感想:宇宙人のかくしごと(1):真に理解できない他者を描いた作品

本作は、告白した女の子が実は宇宙人だったという「よくある話」です

ですが、この手の作品の多くは、ヒロインが宇宙人という設定でありながら、その内面は少し変わった価値観を持つだけの普通の不思議ちゃんでしかなく、人間相手のラブコメと変わらない話になったりします

もちろん、そういう温い話も悪くはないのですが、本作はそういう作品とは一線を画すハードさがあります。
本作のヒロインは「真に理解不能な他者」です。
彼女が食事の習慣から死生観まで人間と異なるせいで、予想外の過激な事件が起こり、ラブコメになるどころかホラーサスペンスの様相を呈しています。
しかし、それでいながら、本作の根幹は「ヤキモチを妬いた彼女が引き起こすドタバタ・ラブコメ」であり続けています。
実に不思議な読み心地がする作品であります。

本作は真に人間と異なる理解不能な他者を用いることで、逆に本当に人間らしいというのはどういうことなのか?を問いかける作品にもなっていると思いました

本作が今後にどんな展開になるのか楽しみですが、心配なこともあります。
本作は分かりやすいラブコメではなく、理解不能なヒロインに共感するのが難しく、重い話も続くので、普通のラブコメファンからの人気を得られずに打ち切られてしまうのではないかと危惧します。

本作はミステリーやSFが好きな人に刺さる作品だと思いますので、もしあなたがミステリーやSFが好きなのでしたら、是非とも本作を読んでみてください

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