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アスフレ観戦記『22年11月度』

アースフレンズ東京Z(アスフレ)の11月度を振り返ります。皆さんは、11月度をどのように評価していますか?

第6節:希望の光

10月度の成績は、東地区最下位の2勝7敗。降格が薄っすらと見え始めたからか、フロントはオンコートに大きなテコ入れを実施。新たな体制で巻き返しを図りました。

◎選手(こちらは成績関係なし)
・短期契約満了:ロバート・サンプソン
・新規契約:アディソン・スプライル

◎ヘッドコーチ(HC)
・契約解除:橋爪淳
・代行HC就任:衛藤晃平(GM兼任)

新体制の初陣は、西地区の長崎ヴェルカが相手。B3から最短でB1昇格を目指している強豪であり、力試しとしては持って来い・・・だったのですが、何と新規契約のアディソンを含む主力3人が欠場。新体制ではなく、ベンチメンバーを試す場となってしまいました。

結果は、2戦連続ブローアウトの敗戦。レジナルド・ベクトン(レジー)のファールトラブルがあり、オール日本人で戦う時間帯も長かったので、仕方ありませんね。

ただ、悲観するような敗戦では、決してありませんでした。暗闇の中でも、確かな光がそこにあったからです。

Game1。主役はウィングの大矢孝太朗。持ち前の身体能力を活かしたディフェンスもさることながら、この日は特にオフェンスが素晴らしかったです。高確率で3Pショットを4本を決め、キャリアハイ&チームハイの20得点。橋爪体制ではベンチを温める時間が多かったのですが、その采配が間違っていたことを自ら証明しました。

短期契約満了でチームを去ったロバート・サンプソンは、203cmのビッグマン。新たに契約したアディソンは、193cmのハンドラー。サイズダウンが心配だったのですが、この試合をきっかけに、大矢はインサイドでも存在感を発揮するようになりました。

Game2。主役はハンドラーの岡島和真。チーム最年少19才は、大矢と同様にディフェンシブプレーヤーながら、オフェンスで会場を大いに沸かしました。

チームハイ&キャリアハイである15得点のうち、ハイライトは2回。長崎のフィジカルモンスターであるジェフ・ギブスを、スピードのミスマッチで料理したプレー。1回目は完全に振り切ってレイアップ。2回目は左右に揺さぶってプルアップジャンパー。どちらもお見事でした。

今シーズンは、ハンドラーが5人にいます。橋爪体制における岡島の序列は、その中で最後尾の5番目。シーズン序盤は、ガベージタイムですらプレーさせてもらえず、我慢の日々が続いていました。

それでも、この試合を機にジャンプアップ。以降は、コンスタントに10~20分くらいのプレイタイムを確保し、ハンドラーのタイムシェアが大いに進みました。大ベテラン40歳の城宝を、クラッチタイムにフレッシュな状態で投入できるのは、岡島の功績と言っていいでしょう。

大矢と岡島。橋爪体制で燻っていた二人が、新体制で眩い光を放って活躍。橋爪HCの不可解な契約解除によって、オフコートにはかなりの混沌があったのですが、体制変更の良い面が示されたことで急速に沈静化。前向きに、新たな戦いへ進むことができました。


第7節:心一つに

雨降って地固まる。前節の試合後に、選手からも前向きな気持ちが多数発信され、巻き返しの機運は確実に高まっていました。でも、そう簡単に物事を運ばせてくれないのが、俺たちのアスフレです。

外国籍ビッグマン&チームNo.1スコアラーのイライジャ・トーマスが、双方合意で契約解除。チームを取り巻く状況は、またもや混沌としてきました。

Game1。オフコートの混沌はどこ吹く風。今節も外国籍選手はレジーのみで戦うことになりましたが、選手は攻守でより一層のパファーマンスを発揮。不利な状況を跳ね除けてくれました。

ディフェンスは、外国籍選手の数で劣るため、やはりペイントが厳しかったです。パワーとサイズで押し込まれる場面が何度もあり、相手にオフェンスリバウンドを22本も奪われてしまいました。

それでも、アスフレが、大きく崩れることはなかったです。大黒柱のレジーと前節でブレイクした大矢は、余計なファールをせず我慢を続け、ペイントの被害を最小限に抑えてくれました。

オフェンスは、誰か1人が特出するのでなく、出場した全員が活躍。ビッグマンはビッグマンのできること。ウィングはウィングのできること。ハンドラーはハンドラーのできること。それぞれの役割がきちんと整理され、チームの総アシスト数はシーズンハイの26個。相手に的を絞らせず、効率よく得点ができていました。

Game1は、良いかたちで勝利。何とか連勝し、借金を一つでも減らしたいところだったのですが、Game2は相手のゾーンを攻略できず、残念ながら落としました。

それでも、ロスターが揃っていない状況でしたので、1勝1敗は御の字ですし、地力があることの証拠です。フロントがロスターを揃えられるのであれば、もっと勝てるのは間違いありませんでした。繰り返します。フロントがロスターを揃えられるのであれば・・・。


第8節:オールドスクール

第8節の対戦相手は、アルティーリ千葉。第6節で戦った長崎と同様に、B3から最短でB1昇格を目指している強豪。選手のタレントは、相手が圧倒的に上です。それなのに、こちらは外国籍選手の2枠が空き。さすがに勝つ見込みはないだろうと考えていたところ、ロスターに一つ進展がありました。

イライジャの代わりに、アスフレに昨シーズン所属していたビッグマン、ジョシュア・クロフォード(JC)の加入が決まったのです。依然として戦力で劣っていることに変わりはないのですが、ちょっとだけ戦力差を詰め、試合に臨むことができました。

Game1。スタメンにはJCが早速入り、レジーとJCでオールドスクールなツインタワーを構築。インサイドの壁は、かなり高くなりました。

但し、この試合において、その利点はほとんど無かったです。むしろ、インサイドの壁と引き換えに失った走力が、大きな弱点となってしまいました。

千葉のオフェンスは、言わば現代的。ポストアップの機会が少なく、ピック&ロールやカットプレーを織り交ぜながら、人とボールを目まぐるしく動かします。

それをマンツーマンで守るには、相手をしっかりと追いかける走力が必要です。しかしながら、重量級のビッグマンであるJCとレジーには、そもそもその走力がありません。あっさりと振り切られ、アウトサイドからショットを決められる場面が何度もありました。

マンツーマンがダメなら、ゾーンはどうか。残念ながら、それでも答えは変わりません。

アスフレが使う2-3ゾーンの場合、比較的に動きが少なくて済むのは、3の真ん中に当たる人だけ。レジーとJCのどちらかは、動き回る必要が出てきてしまいます。1人の遅れが全体の遅れにつながり、簡単にワイドオープンをつくられてしまいました。

この試合で被弾した3Pショットの数は16本。成功確率は何と51.6%。ツインタワーでいくらインサイドの壁を高くしても、アウトサイドでここまで好き放題やられてしまったら、勝利はノーチャンスです。34点差の大惨敗。オールドスクールな構成に、絶望的な限界を感じました。

念のため補足しておきますが、JCとレジーに敗戦の責任はないです。コートを広く使う現代バスケにおいて、走力がない彼らを併用するリスクは、試合前から分かっていたこと。責任があるとしたら、使われた側でなく、使った側です。

とはいえ、使った側を責める気にもなりません。急な契約解除が重なり、数少ない選択肢から選ばざるを得なかったロスターは、相手によって戦い方を変えられるほどの多様性を全く持っていないからです。JCが入ってくれて、戦力アップしたのは間違いないのですが、普通に戦えるだけの多様性を得るのには、アディソンの合流が必要であることを痛感しました。


第9節:見えた方向性

第9節の相手は、開幕節で1勝1敗だった山形ワイヴァンズ。千葉と同様に、現代的なオフェンスを展開してくるため、戦況はまたもや『現代vsオールドスクール』の構図になってしまいました。

Game1。アスフレは、山形の現代的なオフェンスに、やはり全く付いていけなかったです。特にJCは、ただ付いていけないだけでなく、もはや穴として徹底的に狙われました。マンツーマンにしろ、ゾーンにしろ、JCのいるサイドから崩され、数多くの3Pショットを被弾。前節の千葉戦と全く同じ展開で、ブローアウトの敗戦となりました。

Game2。JCが合流してからは、3Pショットのサンドバッグと化していましたが、ここでようやく対策が打たれました。スタメンからJCを外し、藤岡を抜擢。高さよりも走力を重視し、ツインタワーを自ら解体したのです。

これがまさに大当たり。山形の現代的なオフェンスに、走力で対応できるようになったため、相手の3Pショット成功確率は前日よりも約14%減少。もちろん、パワーや高さでは不利を背負うことになりますが、そもそも山形のロスターはそこまでインサイドが強くありません。レジーかJC、どちらか1人がいれば十分。むしろ交互に起用することで、高い強度を保ったDFを1試合通して遂行でき、失点は前日より30点も減少しました。

残念ながら、試合は惜敗でしたが、このチームが目指すべき方向性は、さすがに明確になったでしょう。外国籍選手が特別な存在であっても、デメリットが大きすぎるツインタワーを安易に選択するのはNG。メインは、走力を重視し、外国籍選手を交互に起用するOn1。

それに、いつ合流するか分からないアディソンもハンドラーですから、ツインタワーをメインにするよりも、On1のバスクを突き詰めた方が、スムーズに溶け込める筈です。

ちなみに、12月度の初戦で戦う福島は、割りと重めなロスターです。山形と同じ戦い方をしたら、失敗する可能性もあります。ツインタワーを解体するのに3試合も掛かった衛藤代行HCは、柔軟に対応してくれるでしょうか。采配に注目です。


11月度月間MVP:大矢孝太朗

苦しいチーム状況だからこそ、良い活躍をした選手は素直に褒めます。11月度の月間MVPは、大矢孝太朗です。

ディフェンスとオフェンスの両面で、スタッツにも、印象にも残るプレーをしてくれました。3&Dとして言うことありません。

ツインタワー採用でプレイタイムは減ってしまいましたが、ハンドラーのアディソンがロスターに入った場合、フロントコートで多くのプレイタイムを貰う筈です。巻き返しの重要なピースとして、今後も期待しています。

今月の総評

最後に11月度の総評です。

11月に入る前、橋爪HCの契約解除が発表されました。その事由は、成績不振。外国籍選手の入国が他チームより遅かったり、急な契約解除でロスターが変更になったり、フロントのオペレーションにも少なからず問題はあったのですが、そこは一切考慮されない非情な判断です。

しかし、結果論になりますが、その効果は勝敗に表れていません。それどころか、レーティング等の数値で示せるものはことごとく悪化。前を走る他チームの背中が、ちょっとずつ確実に遠ざかっています。

どうして勝てないのか。今月に限っては、選手のパフォーマンスでなく、フロントのオペレーションに言及すべきでしょう。橋爪HCを契約解除した時は無かったことにしましたが、皮肉なことに、今月はそれが思い切り足を引っ張っています。

契約解除が急だったことにより、イライジャの代わりが見つからないまま臨んだのは4試合。ビザの取得に手間取り、アディソンが合流できないまま臨んだのは8試合。結局、11月度は3枠の外国籍選手が一度も揃っていません。

唯でさえ戦力は他チームより低いのに、トップタレントである外国籍選手がいないのですから、戦う以前に勝敗は見えていました。

今シーズンは、山野代表が編成から身を引き、チーム史上初の専任GMによる編成がスタート。明確な意図を持ったロスターを、ようやく構想できるようになりました。しかし、それを実現できるだけの力は、まだまだ足りなかったのでしょう。

降格が掛かったシーズンなだけに、早急に何とかして欲しいのですが、簡単にどうにかできる問題でもありません。今はこの現実をありのままに受け入れ、我慢して待つしかないでしょう。間違っても、勝てないことの怒りや焦りを、選手へ向けることはしません。シーズン前から今に至るまで、彼らはフロントに振り回され続けていますが、本当によく戦ってくれていますので。

あ、もちろん降格回避を諦めた訳じゃないですよ。こんな状態でも勝てる選手たちには、可能性しか感じていません。まだまだここから🔥。

Go Win Z ! ! !


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