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アスフレ観戦記『公開練習(23-24季)』

2023年8月21日、アースフレンズ東京Z(アスフレ)の公開練習がありました。今回は、その振り返りです。

1.ファン減った?

公開練習が行われた場所は、蒲田にある某体育館。そこのコートサイドにパイプ椅子が並べられており、ファンは座って見学ができました。

運営スタッフ曰く、ファン側の参加者はだいたい40人。あくまでも体感の比較なのですが、昨シーズンよりも大きく減少した気がします。今回のロスターにはルーキーが多いこともあって、選手推しのファンが例年よりもかなり少ないのかもしれません。

2.ロスターは揃わず

一方、クラブ側の参加は、以下の通りです。未だ合流できていない外国籍選手に加え、井手拓実が体調不良のために急遽の不参加となりました。

クラブ側の参加者
◎オンコートスタッフ
・衛藤晃平(HC)
・梅田智之(AC)
・笠原梨沙(マネージャー)
・髙栁美咲(マネージャー)
・鈴木翔(トレーナー)

◎選手
・請田祐哉(ハンドラー)
・金城知紗(ハンドラー)
・棚橋恒介(ウィング)
・武本祐ルイス(ウィング)
・近藤崚太(ウィング)
・ファイサンバ(ビッグマン)

公開練習でプレーできた選手は6人。体調不良の井手を入れたら、普段は7人。他クラブが外国籍選手を合流させて練習している時期なのに、我々はまだ5対5の練習すらできない状況です。

人数の不足は、マネージャーやトレーナーも含めたチーム全員が汗水垂らしてカバーしていました。しかし、さすがに練習の質までカバーするのは無理があります。一刻も早く、ロスターが揃って練習できることを願うばかりです。

3.選手からの挨拶

さて、状況説明が長くなってしまいましたが、ここからは公開練習の流れに沿ってお話します。

まずは、近藤崚太からファンへ向けた挨拶。その後、ハドルがあって、いよいよ本格的な練習が始まりました。

・近藤の挨拶全文
本日は、お暑い中お集まりいただき、ありがとうございます。折角の機会ですので、チームが今どういう雰囲気で練習をしているのか、楽しんでいって頂けたらと思います。くれぐれも、僕らもそうですが、ファンの皆さんも熱中症に気をつけて下さい。よろしくお願いします。

4.熱すぎる男

最初の練習は、ウォーミングアップ。ボードを使ったタップだったり、ミニハードルを使ったハンドリング練習だったり、ランニングでのパス交換だったり、文字で書いてしまえば至って普通の内容です。

但し、現場での印象は、全くもって普通ではありませんでした。というのも、ACの梅田智之が、外の猛暑をはるかに超える”熱さ”で、チームを盛り上げていたからです。

『○○さん、上手い』
『○○さん、ナイス』
アップのみならず、練習中は選手を褒める梅田ACの声が絶え間なく響き、 体育館は常にポジティブな雰囲気で包まれていました。

それだけでなく、ファンへの気遣いを忘れないのも梅田ACの凄さです。
『○○さんの○○を見て下さい』
『この練習は○○を意図しています』
ともすれば淡々と終わってしまう公開練習ですが、梅田ACがそうやってファンを巻き込んでくれたので、アップすら楽しむことができました。

但し、梅田ACの熱さが際立った一方で、選手の方は全体的にちょっと大人しかったです。いや、正確に言うと、プレーに必要な声は出ているのですが、チームを盛り上げたりするような声が少ない印象でした。

試合中には、コート上に梅田ACはいません。悪い流れが発生したとき、選手だけで乗り越えなければなりません。公開練習では、チームまとめられる選手側のリーダーが不在のように見えました。

5.スイッチ!

アップが終わると、ディフェンス練習へ移行。この日は、特定のケースに応じたチームの動きにフォーカスした内容でした。

・ケース①:ローテーション
オフェンス側は4人。ショットやドリブルはせずに、ペリメーターでパスを回すだけ。一方、ディフェンス側は3人。ボールの動きに合わせ、クローズアウト、ヘルプ、ヘルプのカバー、要するにローテーションの動きを何度も繰り返していました。

練習全体に言えることですが、完成度は、率直に言うとまだまだです。選手間の認識ズレがそれなりに散見され、衛藤HCがけっこう細かく指導するシーンが何度もありました。まぁ、継続性が一切ないロスターですし、ある程度の時間がかかってしまうのは、仕方ないでしょう。

ケース②:ドロップ
ボールの動きに合わせたローテーションを確認した後は、ピック&ロールに対応するディフェンス練習。最初は、王道(?)のドロップでした。

ドロップとは、ボールマンがリムへ向かうのを優先的に阻害する動き。スクリーナーのディフェンスは、ボールマンのドライブに合わせ、リムへずるずると後退します。

この練習では、ピック&ロールに対して、ビッグマンがドロップでディフェンス。そこから、コーナーへボールを捌かれた時のローテーションまで含めた一連の動きを、丁寧に確認していました。

ケース③:スイッチ
昨シーズンのアスフレは、ピック&ロールに対してドロップしか使えませんでした。というのも、ビッグマンのスピード不足が深刻で、動きの速さを求められるショーやスイッチ等を選択できなかったからです。

それを踏まえてか、今シーズンの外国籍選手は、平面的な動きの速さをそれなりに持っています。そのため、ドロップの次は、スクリーンでマークマンを交代するスイッチを練習していました。

ここで、何度も確認されていたのが、スイッチした後の相手ビッグマンへの対応です。

リムへ向かう動き(ダイブ)をされたら、体を強く当てて(バンプ)行動を遅らせること。ポストプレーをされそうになったら、フルフロントと裏のカバーでボールを入れさせないこと。衛藤HCは、この2点を特に強調した指導をしていました。

スイッチは、全ての選手に高さと速さが求められます。これを用いる場合、動き速さに難があるサンバや身長が170cm台のハンドラーは、起用を控えるかもしれません。

そこで注目しているのが、体の強さと器用さを併せ持った棚橋です。ルーキーながら強靭な体を持った棚橋は、スイッチのディフェンス練習でかなりの存在感を発揮していました。廣瀬GMの評価で育成枠のように語られていますが、使えるシチュエーションは多い気がします。

・廣瀬GMによる選手評価
棚橋選手・武本選手はポテンシャルしかない、世界進出のための大型新人です。

6.請田が無双!

かなりの時間を割いたディフェンス練習の後は、皆さんお待ちかねのオフェンスの練習。といっても、かちっとした練習ではなく、3組に分かれたショット対決でした。対決のルールは、以下の通りです。

・二人一組
金城&棚橋
サンバ&ルイス
請田(近藤が練習ストップとなったためため一人)

・勝負の流れ
①一人はリバウンド
 一人は特定の場所からショット
②外れた場合、リバウンダーはオールコートを一往復
 入った場合、リバウンダーはハーフコートを一往復
③リバウンダーとシューターが交代し、①に戻る
これを10本成功するまで繰り返す

1回目:フリースローラインからキャッチ&ショット
勝者は、サンバ&ルイス。全体的に成功率が低く、泥試合の様相を呈しましたが、ビッグマンコンビが薄氷の勝利を掴みました。

2回目:3Pラインからワンドリブルでプルアップジャンパー
さすがに請田を不憫に思ったのか、負傷していた筈の近藤がランだけはすることになりました。それが功を奏したのか、ここから請田の集中力がぐんと上がったのです。安定したショット成功率で、遂に勝者となりました。

3回目:3Pショット
ランだけはしていた近藤ですが、やはり負傷のため離脱。今度は、衛藤HCがランをすることになりました。

すると、チームメイトから請田へ『外すなよ』の声掛け。なるほど、ここはあえて外して衛藤HCを走らせるパターンなのね。と思ったのですが、請田のショット精度は変わらなかったです。結局、外したのは1本のみ。他を圧倒し、3Pショット対決の勝者となりました

今シーズンのハンドラーは、間違いなく井手がNo.1です。それは断言できるのですが、公開練習の前は井手に続く選手が思いつかなかったです。

ただ、このショット精度を見せつけられると、請田に期待せずにはいられません。ジョーカー的に使っても良し。井手と併用でシューター的に使っても良し。ワクワクがかなり高まりました。

7.締め

ショット対決の後は、選手一人ひとりから締めの挨拶です。

本日は暑い中ありがとうございました。お恥ずかしいところをお見せしてしまったのですが(途中から練習に参加できなかったこと)、プレシーズン、天皇杯、開幕もしっかりと戦えるように練習していますので、ぜひとも試合に足を運んで下さい。

本日は暑い中ありがとうございました。僕はルーキーなんですが、見て分かる通り、先輩方は優しくて、チームの雰囲気を良くしてくれます。ゲームでは、厳しさなの中でもそういった雰囲気を見せていければと思っているので、応援よろしくお願いします

はじめまして。棚橋です。10周年という節目ですが、メンバー一新して、よくわからない中でも、新しいものをつくろうと頑張っています。応援よろしくお願いします

本日は暑い中ありがとうございました。ルーキーが多いので、仲の良いチームができてきています。試合で勝てるように応援よろしくお願いします。

みなさん、こんにちは。僕は富山から移籍してきました。年齢はだいぶ上なんですが、ベテランらしく頑張ります。よろしくお願いします

長崎ヴェルカから移籍してきました、背番号78番、沖縄県那覇市出身の金城です。熱い中でも、梅田ACや衛藤HCがエナジーを持って指導してくれています。今は人数少ないですけど、リリースがあった通り、外国籍選手も続々と合流してくると思うので、3週間後のプレでは素晴らしいものをお見せします。

その後、サイン会があり、選手のハイタッチ見送りで退館しました。あっという間の1時間30分。本当に楽しかったです。

8.ポジティブな解体

解体。しかも、継続選手が誰もいない完全な解体。選手への愛着がアスフレ応援の大きな原動力だっただけに、公開練習で見知らぬ選手しかいない現実を見るのは、ちょっと怖かったです。

でも、公開練習を終えた今、もう怖さはありません。完全な解体を100%支持している訳ではありませんが、これはこれで良かったのだと考えを改めました。なぜならば、選手を苦しめていたものが、遂になくなったからです。

昨シーズンの栗原翼。さらにその昨シーズンの久岡幸太郎。解体を毎年繰り返す中でも残った少数の生え抜きは、解体を嘆くファンのためにも過去を背負って奮闘してくれました。

しかし、ただ無策に解体を繰り返すだけのアスフレには、もう数年前からB2で戦えるだけの力がなかったです。残念ながら、その奮闘が、結果に結びつくことはありませんでした。

昨シーズンのホーム最終戦で行われた選手からファンへの挨拶。そこで栗原は、降格だけでなく過去の悪い結果も含め、申し訳ないと言葉を詰まらせながら謝罪しました。この時初めて、過去が彼らに重くのしかかっていたのだと思い知ったのです。

・栗原の挨拶(抜粋)
僕は特別指定もいれて4年目になるのですが、毎年毎年、今年こそはと意気込んでシーズンに臨んでいるのですが、いつもシーズンが終われば悲しい思いをさせてしまい、申し訳ありません。

だからこそ、公開練習で今の選手たちが話した内容に過去のしがらみがなかったのは、どこか安心するものがありました。久岡や栗原には感謝しかありませんが、一部の選手だけが苦しんでまで過去を背負うのは、もうここで終わりにしましょう。

というかね、無策に解体を繰り返し、過去を切り捨ててきたのは山野代表です。それで生じた歪みを久岡や栗原が尻拭いしてくれただけであって、本来ならば、今の選手が過去を気にかける必要はありません。これからは、ただただ楽しんで、新しいものをつくっていって欲しいです。

おそらくですが、衛藤HCも似たような考えを持っています。公開練習の最後の最後、締めとなる挨拶には、昇格や勝敗といった結果の話が一切なかったです。選手たちには余計なプレッシャーを与えず、気持ちよくプレーさせてようとしているのでしょう。

ご無沙汰しております衛藤です。今年は、若い選手が多いです。僕は彼らがこのチームに来て良かったと思ってくれるように精一杯サポートします。暖かく、時には厳しく、見守っていただけると幸いです。

うん、公開練習で心は決まりました。今シーズンは、これまで通り一時の勝敗に囚われず、彼らがつくろうとしている新しい何かに注目して、観戦することにします。

では、新しいアスフレメンの門出を祝して。そして、これまでのアスフレメンに感謝を込めて。
Go Win Z  ! ! !


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