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クレソンの本を購入したら、なぜか市村正親さんの「個性を伸ばす方法」を学んだ話

存在感のない野菜


クレソンはステーキの横にチョコンと備えられている、目立たない野菜です。

主役はもちろんステーキ。

ぼくも人生の主役となって、仕事やプライベートでも充実して人から注目をされたい。でも、現実はそんなに甘くない。

誰もが人生の主役でありたい。スポットライトを浴びて注目されたい。そんな願望があるのではないでしょうか?

確かにクレソンという野菜は目立たないかもしれません。しかし、クレソンはただの脇役ではないのです。

お肉とクレソン


えっ、一流の俳優さんがクレソン栽培をしているの?


ぼくは、山の中の水田でクレソンを栽培しています。水田の周りは雑草が生い茂っていて、毎日草取り作業に追われてばかり。

農業は体を動かすのが当たり前なのだが、知識を学ぶことも必要です。

ネットで『クレソン』、『本』を検索したところ、すぐに目が留まった本があった。

それは「ステーキの横のクレソン」という本だ。

著者は俳優の市村正親さん。市村さんは舞台や映画で長年活躍されている大俳優です。初期の劇団四季でも活躍されていました。

そんな一流俳優の市村さんが、なぜクレソンのことを書いているのだろう?もしかしたら自宅でクレソンを栽培しているのかも。

急に親近感が湧いてきたぼくは、さっそく市村さんの本をネットで購入しました。

うそでしょ?クレソン栽培のことが書かれていない


一流の俳優さんはどのようにクレソンを栽培しているのか、どれどれ読んでみるとしますか。

えっ!いくらページをめくっても、クレソンのことが書かれていない。本の内容をいうと、市村さんの生い立ちから、俳優業、プライベートのことばかり。

いったん落ち着いて考えてみよう。一流の俳優がクレソン栽培をする時間が一体どこにある?忙しいに決まっている。

ん?ちょ、待てよ!もう一度、ペラペラとページをめくると「ステーキの横のクレソン」と見出しで書かれているぞ。どれどれ読んでみよう。

むむむ!


クレソンに関する内容が、たった5ページ!

なんだよ、中身の薄い本だな。買って損したよ、やれやれ。
と、思いきや、この5ページに書かれている浅利慶太さんの言葉が、ぼくの心にとても響いたのです。

市村さんのエッセイ


ステーキの横のクレソン


劇団四季で市村さんが、浅利慶太さんに言われたこと。

人から何か教えてもらうのであれば、待ってはいけない。
とくに、役者たるもの、演出家に料理されなければ意味がない。だから目の前のまな板に自らドーンとのって、さーどうにでもしてくれと身を投げ出すのが一番だ。

人から何かを学ぶということは、素直に話を聞くことが必要だ。そのために「この人からすべてを吸収しよう」と勇気を出して行動することが大事です。

人間は一般的に年齢を重ねると他人からの指示を嫌がる傾向があります。ぼくも、素直に意見を受け入れられず、落ち込んだことは数知れず。

「お前は、本当に言うことをきかない。頑固だなぁ」
ぼくが友人に言われていた言葉です。頑固とは誉め言葉だと、はき違えていて人の言うことを聞かないのは、かっこいいと勘違いしていました。

でも、今となって分かったことは、人に対する感謝の気持ちが足りなかったから、アドバイスを受け入れられなかったのかも知れません。

浅利さんが市村さんに厳しくしたのも愛情があるからこそ。
「ありがとう」と相手に感謝することを忘れなければ、人から言われた言葉を素直に受け入れて、人間は成長し続けます。

新しい役をやるたびに、ものすごく怒られもしたし、ほめられもした。大声で怒鳴られてダメだしをもらったことや泣かされたことも数しれず。

人から怒られると、誰でも精神的に落ち込みます。それでも市川さんは、もっと成長したいという気持ちがあったからこそ、浅利さんから「演技指導を学び続けたい」という意欲があったのではないでしょうか?

誰でも、人から怒られると、めちゃめちゃへこみます。そりゃ、ぼくだってブルーになります。

今から3年前に、Ⅽさんと居酒屋で飲んだ後に、カラオケ店へ行ったときのこと。

「ひ~とみ~を閉~じて~夢を~描くよ~そ~れだ~けでいいいー」
平井堅の歌を、キリンぐらい首を伸ばしてビブラートをかましていた僕にⅭさんが言いました。

「君、歌下手だね。でも大丈夫、楽器を練習しながら歌を練習したら上手くなるよ」

Ⅽさんはプロのジャズサックスプレイヤーで、音楽の仕事をして生計を立てている人です。そのⅭさんからアメとムチを上手に使われたぼくは、一か月後にウクレレを練習するようになりました。

その理由は、サックスよりもウクレレを習った方が歌も唄えるし、リズム感も良くなるみたい。

「違う!もっと優しく!こんなにカチカチに緊張しながらウクレレを弾くんじゃない!」
Ⅽさんは、ぼくにウクレレを早く上達してほしかったのか、厳しいレッスンの日々が続きました。

まるで、浅利さんと市村さんの師弟関係のようだ。師匠は弟子に自分以上の存在になってほしい、だからこそ厳しい発言もするのだろう。

それからというもの、厳しいレッスンに耐えたぼくは、ザ・ブルーハーツの「リンダ・リンダ」を弾けるまでに上達しました。


筆者ではありません


「他人の時計じゃない、自分の時計で考えろ」「主役はあまり文句を言うな」「役を一生懸命生きると、仮面が透けて中の役者の顔が出てくる」等々。
こうしたひとつひとつの教えは、今も僕に深い影響を与えている。

浅利さんから熱心に演技の基礎を教えられて、自分の心の中に落とし込んでいく、とても努力家の市村さん。

基礎ほど大事なものはない、そして、基礎ほど地味なものもない。

ぼくにも、クレソン栽培の師匠がいます。年齢は70歳ぐらいの小柄でよく喋る女性です。師匠は、ぼくに口癖のように言いました。

「3年間、毎日水田に行ってクレソンを観察しなさい。毎日クレソンを見れば、クレソンのことが分かってくるよ」

そうか!毎日水田に行ってクレソンを観察するだけでクレソン栽培の技術は上達するんだ。

師匠にアドバイスを頂いた日から、雨が降ろうが、雷が鳴ろうが、山が火を噴き海が荒れようが、毎日水田でクレソン栽培しています。

水田で一人で農作業をしているので、ものすごく地味な作業です。
しかし、師匠の言う通りに行動をしたおかげで、クレソン栽培の技術は向上し、商品化まで実現しました。


ベビークレソン


たくさんのいい言葉ももらった。
「お前はステーキについているクレソンみたいなやつだな」とも言われた。
「どうしてステーキじゃないんですか?」と聞くと、「ステーキにはクレソンが絶対必要なんだ」と言った。

クレソンはステーキの横に備えられているだけの野菜。どうしてステーキには、クレソンが必要なのだろうか?

考えれば、この言葉は深い。
刺身にワサビ、寿司にショウガ、ステーキの横のクレソン。主役ではないかもしれないけど、そこには欠かせない個性ある存在。それが僕。

なるほど。目立たないと思われている脇役にも、個性があるってこと。だからクレソンも市村さんも個性が輝いている存在なんだ。

役者として一人前に育ててもらった恩は忘れられない。
その僕もいつしかステーキのような役者になったとも言われたが、年とともに又、クレソンになりたいと思っている。

『ステーキの横のクレソン』より 市村正親

役者として成功しても、浅利さんに言われたことを大切にしている市村さん。原点を忘れない人間は強いですね。

クレソンもあなたも、ただの脇役ではないのです


クレソンはステーキの横にチョコンと備えられているだけの野菜だと思っていました。

市川さんが浅利さんに言われたように、クレソンはステーキに、どうしても欠かせない存在なのです。

僕は、この本を読むまでは、いつも誰かの脇役で人生を歩んできた気がしていました。

しかし、これからは頭がいい人、プラス思考の人、そういう人の隣で何かを学ぼうと思っています。学び続けるからこそ、個性ある人になることができます。

ステーキの横のクレソンのように、あなたも誰かを輝かさせる存在になりませんか?。

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