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アスフレ観戦記『22-23季の総括』

アースフレンズ東京Z(アスフレ)の22-23シーズンが終わりました。結果はご存知でしょうが、そこに至る過程を振り返ってみましょう。

0.前日譚:山野代表がもたらした闇

『解体』
習慣的にNBAをご覧になる方なら、お馴染みのチームビルディング。チームをゼロベースでつくり直すために、主力選手を一気に放出することがそう呼ばれています。

少なくとも私が見てきた4年間、アスフレのチームビルディングは、まさにこれの繰り返し。運営会社の代表、及び、チーム編成も担っていた山野勝行(山野代表)は、とにかく人を入れ替えることでチームの強化を図ってきました。

アスフレ解体の歴史
◎18-19シーズン:古田体制
⇨シーズン11/18位 HC含めて解体

◎19-20シーズン:東頭体制
⇨シーズン16/18位 HCを残して解体

◎20-21シーズン:東頭体制
⇨シーズン15/16位 HC含めて解体

◎21-22シーズン:ウーゴ体制
⇨シーズン12/14位 HC含めて解体

しかし、それが上手くいくことは全くなかったです。繰り返します、全くです。

成績が示す通り、ゼロからのチームビルディングを繰り返すアスフレと、確実に成長を積み上げていく他チームとの差は、開く一方。未来への希望が、全く見えなくなっていました。


1.オフシーズン:痛恨の遅れ

降格制度が復活する今シーズン(22-23季)、山野代表もこのままでは不味いと思ったのでしょう。チーム編成の専門職であるゼネラルマネージャー(GM)の採用を、遂に決断しました。

山野代表のコメント(意訳・抜粋)
『権限、役割、責任を明確にしないといけない。今まではGMがいなかったので、バスケットボールをわかる人を置き、役割を明確にし、しっかりと権限を渡す』

選ばれたのは、衛藤晃平(衛藤GM)。トップカテゴリーでのコーチング歴が長く、山野代表よりもパスケに精通しているのは間違いないのですが、Bリーグ界隈ではパワハラ加害者としての方が有名でしょう。

香川ファイブアローズのHCを務めていた時、選手やスタッフに暴言・暴力を行っていたことが発覚。Bリーグから職務停止処分を科され、バスケ界から離れていたところを、山野代表に拾われるかたちでアスフレに入団。1年間のスタッフ業務を経てのGM就任でした。

喉から手が出るほど欲したGMは、能力が未知数なうえに拭いきれない過去を持つ人物。降格があるシーズンを衛藤GMに託すのは、ちょっとだけ落胆もありました。

ただ、実際の仕事ぶりは、望んでいたGM像そのもの。山野代表によるチームビルディングの問題点をしっかりと分析し、スモールバジェットのチームが戦える現実的な方法を模索してくれました。

本当に何もないゼロからの構想でしたので、全ての選手契約を終えたのは、他チームよりも1.5ヵ月ほど遅れた8月末。ファンとしては一向に進まない契約にやきもきしましたが、出来上がったロスターは間違いなくチーム史上最強でした。

しかし、しかしなのです。このロスターが力を発揮する場面はありませんでした。構想から契約に至る過程での遅れが、現場を大きく狂わせることになったからです。


2.シーズン序盤

2-1:揃わないロスター

後々になって分かったことですが、東京の出入国在留管理庁は、この年から新規ビザの審査を厳格化。色々とやり取りが増え、許可がおりるまでの期間が長引いていたそうです。

継続(更新)であるレジナルド・ベクトン(レジー)以外の外国籍選手、ルブライアン・ナッシュとイライジャ・トーマスは、もろにその影響を受けました。選手契約までの遅れが約1.5カ月。ビザ取得にかかった時間が約1ヵ月。結局、彼らが入国できたのは開幕直前。全員でチーム練習をする時間は、ほとんどありませんでした。

さらに追い打ちをかけるかのように、ナッシュが入国後のメディカルチェックで何か問題発覚。スコアリーダーになることを期待した選手だったのに、契約解除せざるを得なくなりました。

代わりに、3x3で入国していたロバート・サンプソンを短期契約で確保できたものの、選手のタイプは全く別。当初の構想からは大きく逸れたロスターで、開幕節の山形戦に挑むことになりました。

そういった経緯がありましたので、試合でのチームの動きは、やはりまだまだ未熟。連動したプレーを上手く出せず、対戦相手の山形に終始ペースを握られました。ここ数年お馴染みになっているブローアウトの敗戦が、頭をよぎった人もいるでしょう。

それでも、今シーズンのロスターは本当に逞しかったです。苦しい展開でも我慢に我慢を重ねて粘り、勝機が来たら全員で一気に反撃。最後は生え抜きの栗原翼と新規加入の城宝匡史のクラッチプレーで、劇的な逆転勝利となりました。


2-2:HC契約解除

開幕直前のロスター変更、且つ、ほぼぶっつけ本番で望んだ開幕戦を勝利。残留の可能性を大いに感じさせてくれたのですが、物事はそう簡単に進まなかったです。

というのも、開幕戦はあくまでもラッキーパンチ。普通に戦えば、成熟度の差は歴然でした。以降はブローアウトの敗戦がぽつぽつと出始め、10月度の成績は2勝7敗。気付けば、定位置の最下位争いに収まっていました。

ここで、フロントは成績不振を事由に新米HCの橋爪純を契約解除。外国籍選手の入国が他チームより遅かったり、急な契約解除でロスターが変更になったり、フロントのオペレーションにも少なからず問題はあったのですが、そこは一切考慮されない非情な判断です。

代わりのHCは、衛藤GM(※)。権限を渡すとか、役割を明確にするとか、ご自身で宣言したことを簡単に覆した山野代表が指名し、GMとHCを兼任することになりました。
(※):以降は衛藤HCと呼称。


2-3:続・揃わないロスター

HCの人事に合わせて、選手の方もいくつか変更がありました。以下が、変更一覧です。

◎退団
・イライジャ:契約解除
・サンプソン:短期契約満了

◎入団
・ジョシュア・クロフォード(JC):短期契約
・アディソン・スプライル:シーズン契約

サンプソンの退団は、最初から短期契約だったので想定通りだったのですが、イライジャの契約解除はちょっと驚きました。ただ、優れた能力とは別に、性格的にチームの爆弾になりかねない選手であったのも確かです。割りとすんなり飲み込めた気がします。

入団側を見てみると、短期契約、且つ、ビッグマンのJCは、イライジャの代わりが合流するまでの繋ぎ。シーズン契約、且つ、ハンドラーのアディソンは、シーズン前に契約解除となったナッシュの代わり。この変更により、ロスターはシーズン前の構想にだいぶ近づきました。

但し、あくまでも契約発表であり、それをすぐには実現できなかったです。既に入国して他チームでプレーしていたJCとは異なり、日本でのプレーが初めてのアディソンは、新規のビザ申請。例に漏れず、ビザ取得までに約1.5ヵ月を要しました。

その期間、アクティブロスターの外国籍選手はJCとレジーのみ。新しくHCに就任した衛藤HCは、彼らの併用をメイン戦術に据え、この難局を乗り越えようとしました。しかし、これもまた上手くいかなったです。

ペイントで力を発揮するレジー。3Pショットを決められるJC。オフェンスではタイプが異なる二人のビッグマンは、スピードと運動量が乏しい点で共通しています。そのため、彼らを併用した場合のディフェンスは、平面的な動きへの対応がどうしても遅れてしまうのです。

それを徹底的に狙われ、数多の3Pショットを高確率で被弾。失点が全くと言っていいほど抑えられず、コピペしたようなブローアウトの敗戦が続きました。

大矢孝太郎と藤岡昂希。今シーズンのロスターには、優れたウィングディフェンダーがいました。ディフェンスで穴となっていたビッグマンは、彼らと組ませながら交互に起用する選択肢もあった筈です。

現に、そうすることで、被3Pショットの確率が大きく抑えられた試合もありました。

第9節vs山形
◎Game1:併用を選択
・失点:97
・被3Pショット成功確率43.8%(14/32)

◎Game2:併用を非選択(JCベンチスタート)
・失点:77
・被3Pショット成功確率30.4%(7/23)

しかし、どんなに3Pショットを被弾しようとも、衛藤HCは何故か併用に戻ってしまうのです。それどころか、シーズン中盤以降は、HCとしての采配もGMとしての編成も、併用にどんどん傾倒していきました。どこか違和感を覚えるほどに。


3.シーズン中盤

3-1:ようやく方針決定

橋爪HC契約解除と衛藤HC就任。これらの効果を特に示せないまま迎えたシーズン中盤となる12月。この頃にはB2の情勢がだいぶ固まっており、残留を争う相手がだいぶ見えてきました。

その一つが、12月10~11日にホームで対戦したバンビシャス奈良です。ここ数年は共に低迷し、『ずっ友』と呼び合う間柄でしたが、降格があるシーズンではそう仲良くもしていられません。もはや存在すら怪しくなっていたアディソンが遂に合流し、戦力アップした状態で迎え撃ちました。

しかし、結果の重要性とは裏腹に、Game1の内容は今シーズンワースト。衛藤HCは、3Pショットに対するディフェンスの甘さをずっと放置してきましたが、それがこの試合で大爆発。奈良に3Pショットを47.5%の高確率で19本も決められてしまい、失点は"110"。リードチェンジ0回の一方的な大惨敗でした。

このまま、空中分解してしまうかもしれない。そう思うくらい、試合直後の選手たちは意気消沈していました。立て直せる術があるとは、全く思えなかったです。

それでも、Game2でコートインしてきた彼らは、雰囲気が前日とまるで別人。この試合で何か大きな変革を起こそうとしているのが、容易にわかりました。

実際に、プレーは前日と比べものにならないくらい、大きく変わりました。特に顕著だったのは、前日ボロボロだったディフェンスの改善です。システム理解度や練度不足はまだまだ残っていたものの、一つ一つの動きに熱さと激しさを加えることで、インテンシティがぐっと上昇。

その結果、失点がGame1よりも大きく減少し、前日のリベンジを達成しました。

衛藤GMがHCに就任してから12試合。おそらくですが、狙った戦い方で狙った結果が出たのは初めてで、これに大きな手応えを感じたのでしょう。試合後には『ディフェンスからバスケをつくる』と宣言。以降は、ディフェンスを重視したスタイルで戦っていくことになりました。


3-2:ようやくロスター完成

『ディフェンスからバスケをつくる』スタイルで戦うことが決まったとはいえ、ディフェンシブレーティングはぶっちぎりの最下位。まずはこれを何とかしなければなりません。

しかし、効果の乏しいゾーンディフェンスに頼るだけで、特に改善策はなかったです。しばらくは、敗戦と停滞感だけがどんどん積もっていきました。

そんな状態を打ち破ってくれたのが、年明け早々にシーズン契約で合流したイシュマエル・レーン(イシュ)です。

イシュは、当たり負けしない強靭な体とハードワークを厭わないメンタリティを併せ持ったビッグマン。相手の外国籍選手を抑え込むのはもちろん、味方へのヘルプやルーズボールの奪取でも多大に貢献。ディフェンスが大きく改善し、『ディフェンスからバスケをつくる』スタイルの土台が出来上がりました。

その後は、状況によってゾーンとマンツーマンを使い分けられるようになったり、相手のピックに対してブリッツを仕掛けられるようになったり、ディフェンスが順調に進化。良いかたちでボールを奪取し、トランジションオフェンスに移行する機会が増えていきました。

そこで輝き始めたのが、縦への高い推進力が特徴のハンドラー、井手優希。ハーフコートオフェンスがメインだったシーズン序盤から中盤は、その特徴を活かせずに燻っていましたが、トランジションオフェンスが増えると、水を得た魚のように躍動。相手のディフェンスを置き去りにするボールプッシュで、多くの得点機会を創出しました。

良いディフェンスが良いオフェンスへ。『ディフェンスからバスケをつくる』スタイルは、イシュと井手が牽引するかたちで日に日に競争力を増し、少しずつですが勝ち星を拾えるようになっていきました。


4.シーズン終盤

4-1:残留ラインがすぐそこに

シーズン終盤に入ると、衛藤HC特有のぶれた采配が目立つようになり、チームが迷走することもありました。ただ、残留争いをしている他チームもそれなりにお付き合いしてくれましたので、大きく離されることはなかったです。

3月11~12日、ゲーム差”3”でちょうど残留ライン上にいる奈良とアウェイで直接対決。声出し観戦を解禁された奈良ファンの大声援が会場を包み込み、非常に苦しい状況での戦いだったのですが、井手、イシュ、アディソンの大活躍があって何とか連勝できました。

これでゲーム差はたったの”1”。さらに、直接対決の勝ち越しが決まったことで、勝敗で並んだ場合の順位決めアドバンテージも獲得。残り13試合、逆転残留の芽がぐっと出てきました。

4-2:敗着の一手

アウェイでの貴重な連勝を遂げた翌日、3月13日はBリーグの選手登録デッドライン。ここで、アスフレから誰もが驚く発表がありました。

◎契約解除
アディソン・スプライル(ハンドラー)
◎シーズン契約
デイヴィッド・サイモン(ビッグマン)

サイモンは、B1での実績があるビッグマン。レジーと同じく走力には難があるものの、レジーを凌駕する得点力を持っています。確かな人気・実力がある選手ですので、表面上は良い補強に見えるでしょう。

ただ、実際にロスターに並べてみると、その印象はがらっと変わります。ハンドラーとビッグマンの入れ替えたことによって、能力はパワーと高さへ、プレーエリアはインサイドへ、ただでさえ偏っていたバランスが一気に振り切れました。

「アディソンの高さ不足が狙われていたから仕方ない」。こんな意見もありました。それは、分からなくもないです。でも、高さ不足に関しては、シーズン途中に韓国籍ビッグマンのイ・ジョンジェ(JJ)を獲得。既に対策が打たれていました。

それに、バスケの勝負は高さだけじゃ決まりませんよね。レジーやJCの走力不足で散々悩まされたように、平面的な動きやスキルも勝つためには必要です。それこそ、ビッグマンにはできなくても、アディソンにはできたプレーがたくさんありました。

案の定、この人事が上手くいくことはなかったです。

アディソンを失ったことで、今やどのチームにもいる外国籍ハンドラーを守れなくなったこと。走力不足のビッグマンが並んだことで、コートを広く使う現代的なオフェンスに対応できなくなったこと。これらによって、少なからず積み上げきたディフェンスは、完全に崩壊しました。

もちろん、悪いことばかりではなかったです。サイモン加入でハーフコートのオフェンスは多少良くなりました。でも、あくまでも多少。ディフェンスの崩壊をカバーできるほどではなかったです。

そのため、奈良戦の連勝を含めて3連勝中だったアスフレは、このデッドラインを境に7連敗。手を伸ばせば届くところにあった残留ラインが、一気に遠のいてしまいました。


4-3:ホーム最終戦

もう負けられない極限の状態に追い込まれたのが良い方向に働いたのか、ここで栗原が突如として覚醒。キャリア通じて入らなかった3Pショットが、謎に高確率で決まるようになりました。

ディフェンス側は、それを抑えるために間を詰めざるを得ないのですが、するとB2屈指のペイントアタックが全く止められなかったです。縦横無尽。栗原がとにかく暴れ回り、連敗をストップ。残留の可能性をギリギリ残して、ホーム最終節の西宮ストークス戦を迎えられました。

Game1。依然として、栗原が好調でした。試合のファーストショットとなるステップバック3Pの成功を布石として、得意のペイントアタックで得点とアシストを量産。勝利に大きく貢献する共に、残留の可能性をGame2へ繋げてくれました。

Game2は、Game1と打って変わって、スタートに失敗。ソフトな入りを西宮に突かれ、一気に11-0のランを喰らいました。ここで衛藤HCは慌ててタイムアウトを取ったのですが、この流れを崩すことはできなかったです。

逆に、3Pショットが好調だったジョーダン・ハミルトンに連続得点を許し、25点ビハインドで前半を終えました。

後半も、西宮の中心はハミルトン。ドライブや3Pショットを織り交ぜ、アウトサイドを起点に攻めてきました。

一方、アスフレはもうお手上げ状態。やはり、3ビッグマンの構成では、ハミルトンを守れる選手がいなかったです。どんどんリードを広げられ、最終的には49点差の大敗。他チームの結果と合わせて、降格が決定してしまいました。

この試合後、ホーム最終戦だったこともあり、選手一人一人からファンへ挨拶。ほとんどのベテランや外国籍選手が、さっぱりとした言葉を送る一方で、中堅以下の選手は雰囲気と言葉がかなり重かったです。特に生え抜きの栗原は、相当な責任を感じているように見えました。

栗原の挨拶(抜粋)
『このチームに来て4年目。毎年、毎年、今年こそはと意気込んでシーズンに臨んでいるのですが、いつもシーズンが終われば悲しい挨拶になってしまい、申し訳なく思っています。』

降格は、サイモン加入後の崩れたチームを見ている内に、覚悟ができてました。だからなのか、実際にそれが決まっても、特に気持ちの下降はなかったです。

でも、特別指定の頃からずっと見てきた思い入れのある選手の「申し訳ない」は、深く深く胸に刺さり、今でもなお後を引いています。

4-4:シーズン最終戦

シーズン最終節は、アウェイで西地区1位の佐賀バルーナーズと対戦。勝ち負けで降格の事実が変わる訳ではありませんが、彼らの最後を見届けたかったので、現地へ向かいました。

Game1。アスフレは、外国籍ハンドラーのレイナルド・ガルシアを中心とした佐賀のオフェンスを、全く止められませんでした。

理由はもう言うまでもないですよね。動けない3ビッグマンの構成を決断した人は、こういった状況をどう乗り越えるつもりだったのでしょうか。改めて、疑問が深まりました。

ただ、最下位チームと西地区1位の対戦です。こういった展開になることは想定内。劣勢を選手やコーチがどうやって跳ね返すのか。そこに、初めから注目していました。

しかし、結論から申しますと、ただただ一方的にやられる展開は、Game2が終わるまで全く変わらなかったです。まぁ、既に降格が決まっていたことで、勝利へのモチベーションを感じられない選手も、複数名いました。何が何 でも勝ちを目指すような状態では、なかったのかもしれません。

「最後の最後がこれか・・・」。がっかりはしましたけど、これが最下位チームの現実でしょうね。ロスターの構成、チームの成熟度、個々の実力、モチベーション、何から何まで相手が上。ワンチャンスすら貰えませんでした。


4-5:終焉

最終成績はこちらです。

・勝敗:14勝46敗(最下位)
・ディフェンシブレーティング:115.7(最下位)
・オフェンシブレーティング:96.5(最下位)

勝敗を如実に表すレーティング。降格が極めて妥当な結果でした。ただ、もう終わってしまったことは、仕方ないです。今後に向けて、何が問題だったかをもう少し考えてみましょう。


5.シーズン総括

5-1:フロントの不手際

降格の要因を考えてみると、一番に浮かぶのは、やっぱりフロントの不手際です。その理由を示すために、人事に関する主な出来事を、時系列に沿ってずらっと並べてみます。

◎8月
・全選手の契約終了
◎9月
・外国籍選手が入国遅れ
・ナッシュ契約解除
・サンプソン短期契約
◎10月
・特になし
◎11月
・橋爪HC契約解除
・衛藤GMが兼任でHC就任
・アディソン契約したが入国できず
・イライジャ契約解除
・サンプソン短期契約満了
・JC短期契約
◎12月
・アディソン合流
・JC短期契約満了
・JD・ウェザースプーン短期契約
◎1月
・JD・ウェザースプーン短期契約満了
・イシュ契約・合流
◎2月
・JJ契約
◎3月
・アディソン契約解除
・サイモン契約
◎4月
特になし

いかがでしょうか。ほぼ毎月、何かしらの入れ替えがありました。これらにより、チームビルディングの遅れ、戦力の欠け、構成の偏り等、現場には様々なしわ寄せが発生。まともに勝負できる状況ではなかったのでしょう。

それでも、ビザ取得での遅れは、仕方のないことです。その影響を受けた編成を、闇雲に非難するつもりはありません。

ただ、『アディソン契約解除&サイモン契約』は、やっぱりおかしくないですか。この人事だけは、他から浮いて見えます。

「ディフェンスからバスケをつくる」

GMを兼任する衛藤HCは、この宣言に沿ってチーム編成と現場の指揮を続けていました。それが上手くいっていたかは別問題ですが、ディフェンスで穴となる走れないビッグマンを追加するのは、これまでの行動と矛盾しています。

しかも、この人事の半月前にあったホームゲームでは、敗戦後のコメントで「良い選手はいる。(勝つためには)あとは僕が彼らの良いところを表現させるだけ」と仰っていました。ビッグマンに限らず誰かを追加することは、この発言ともまた矛盾しています。

う~ん、どうも腑に落ちません。本当に衛藤HCの判断なのでしょうか。GM兼任というのは形式だけで、誰か別の人が主導していたとしか思えません。例えば、山野代表とか。

まぁ、誰がやったにせよ、戦力的(資金的)に上位のチームが時間をかけてチームビルディングをしているのに、戦力的(資金的)に下位のチームが内部でごたごたしていたら、そりゃあ勝負になりませんよ。


5-2:選手へ

選手に関しては、3Pショットの精度が物足りなかったです。B2屈指のシューター鹿野洵生は、3Pショットを40%に迫る高確率で決めてくれたのですが、後に続く選手がいませんでした。

そのため、得点はビッグマンのポストプレーとハンドラーのペイントアタックがメイン。戦う相手からしたら、ペイントだけ固めておけば守れるので、非常に楽だったでしょう。

但し、悪いとはいえ、大体の選手は昨シーズン並の成功確率。つまり、実力通りの結果です。フロントに振り回されて大変だったシーズンでも、しっかりと力を発揮してくれたのには、本当に感謝です。

また、結果的に降格とはなりましたが、ベンチがお通夜状態になることがほとんどなく、皆さんの明るさにファンは救われていました。それもまた、本当に感謝です。ありがとうございました。

これを書いている今は、チームから契約更新の意思を通知する期間。みんな大好きな選手なので、できれば残って欲しいです。

でも、シーズン終了後のコメントを見る限り、このチームに不満を持っている選手は多そうです。フロントが残留を希望しても、残ってもらえないかもしれません。悲しいけど仕方ありません。またどこかのコートでお会いできることを、楽しみにしています。


6.今後に向けて

B3での戦いに向けて、チームに望むことは3点あります。

一つ目。シーズンをフルで戦える状況をつくって下さい。それには、シーズン中に選手が揃っていることはもちろん、シーズン前の準備時間がしっかりと取れていることも重要です。怪我等は仕方ないことですが、フロントのオペレーション次第で回避できる問題は、絶対に起こさないで下さい。

二つ目。中長期の目線を持って下さい。ここ数年のB2は、大資本の参入が相次ぎ、選手契約に充てる資金がどんどん増加。アスフレは、そこに対抗しようと頑張っていますが、完全に付いていけなくなっています。その状態で「人の入れ替え」をしても、他チームよりタレント豊かな選手を獲得するのは不可能です。

古今東西、スポーツのジャンル問わず、貧乏クラブが這い上がる方法は一つ。育成です。もうこれ以上の降格はありません。短期的な結果だけに囚われず、中長期の目線で育成を重視しませんか。というか、『育成型のクラブ』を目指すと言ったのは、山野代表です。何でもかんでも、言いっぱなしにするのは止めて下さい。

最後、3つ目。これが最も重要です。山野代表は、チーム編成から身を引いて下さい。そもそもの話、成績不振が続き、チーム編成の権限をGMに渡すと言ったのは、山野代表です。それなのに、それを舌の根も乾かぬ内に覆し、HCの指名に口を出したのは、絶対におかしいです。

もちろん、チームを良くしたいが故の行動であることは、十分わかっています。でも、そうやっってHCや選手を入れ替えてきた結果が、今の降格です。今シーズンに限らず、現場は筋の通らない編成に、いつも振り回されていました。

改めて、役割を明確にしましょう。山野代表には、地域のバスケサークルをB2の舞台まで引き上げた熱意と行動力があります。ぜひ、それを経営者としての業務で使って下さい。

オンコートはGM、オフコートは山野代表。適材適所のチーム運営を2、3年続ければ、アスフレは見違えるほど強く、魅力があるクラブになれる筈です。

7.御礼

以上が今シーズンの振り返りです。

来シーズン、B3での戦いはどうなりますかね。B3の試合は1,2回しか見たことがないので、よく分からないのが正直なところです。まぁ、そう簡単には勝てないでしょうね。本文中でも書いた通り、短期的な結果にはあまりこだわらず、ここから這い上がるストーリを見ていくつもりです。

最後に、アスフレファンの皆さん、今シーズンは色々とありがとうございました。悲しみ多めの悲喜こもごもの中でも、前向きに応援する皆様に引っ張られるかたちで、最後まで楽しむことができました。

人それぞれ推し方が違いますので、ここでお別れになってしまう人もいるでしょうが、永遠のZFamilyとして今後もお付き合いして頂ければ幸いです。では、アスフレに関わる全員が、健康で楽しくバスケライフを送れることを願って。

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