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【56 課題】#100のシリーズ

課題というのはそれをこなすのも大変だけど、出す側も大変だと、高校の教師になってつくづく思う。
そして自分はなにゆえ「現国」を選んだのだろう?同じ国語でも古典ならこんな苦労はなかったに違いない。
生徒たちの小論文の課題を採点・添削しながらぶつぶつ呟く。
800字。400字原稿用紙2枚。
夏休みの読書感想文など原稿用紙5枚とか書かされていたはずが、何故2枚書けないのか?途中で力尽きているものも多くある。
どこかの何かをまるまるパクった内容で、最後だけ、テーマに寄せて結論を書いては、それまでの内容と全く違っていたり、そもそも何が言いたいのか全くわからなかったり、内容以前の問題だったり、と頭を抱えたくなるようなものがそこかしこにある。
彼らにどう指導すればいいのか?それが自分に対する課題だ。
ベテランの国語の教科主任も渋い顔をする。
「不思議な話なんだけどね」
主任がぼそりと言った。
「一昨年までのリモート授業の時は、論文の提出をネットで行っていたんだけど、その時は文字数だけはみんなクリアしていたんだよね」
手書きに戻った途端に文字数規定に到達しない生徒が出てきたのだという。
「文字を書くことからって…」
教科担当室が深い溜息に包まれたのも記憶に新しい。
自分はリモートが解除された、去年からこの学校に勤めている。
「ふーん」
思わず手が止まり読み入るものもないわけではない。
ただそれがこちらが出したテーマに沿っているか?と問われたら必ずしも頷けないのも問題だ。
「まったく…」
課題は山積みでなのである