【アメリカ製保健室】#毎週ショートショートnote

日本ではアメリカ製の車がなかなか売れないというので、日本向けの新たな商品が提示された。その中のひとつが…
「保健室？」
「部屋を提供するというわけではありません。サービスを提供いたします」
「と、言いますと？」
そう言いながら資料をめくると、対企業の医療サービスについて書かれてあった。そもそも、アメリカの学校には保健室はない。ただし、学校によっては看護師が常駐する場合もある。
反面、企業においては専属の産業医を置いてるケースが日本よりも多い。
「アメリカ製保健室の提供するサービスは御社にとって有意義なものになります」
担当は悠長な日本語で語る。
「なるほど…」
いい手応えを感じた。と担当は思っている。
「しかしながら、すみません。いいお話ですがうちではお受けできません」
「何故です？」
「そちらのサービスだと社会保険も労働保険も適用にならないんです。残念ながら」
アメリカ製保健室を売り込みは、まず政府からか…と担当は決意を新たにした。

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