとって最初で最後のアトツギ甲子園。ここに至るまでの経緯と、書類選考・当日のピッチを通して感じたことを備忘録的に書き記したいと思います。

来年以降アトツギ甲子園にエントリーされるアトツギの方は勿論、アトツギ界隈やアトツギ甲子園について知りたいというアトツギ以外の方にとっても『アトツギ及び、アトツギ甲子園を知る参考資料』となればと思います

※ここに記載されていることはあくまで個人の感想です。悪しからずご了承の程宜しくお願い致します。

1. アトツギ甲子園とは

アトツギ甲子園とは全国各地の中小企業・小規模事業者の後継者が、新規事業アイデアを競うピッチイベントです。中小企業庁が主催しており、39歳以下のアトツギが参加できます。

2. 私がここに至るまでの背景

私は2010年に家業である和装鞄工房に入社しました。入社してまず直面したのがアナログ過ぎた社内の管理体制問題、そして次に古参社員や身内との人間関係問題があり、そこを解決する段階で相当な時間を要しました。

そして、社内を固めることが出来た私は次第に【職人さんの後継問題】【ユーザーの声が届かない】という和装小物業界の問題に向き合うようになります。『新規事業で業界の課題を解決したい』この想いで新規事業を始めていくのですが、そこについては以前のnoteに詳しく記しているので、良かったらご覧ください。

3. 本当に実現したい新規事業に出会うことが大切

話を戻してピッチコンテストとアトツギとの関係です。

私は5年程前からアトツギ向けピッチコンテストの存在を知っていたのですが、エントリーしたのは一度きり(書類審査落ち)で、積極的な応募はして来ませんでした。それは『たとえピッチの為だけにビジネスアイデアを考えたとしても、実現できなければ絵に描いた餅』ということを自覚していたからでした。

それはピッチで入賞したものの、事業化できなかった他のアトツギ達を見ていても感じましたし、それらのアトツギにメディアの取材が来たケースも、後に繋がっているようには感じませんでした。

私の場合は、自分が本当にやりたい新規事業に出会うまでに5年近くの歳月を要しました。今回のアトツギ甲子園は、自分が本当にしたい新規事業が見つかったタイミングと年齢制限がギリギリ重なる、唯一のタイミングだったと感じています。

4. 書類選考は補助金の資料と同様にノウハウが必要

本当に実現したい新規事業が定まり、アトツギ甲子園にエントリーしようという意思が固まったとしても、書類選考に通らなければピッチする機会を得る事すらできません。

第3回アトツギ甲子園においては、192名のエントリー中、登壇してピッチできるのは45名の狭き門でした。おそらく第4回は更にエントリー者が増え、倍率が上がるものと思います。

書類選考は行政系・コンサルタント系の方を中心に、複数の審査員の方が審査して下さったと聞いています。エントリー数が多い為、一人の審査に掛けれる時間はそれ程多くないと思われます。

『限られた時間の中で審査員の方に事業内容を読み取って頂く・・・』

私は補助金の申請書類を頭に浮かべ、過去取得した”ものづくり補助金”や”小規模事業者持続化補助金の書類”を引っ張り出し、それらの書き方を参考にしながら申請書を書き上げました。

補助金資料を書いたことがないという方も、Youtubeには沢山書き方のコツ動画が投稿されているので、参考にしてみると良いと思います。

また、アトツギファースト等のコミュニティーに入っておられる方は、【○○ミート】のようなオンライン/オフラインの定例会にて、過去のファイナリストが書類選考資料をシェアしてくれる場合もあります。アトツギコミュニティーに入会されている方は、是非過去のファイナリストの方とアトツギ甲子園について話されてみるのが良いと思います。

私が参加した兵庫ミート。懇親会で私のエントリーシートの内容をシェアしました(笑)


5. 何も見ずにピッチ出来るのは最低条件、しかしそれだけでは勝てない

今回私は中日本ブロック大会に出場しましたが、この時点でスライド画面を終始見ながら話している登壇者は皆無でした。

登壇者用モニター片方はスライド・片方はタイマーが出ます

その上でどのように印象に残るピッチをするのかが大切だと感じました。

私は『プラットフォーム程スケールする訳ではなく、本格的ローンチを迎えていないビジネスモデル故に、エモーショナルに全振りしたピッチをしよう』と決めていたので、ストーリー性を重視したピッチを行いました。

結果、納得いくピッチが出来たと感じ、悔いはありませんが、ファイナル進出に今一歩届かなかったのは、次のトピックで記載する要素が足りていなかったと感じています。

6. ファイナルに進むアトツギは、事業を既に進めている

地区予選大会、決勝大会とピッチを拝見しましたが、ファイナルに進出されている方の大半は新規事業を既にローンチし、何かしらの実績や結果を残されていると感じました。ピッチスライドの中でも、実績のアピールは説得力を持って審査員の方に届いているようでした。

以前のアトツギ甲子園は書類選考のみでファイナル進出ができたため、書類を書くことが上手ければ、ローンチ前のビジネスモデルにおいてもファイナル進出が可能でした。

しかし、今後更に倍率が上がり、予選大会を伴う次回大会以降においては、既に事業化できていることがファイナル進出の大きな鍵と個人的に感じています。

ファイナル進出者の皆さん

7. 夢を語る大切さ

今回の決勝大会を拝見して感じたことは【予選大会と決勝では同じ方のピッチでも全然違う】ということでした。メンタリング期間を経てピッチ内容ブラシュアップされたのだと思います。皆さん本当に魅力的に語っておられました。

話される内容が、自社だけでなく、地域や業界・社会・世界を変えるようなものであれば純粋に視聴者として感情が揺さぶられると感じました。

『私はこのように夢を語るピッチが出来るのだろうか?』

自分に問いかけてみましたが、答えは【現時点では否】でした。勿論形の上だけで夢を語ることは出来ます、しかしながら本当の意味での地域・業界・社会を変えるといったお話は、【○○という実績を積みました、だから私は次にこうして、やがて社会を変えます!】というような流れであってこそ地に足が付くのだなと感じました。

多分私の場合、上っ面の言葉を並べても気持ちが入らないと思います。改めて、審査員の方の凄さを感じましたし、自身の事業化を急ぎたいと感じました。


8. アトツギ目線で見たアトツギ甲子園とは

新規事業を考えるチャンスであり、自分と深く向き合うチャンスであり、新事業を大きくアピールするチャンスだと思います。そしてかけがえのない仲間にも出会えます。

またアトツギ甲子園は、他のピッチコンテストとは審査項目が異なる為、スケール感を最重要視する必要がありません。よって製造業の方や、サービス業の方でも、良いビジネスモデルとストーリー性があれば挑戦できるのも大きな特徴です。

『アトツギ甲子園があるから新規事業を考えよう』きっかけはこれで良いと思います。コンテストがあるので新規事業を考え、ブロック大会に進出する過程で自分自身や新規事業の実現性について深く向き合い、事業化を経てブラシュアップされ、決勝大会でピッチすることによってメディアの方や支援者の方の目に留まり、事業が大きく羽ばたいて行くのかなと感じています。

勿論例外はありますし、あくまで個人の感想ではありますが、今回実際にブロック大会まで進出し、準ファイナリストに選ばれた私が感じたことは、上記のような感想でした。

9. 最後に

沢山の可能性を秘めたアトツギ甲子園。是非挑戦したことのないアトツギの方には挑戦をお薦めします。39歳までエントリー出来るので一度で書類審査を突破できずとも、回数を重ねるうちにきっと本線に進出が出来ると思います。また挑戦の過程でご自身の家業への向き合い方やビジネスモデルが研ぎ澄まされていくことは間違いないと思います。

最後に、今回挑戦する機会を頂いた中小企業庁皆様、アトツギ甲子園を献身的に運営して下さった事務局の方に感謝致します。本当にありがとうございました。

中日本大会の集合写真

この備忘録が誰かの参考になればと思います!!




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