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何のために働くのか?


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「何のために働くのか?」

幼かった当時の私が分かっていた筈はありません(笑)
生まれ持って自分の使命や、やりたいことがある人は稀だと私は思います。

無邪気な幼少時代を過ごし、学生となり、やがて社会人となり・・・

早い人は学生時代に自分のやりたいことや使命に出会われる方もいらっしゃるかもしれません。私はただただアルバイトバイトとサークルに明け暮れる学生時代を過ごしました。

社会人となっても同じ。ベンチャーブームに乗って広告業界・外食業界と渡り歩きましたが、漠然と「お金持ちになりたい」「出世したい」「人からよく思われたい」「モテたい」と思っていたに過ぎませんでした。

転機となったのは和装バック製造を下請けをしていた家業に戻ってから。旧態依然とした和装業界。アナログ伝票、アナログ会計、FAXによる注文のやり取りは当たり前。また流通経路は長く、エンドユーザーの声は届かない。

「自分達が何を製造しているのか? ユーザーはどんなものを必要としているのか?」全くわからないまま、仕事をしていました。 工房では製造以外に修理の仕事をすることもありますが、時々商品にくっついて来る値札を見ては「あれが… こんなんになるのか」と驚いたものです。

そして、職人さんの後継者問題。入社当時職場周り(職人さんへの荷物の配達)をしていた私は、職人さんと話すのが日課でした。

「おっちゃん、息子さん仕事継がへんの?」

働き盛りの息子さんがいる職人さんに私が話すと、

「お父さんみたいな、しんどくて稼がれへん仕事嫌やわ、お父さんみたいになりたくないって言われたんや」

職人さんは寂しそうに語りました。

事実最盛期には月収50万円以上を稼げていた職人さん達は、夫婦で収入25万円にも満たない状況になってきていました。「そりゃそうだな」私は力なく呟きました。

”稼げないと分かっていても親の道を辿る自分は変わり者。”

そして、多くの人達にとって、この和装業界、そしてものづくりの世界は、もはや魅力なき世界なのかも知れない・・・。

何より、ユーザーファーストのビジネスが出来ず、反対側で作り手を泣かしているようなこの仕事は一体何のためにあるのだろうか?自分は何の為に働いているのだろうか??

この時を境に日々自問自答するようになりました。

業界が悪だとは思いません。誰かを敵に回して攻撃したいわけでもありません。しかしながら、事実として、ユーザーファーストでない現状があり、職人さんの後継者がいないという問題があります。

「自分の使命は、ユーザーの寄り添った商品を生み出し、新しい販路によって適正価格・適正利益による商いを行い、ものづくりの後継者を育成していくことだ」

やがて答えは出ました。

今となって思うのは、“自分の使命とは、ある出来事や経験がきっかけとなり、自分の内側から湧いてくるものだと思います。私の挑戦は始まったばかりです。これからどんな素敵な人達と出会い、語り合えるかワクワクしています。

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