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檸檬

「レモンってさ、小説のネタにもなるし、歌にもなるし、いいよね」
「いいよね、って、おまえ、何目線?」
「ん〜。ミカン?」
「なに?羨ましい?」
「恨めしいほどに」
「『み〜かん〜のは〜なが〜』」
「お!歌あるね」
「超有名なのがね」
「でも、今の世代はこの歌知ってるのかな?」
「どうかなぁ?」
「オレンジだと結構あるか?」
「時計じかけのオレンジも超有名だよな」
「それも今の子は知っているかなぁ?」
「どうしても、レモンのひとり勝ちにしたいようだな?」
「柑橘系だと無敵じゃね?イチゴとかリンゴとかはいろいろあるよね」
「イチゴは野菜だよ」
「マジ?」
「木にならないからね」
「そういう区分なの?」
「そうらしいよ」
「じゃあ、アボカドは果物?」
「そうなるね」
「アボカドの歌ってあるかなぁ?」
「思い浮かばないな」
「じゃあさ、スイカやメロンも野菜?」
「瓜だからね」
「そっかぁ。じゃあ、やっぱりレモンがひとり勝ちだな」
「そのまま食べられることはそうないんだけどね」
「そのまま丸齧りとかできるヤツってすごいよな」
「オレ、絶対ダメ。唾液腺刺激されすぎて、顎から耳まで痛くなる」
「そりゃあ、大変だ」
「グレープフルーツもダメだ」
「砂糖かけりゃいいじゃん」
「そこまでして食べたいと思わない」
「可哀想なグレフル」
「おまえ、レモン推しじゃなかったのか?」
「レモンってどうしてもてはやされるんだろう?」
「知らないよ」
「つまらないなぁ」
「なんだよ。それ?」