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【木の実このまま税理士】#毎週ショートショートnote

最近新設される税理士事務所の名前が気になっている。「青空税理士事務所」「ひまわり税理士事務所」数人の税理士の合同事務所の場合が多い。保険屋のように合併のたびに名前が長くなるよりずっといいが、税金というあまり嬉しくない部分に携わるからか、青空やひまわりという明るいイメージの言葉を選ぶ傾向がある。弁護士事務所のよくわからない外国語もどうかと思うが、まるでおままごとの延長のようなネーミングセンスは如何なものか?と常々思っていた。
『木の実このまま税理士事務所』
思わずポカンと見上げてしまう。
看板ではリスが団栗を抱えている。
「こういう事務所に任せる奴っているのか?」
看板には「二階へどうぞ」ともある。
古本屋の2階にある「木の実このまま税理士事務所」に行くには古本屋内の階段しかないようだった。
「商売っ気ないなぁ」
いや。商売っ気のある税理士事務所というのもどうかというべきか?
ぶつぶつ独り言を言いながら、古本屋の扉に手をかけた。