三権分立は憲法に書かれていない、日本国憲法で規定されている国政の構造。
これから、数回にわたって、不定期で、#民主主義 について書いていこうと思います。
最初のお題は#三権分立 です。
私の記憶が正しければ、小学校の5年生くらいのときに学校で習った記憶があります。
内容は忘れていても、この言葉を知らない、初めて聞く、という方はあまりいないのではないでしょうか。
三権分立の趣旨は、国家権力を三つに区分して、それぞれ独立させ、互いにけん制しあうことで権力の暴走を防ぐことが目的だと、私たちは習ってきました。
以下が、40年以上前に、私が学校で教わったことです。
(今は、三権分立がどういう風に学校で教えられているかはわかりませんが)
・国会と内閣の関係については、国会は内閣総理大臣の指名、内閣不信任案の決議を行い、内閣は衆議院を解散することができ、互いにけん制しあっている。
・国会と裁判所の関係については、国会は弾劾裁判により裁判官を罷免することができ、裁判所は国会が制定する法律が憲法に違反していないかを判断することで、互いにけん制しあっている。
・内閣と裁判所の関係については、内閣は最高裁判所の長官を指名し、その他の裁判官を任命し、裁判所は行政処分の違憲・違法審査をすることで、互いにけん制しあっている。
しかし、実際は #日本国憲法 に三権分立という文言は出てきません。
この三権分立の説明は、主権者である国民が抜けています。
国民が主権者であることに関しては、日本国憲法で下記のように記述されています。
日本国憲法
前文
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。
三権分立の話は、主権者である国民が抜けていて、国民が権力者を監視、牽制、権力行使するという民主制の重要なプロセスが書いてありません。
実際、日本国憲法には、主権者である国民と天皇が加わって5つの主体が書かれています。
国民が主権者として国政の最上位に位置付けられ、国会は主権者が選定した代表により構成されているので、主権者より下位に位置します。
内閣に関しては、国権の最高機関である国会が、国民を代表して、行政府の長の内閣総理大臣を指名するので、本来内閣は国会の下位であり、行政権の行使を国会から委任されているだけです。
また、同じ理屈で、裁判所(司法)も、国権の最高機関である国会より下位になります。
内閣総理大臣は三権の長とも言われているようですが、こんなことは憲法には書かれておらず、本来、三権の長は主権者である国民だと思います。
以上、ご説明したことを、信任と監督という観点からいうと、関係はこうなります。
[上位→下位]
国民(主権者)
↓
国会(立法府、国権の最高機関)
↓
裁判所(司法)、および内閣(政府)
↓
官僚(行政機関)
また、日本国憲法第五章内閣の条文には、内閣の衆議院解散権に関する条文はなく、日本国憲法第一章天皇の中の条文に次の規定があるだけです。
第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
三 衆議院を解散すること。
この内閣による衆議院解散は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したとき以外は(第六十九条)、内閣が憲法第五章で定められた権限以上の権力行使をしていることになり、違憲だと思います。
さらに、内閣総理大臣には最高裁長官の指名権、ならびにその他の裁判官の任命権もありますから、司法は行政から完全には独立していません。
以上、述べた#日本国憲法で定められている国政の構造 を次の図に纏めてみました。
このように、国民が、三権の上位に位置し、主権者として公権力をコントロールすることが、日本国憲法で規定されてる民主制といえます。
さて、三権分立に関してですが、学校で生徒が先生に
「そんなことは憲法に書かれていませんよ」「主権者が書かれていないのはなぜですか」
と指摘したら、先生は何と答えるのでしょうか?
それでは、最後にこちらもよろしくお願いいたします。
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