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【友情の総重量】#毎週ショートショートnote

「友情に重いとか軽いとかあるっていうのかい?」
「ある」
「重さねぇ…」
と西木は窓の外を見る。
夕陽がとてもキレイだった。
なんでこんな話になったんだろう?
そうだ。西木の裏切りだ。
「僕の好きな説があってね。運というのはみんな同じ分だけ持ち合わせているんだ。運のいい人というのはその運の使い方が上手い人であって、運がない人などいないって話」
何を言っているんだ?
「友情も一緒じゃない?友情の…そうだね。君の言う重さ、友情の総重量はみんな同じなんだ。それを誰にどれだけ向けているか?その違い。だから僕は決して薄情なんかじゃない。ただ君に向ける友情が彼に向けるものより少ない、軽かっただけ」
握った拳が震えた。
「裏切っていないよ。君が勘違いしただけだ」
迷わずズボンのポケットに入れていたそれを取り出した。
そしてゆっくりと息を吐く。
「試してみようか?」
「何を?」
西木がこちらを見て、目を見開く。
「君の運の良さを」
僕はそう言って引金を引いた。