感想:あおいさん延長お願いします:飯の話に注目すべし

本作は若くて綺麗なお姉さんが、労働の後にお客さんや仲間と談笑し、下町の気取らない店の食事を堪能する日常系グルメマンガです

ただ一つだけ特殊なのは、そのお姉さんの職業が風俗穣という点です。
作中の名刺を見ると店の住所が千束とあり、高級風俗店が多い場所です。

作中の客の差し入れた菓子を食べる場面について、「風俗店の客がくれた食べ物なんて何が入っているか分からないのに食べるなんてありえない」という意見もありましたが、高級風俗店の客層ならば、そこまでの異常者は少ないと思われます。高級店は客層が良いだけでなく、店側の保護も厚いので、異物混入した客は2度と来店できなくなります。
「風俗穣はクズ男の性欲処理で糊口をしのぐ哀れな弱者」と思い込んでいると、客からの差し入れのマカロンを食べる微笑ましい場面さえ、何かおぞましいものに見えてしまうのでしょう

この作品は、私達のような庶民では手の届かない高級店で働くエリートが、庶民のお店で息抜きをする話なのです

自分とは縁遠い世界の人が自分達と地続きの店で同じように飲み食いしているのを見て、労働の後の飯が美味いのは万人に共通なのだと私は思いました

主人公が美味しいそうに食べる場面を見て、私もそれらの店に行きたくなりました。
本作は、とても良いグルメマンガです

マンガの粗探しは無益

リベラルな思想の人(特にツイフェミの呼称で呼ばれる類の人)は、このマンガの設定に激怒し、このマンガの粗探しを懸命にして「この描写が間違っている」と得意げに晒していますが、無益な態度だと思います。

執拗に粗探しをすれば、ブラックジャックには間違った医療描写があり、プラネテスは間違った宇宙描写があり、鬼滅の刃には間違った時代描写があります。

どんな作品からでも間違った描写を見つけるのは簡単なことです。
他人の作品を罵倒するのが目的で間違った描写を探す人は、全ての創作を侮辱するに等しい浅はかなことをしています。

本作は、日常のドラマシーンの後に来る食事シーンがメインと言えます。
いわば孤独のグルメと同じ構造をしている作品です。

そういえばラバーガールというコメディアンのコントに、孤独のグルメのドラマシーンを熱心に語り、食事シーンを「何か食べてた」の一言で済ますというものがあります。

本作の食事シーンに注目しないで、風俗嬢の設定にばかり言及するのはそれと同じ変なことをしているわけです。

本作は食事の話が魅力的な作品なので、是非ともそこに注目して読んでいただければと思います

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