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【強すぎる数え歌】#毎週ショートショートnote

「そっかぁ。数え歌を知らない世代というのもあるんだ」思わず独り言ちた。
自分がマネージメントしている作家のAYは小説だけでなくドラマの脚本から、アイドルに歌詞を提供したり、CMのキャッチコピーなど、その活躍は多岐に渡る。
そのAYに「新時代の数え歌」なる依頼が入った。AYなら簡単だろう?と思っていたが、そのAYに「数え歌って?」と訊ねられた。
ふっと思い出したのが子どもの頃祖父から聞いた数え歌だった。
「あぁ…」
後悔先に立たず。
YAは天才だが、実は感性は下ネタ大好き小学生だ。
「もうあの強すぎる数え歌が頭の中でぐるぐる回ってるぅ」
YAの中の小学生の悪ガキにあの数え歌がハマってしまったらしい。
「ねぇ、ねぇ。ハゲって数えるもんなの?」
そう言っては笑い、そして教えてしまった数え歌を口遊む。
「ひとつふたつはいいけれど」
「いいから、新しい数え歌を考えろよ」
「えー?これでいいじゃん。最強だよ?」
YAの口遊む数え歌を恨めしく思った。