3:33

「昨夜、お腹が痛くなって夜中に目が覚めてさぁ」
「そいつは大変だったな」
「別にくだったわけじゃないんだけど、それでもトイレに行ったらガスが出て、まぁ、痛みも治ったけど」
「そいつはよかった。でもさ、ガスって…」
「まぁ、ね。自分でもびっくりしたさ。でさ」
「うん」
「びっくりしたのはそこだけじゃないんだ」
「何?なんか出た?」
「前の日も、夜中に目が覚めたんだ。ほら、風が強かったろ?」
「あぁ、俺も眠れなかったから酒飲んだ。俺、最近酒飲むと眠くなるんだ」
「弱くなったな」
「うるせえよ」
「あ、でね。目が覚めたとき時間を確認したんだ」
「うん」
「3時33分」
「まさか」
「そう、昨夜も3時33分」
「俺もさ、仕事していて飽きる時間がおんなじなんだ」
「へぇ」
「事務所で背伸びをしながらパソコンの画面で時間を見るじゃん。そうすると決まって4:44って。4時44分に集中力が切れるんだ。後の1時間弱は惰性」
「残業あったらどうするんだ?」
「なるべく残業はしない主義だ」
「いい社員だ」
「だろう?」
「で、思い出したんだ」
「ん?」
「若い頃、夜、プログラミングの勉強していて、ふと時計を見ると2時
22分。こんな時間かって思って寝るんだけど。やっぱりおんなじ時間が続くと気持ち悪いだろう?」
「そうかな?」
「少なくとも、俺は気持ち悪い」
「そうなのか」
「うん。だからさ、また始まったのかぁ、って」
「うーん、でもさ。おんなじ時間云々より、夜中に必ず目が覚めるのって嫌だな」
「まぁね」
「若くないんだし、もう」
「言うなよ。そういうこと」
「今夜は目が覚めないこと祈ってるよ」