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【粒状の総料理長】#毎週ショートショートnote
「これ、間違いじゃないのか?」
加藤がお品書きのとある文を指差す。
先程のディナーパーティのお品書きを、今更のように見ているのは、仕事の関係でギリギリで飛び込んだせい。
「どこ?」
太田は、自分も同じものを持っているのにも拘らず加藤のお品書きを覗き込んだ。
「確かにツッコミどころ満載だ」
『粒状の総料理長を添えております。何なりと総料理長にお尋ねください』
「粒状の総料理長って?粒状の他の何かの間違いか?」
「でも添えてあるんだし。総料理長に尋ねろってことは…総料理長か?」
太田が首を捻る。
「総料理長、何に添えられていたんだろう?」
加藤がボソリと言う。
「俺たち綺麗に平らげてきたぞ」
「あ…」太田が自分の腹を押さえる。
「総料理長、食べちゃった?」
「まさか」
「総料理長の無事を確認するしかないな」加藤が言った。
「総料理長いたよ」
加藤が太田に電話をしたのはその二日後だった。
「ホッとしたよ」
本当にホッとしていいのか?加藤は少し気になった。