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【エモすぎる謎ねぶた】#毎週ショートショートnote

「君は確か青森出身だったよね?」ディレクターに問われ「はい」と答えた。
「このねぶたのことを知っているかい?」
差し出されたのはSNS上で噂になっている「エモすぎる謎ねぶた」だった。
「噂は」
「これは何なんだ?」
正直どこがエモいのかわからない。ねぶたにしては小振りで些か拙さも感じる。これをエモいと表現されては青森県民としては釈然としない。が…。
「私、青森県でも南部地方の出身なので、ねぶた祭りもテレビでしか見たことないんですよ」
「え?」
「ねぶたの頃ってめちゃくちゃ混むのでわざわざ青森市まで行くのも面倒ですし、地元の祭りと重なっているんで」
ディレクターは理解できないというような顔で私を見た。
「ねぶたを知らない青森県民なんて…」
「知らないわけじゃないですよ。わざわざお祭り期間に行かないだけで、展示されているのは見たことあります」
「そんなの青森県民じゃない」というディレクターに「割と多いんですよ」と言ってプリントを返した。


続いてしまいました。