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ロンド

先日、ベーシストのあっちゃんからの差し入れでご実家の「卵サンド」をいただいたんだけど、これが絶品なの。
卵焼きとスライスされた胡瓜とマヨネーズ。このマヨネーズも市販のマヨネーズでね。卵焼きを挟んだサンドイッチは関西風とか聞いたことがあったけど、あっちゃんのお祖母さん、お母さんのお母さんは京都出身なんだって。
だけどあっちゃんのお母さんは東京で生まれ育ったんだって。
「じゃあ、このたまごサンドはお祖母さん味?」ってあっちゃんに訊いたら、あっちゃんはお母さんのサンドイッチしか知らないって。
あっちゃんのお母さんは、お祖母さんのサンドイッチ食べたのかなぁ…とか考えながら食べたけど、ホントね、美味しいの。
いくらでも食べられちゃう。

特別なものは何もないって言いたいけれど、パンは、あっちゃんの実家の近くに昔からあるパン屋さんの食パンなんだって。
同じ食パンをちょっと厚く切ったトーストが絶品だっていうから、僕ね、実はあっちゃんのお母さんのお店に行っちゃいました。
少し昭和の薫りのする喫茶店。
だけどお母さんがお店をやっているのは平成になってからだって。
お店の名前は言ってもいいってあっちゃんが言ってたから言っちゃうね。
「ロンド」
ロンドンじゃないよ。ロンド。音楽のね。ベートーベンの「エリーゼのために」もロンド形式の曲なんだ。うん。そう。フフ…音楽に携わっている人っぽいでしょ?
コーヒーとパンの焼ける匂い。カレーの匂いとケチャップの匂い。もう絶対ここのお店のは何を食べても美味しいでしょ?って思わせるお店。
でね。モーニングのトーストセットを頼んだの。
厚切りのトーストはバターがたっぷり塗ってあって、ハムエッグとサラダとコーヒーがミルク。コーヒーはおかわり無料。ミルクのおかわりは別料金だけど、一杯目ミルク、二杯目コーヒーだったらコーヒーは無料。
もうね。美味しいの。とにかく美味しいの。
トーストはサクッ、フワッ、ジュワッ。
ハムエッグは卵の硬さが絶妙。目玉焼きが苦手という人はスクランブルエッグにしてくれるんだって。
サラダには最初からドレッシングがかけてあって、業務用のサウザンドレッシングなんだって。あっちゃんが教えてくれた。
変な話。特に手を加えていないそれがとても美味しいの。
僕の他にも何人かお客さんがいて、みんなモーニングセットを食べてるの。他のも頼めるんだよ。だけど、みんなモーニング。
美味しいのもあるけど、お値段がいいの。
消費税込み350円。
ワンコインでお釣がきちゃうの。
すごくない?
あっちゃんが言っていたけど、持ち家だから出来るんだって。家賃払っての商売だったら絶対成り立たないって。
そうだよね。
モーニング2つ頼んでも700円。
僕ね、おかわりしちゃいました。モーニング。
お母さん、びっくりしてね。
びっくりした顔はあっちゃんに似てた。フフ。
コーヒーも美味しかった。
お皿もカップも白くて、ミルクピッチャーも銀色のあの小さいヤツ。
お砂糖入れも陶器の蓋付きのもので、テーブルもごくごく普通の木製のもの。椅子、ソファも年季が入っていてね。でもね、居心地いいの。

最後にレジでお金払う時にお母さんに「ひょっとして…」ってバレちゃった。
「いつもアツシかお世話になっています」って言って頭下げるの。
「いえいえ僕こそアツシくんがいないと音楽成り立ちません」って言ったらお母さんがとても嬉しそうにしていてね。
「これからもよろしくお願いします」「いえいえ、こちらこそ」なんてレジを挟んでペコペコしていたら、常連らしいお客さんが笑ってた。
なんかそんなとこまでテンプレパターンですごくいいんだよね。

僕の家からは、車で30分くらいかかっちゃう。
お店の裏に駐車場があるから全然車で行くのもいいんだけど、本当は、あの通りを散歩がてらに歩いて入る店なんだろうなぁって思った。
平日の朝なのにみんなゆっくりモーニング食べているのが印象的だったなぁ。
また行くつもり。モーニングもだけど、ランチも期待しちゃう。
だってね、あっちゃんが言うのよ。「何の変哲もない、普通のよくあるランチセットですよ」って。
あのモーニングを食べちゃあ、そのオーソドックスなランチセットも期待しちゃうよね。
シンプルに勝るものはないよなぁ…って思ったね。うん。

じゃ、曲いくね。
モーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の第四楽章

・・・あっちゃんに頼んで、食パン買ってもらおうかな?