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言葉にするだけで完結させたくない

『tomarigi report』第1話です。
これまで「tomarigiって、どういうお店?」と聞かれることや、どういうお店かを説明させていただく場面に何度も遭遇してきました。

喋り始めると、非常に調子良く言葉が出てくる僕ですが、自分自身についてや、tomarigiについてを言葉にしている時には、「なんか嫌だな~」、「なんか違うな~」という違和感が常にありました。

言葉で伝えることが全てではない

例えば、「tomarigiの空間は穏やかです」と言ったとします。
この時、僕が伝えたい「穏やか」という言葉の中身と、受け取った人がイメージする「穏やか」が完全に一致することはありません。

仮に凄く近いイメージを持ってくれても、それを確かめることは非常に難しい。
だからこそ、言葉だけで伝えることが全てではないと思っています。

言葉にすることは、限定すること

「tomarigiの空間は穏やかです」
そうやって言葉にして伝えてくれる時、僕はとても嬉しい気持ちになります。

それでも僕自身やスタッフに「穏やかな空間を作ろう」と、ハッキリとした言葉で伝えることは極力減らしています。

なぜなら言葉にすることは、限定することだと考えているからです。
僕やスタッフが考える「穏やか」という言葉に縛られて表現をしてしまうと、お客様が考えるイメージと違った状況を生み出してしまう可能性があります。
それは避けたいことなのです。

「toamrigiらしさ」を一緒に育てる

では、僕はtomarigiにいる時に何を意識しているのか。
それは僕の中の「tomarigiらしさ」と、スタッフやお客様の「tomarigiらしさ」を擦り合わせて、できるだけ近づけることです。

そのために、穏やかで良い空気感の時に「穏やかだね」と言うのではなく、
「tomarigiらしいね」と言うようにしています。

僕はこの空気感が好きだ。あの人はこの空気感が好きだ。
それぞれを尊重しながら、主語を「tomarigi」というお店にすることで、僕と僕以外の間で共通のイメージを育てるのです。

この声掛けを繰り返すうちに、常連のお客様から「tomarigiらしいね」という言葉が出てくるようになりました。
「この人はこういう場面をtomarigiらしいと感じてくれるのか、嬉しいな」と、貴重なインプットに繋がっています。

それでも言葉にしていく

「言葉にすることは、限定すること」と書きましたが、
それでも、その先があるのではないかと考えています。

言葉にしても、限定せずに伝えることができる。
僕がtomarigiを通して想ったことを言語化しても、そこに余白を含んで届けることができる。

僕の言葉の使い方がもっと上手になったら、きっとできるはずです。

『tomarigi report』の連載には、そんな希望が込められています。
まだまだ未熟な僕の成長記録として、楽しんでいただけると嬉しいです。

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