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観戦記~アスフレvs静岡~

このオフシーズン、アースフレンズ東京Z(アスフレ)は、真っ暗闇を歩いていたような東頭体制を完全に解体し、スペイン人のウーゴ・ロペスをヘッドコーチに迎えてリビルドを選択しました。今回は、その初陣となったプレシーズンゲーム「アスフレvs静岡」についてお話します。

◎ウーゴ体制

試合の話をする前に、今季の体制をさらっとおさらいしておきましょう。まずは、メディカルスタッフを除いたコーチングスタッフの紹介から。

●ウーゴ体制
HC:ウーゴ・ロペス(ウーゴ)
AC:ルイス・ロメロ・ホアン・ホセ(ホアンホ)
AC&通訳:水澤 宏介
AT:西村 航
AT:高崎 悠祐
S&C:浅野 卓也
S&C:沼田 幹雄
マネージャー:田村 愛李
●東頭体制(開幕時)
HC:東頭 俊典
AT:高崎 悠祐
S&C:松原 貴弘
フィルムコーディネーター:笹山 和也
マネージャー:中村 仁美

はい、比べてみれば、一目瞭然。ロスターに予算を全振りし、コーチングスタッフを削っていた東頭体制とは異なり、ウーゴ体制では各役割にスタッフをきちんと配置しています。その効果がどれくらいあるかは、なかなかわかりづらい部分ではありますが、プレシーズンゲームではポジティブな変化が生ませそうな兆しを感じられました。そのへんは、後で紹介します。

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次に、ロスターです。

●21-22シーズンロスター
No.1:ホアンゴメス・デ・リアノ(ホアン)
No.2:栗原 翼(翼)
No.3:マーク・バートン(マーク)
No.7:ジョシュア・クロフォード(JC)
No.10:ビリシベ 実会(ビリー)
No.13:坂井 レオ(レオ)
No.14:久岡 幸太郎(久岡)
No.21:増子 匠(増子)
No.22:パット・アンドレー(パット)
No.24:髙木 慎哉(髙木)
No.25:マーク・エディーノエリア(ノエリア)
No.34:宮越 康槙(宮越)

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こちらは、リビルドのチームらしく、若手を中心としたチームになりました。特に注目はハンドラー。チーム史上初となるアジア枠のホアン。昨シーズンに大ブレイクした翼。アメリカのD2で活躍していたマーク。大怪我を負ってはいるが実力は確かな増子。再起を図る久岡。ポジションを争いが熾烈で非常に楽しみだったのですが・・・。

では、試合当日のお話に入ります。

◎試合前

約半年ぶりの試合。高ぶる気持ちとは裏腹に、会場の雰囲気、演出は思っていたよりも質素でした。新体制の船出、もうちょっと派手にくるのかなと予想していたのですが、あくまでもプレ。そのへんも、本番は開幕節みたいです。

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アスフレのホームゲームにおける楽しみの一つといえば、DJ ToshikiのDJプレイ。いかした音楽を聞きながらシュート練習を見るのが至高。この試合も、先々行入場でいち早く音楽とバスケを楽しんでいたところ、ツイッターでがっかりするアナウンスが入ってきました。

ハンドラーのホアン、翼、久岡が欠場。ここには書いていませんが、アキレス腱断裂からリハビリ中の増子もDNP。つまり、注目だったハンドラーが1人しかないない異常事態で、試合に臨むことになってしまったのです。

ハンドラーの状況
・アクティブ:マーク
・コンディション不良:ホアン  翼 久岡
・リハビリ中:増子

では、簡単にではありますが、試合を第1Qから振り返っていきます。

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◎第1Q

スタメン
PG:マーク
SG:髙木
SF:宮越
PF:ノエリア
C:JC

序盤、オフェンスで目立ったのは髙木。ボールを貰ったら躊躇いなく自らのショットを狙う積極性で、ハンドラー不足で停滞するオフェンスを牽引しました。しかし、この男はフリースローが相変わらず下手(※)。3Pショットのフリースローを2本も外しているうちは、何となく素直に褒める気にはなれません。9割入れろとは言いませんが、シューターとしては確率が低すぎるぞ。

(※)髙木のFT成功確率(キャリア):40.6%

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一方、ディフェンス。こちらは、ウーゴHCの個性がしっかりと出ていました。今季のロスターは全体的にスモール。高さの面では、かなり苦戦を強いられることが容易に予想できます。そこをどう対処するのか。試合の見どころの一つでしたが、朧気ながら方針は見えてきました。

相手のビッグマンがペイント付近でボールを持った場合、全体的にディフェンスはかなり収縮。特に、逆サイドの味方は、ゴール下までヘルプに寄っていました。もちろん、キックアウトされるリスクはありますが、そこもローテーションで対応しきるという覚悟を持ったディフェンスは、システマティックで非常に面白かったです。

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得失点に関しては、唯一のハンドラーであるマークが相手にかなり削られたこともあり、マイナスが大きく先行。このチームには、ポストプレイで起点になれる選手は一人もいません。ハンドラーのパフォーマンスが生命線。マークの出来が、そのままチームの出来へ。全体的に悪い流れのまま、1Qは終了してしまいました。

個人的には、ほとんどのハンドラーが欠場した時点で、勝敗に関してはどうでもよくなっていました。が、周りのファンの空気としては「今年もいつものアスフレか」と少しがっかりしたものを感じました。

◎インターバル(1Q~2Q)

チームを支えてくるスポンサー様の紹介がありました。今シーズンもよろしくお願いします。

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◎第2Q

第2Qも悪い流れは変わりません。依然として、マークは相手のフィジカルなディフェンスに苦戦していました。ただ、それは仕方ないです。何度も言いますが、コート上にハンドルできる選手はマークだけ。相手としては、的が絞りやすく、かなり守りやすかったでしょう。そのうえ、マークはチームへの合流が一番遅れた選手でもあります。自身のコンディション調整も、チームの連携面も、イマイチなのは当然です。

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ズルズルと得点差がひらいていき、ブローアウトもあるかと思っていたところ、ベンチで盛んに動く人影がありました。ホアンホACと水澤ACです。ホアンホACはウーゴHCに対して何かを提案するように何度も語りかけ、水澤ACはベンチの選手に対して身振りを交えながらアドバイスを送っていました。

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普通のプロチームなら当たり前の光景。他チームのファンからしたら、目に留まることはまずないでしょう。しかし、東頭体制を基準に考えたら、大きな変化なのです。ロスターに予算を全振りした東頭体制では、作戦検討もコーチングも東頭HCが全て1人でやっていました。でも、当たり前ですが、1人でやれることには限界があります。悪い流れを変えられることはほとんどなく、結果は皆さんのご存知の通り最悪でした。

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そのため、ホアンホACと水澤ACが自発的に動く様子は、本当に頼もしかったです。長い目で見れば、コーチングスタッフが充実していた方が、選手もチームもより良い成長ができるはず。バスケ内容はまだまだでしたが、ポジティブな変化を期待できる光景でした。

さて、13点ビハインドで前半を終えましたが、マークはフル出場。負けているとはいえ、彼がいないとハンドルできる選手がいなくなるため、プレイタイムが長くなるのは仕方ないです。しかし、たかがプレで40分出る必要があるのか。怪我のリスクが少し気になっていました。

◎ハーフタイム

写真はありませんが、今シーズンも川崎にある「焼肉 乃助」様がお食事券を提供してくださり、シュートチャレンジのイベントがありました。ちょっとまだ行けていないので、もう少し子供が大きくなったら、家族で必ず行きます。

◎第3Q

第3Qもちぐはぐなオフェンスは続ていましたが、マークとノエリアが徐々に存在感を発揮。

マークはペイントタッチの機会こそ少なかったですが、持ち味の3Pショットが決まり始めました。クイックで放たれる、ボードを遥かに超える高いアーチの3pは美しく、一度入りだすと止まりません。プレイメイクには苦戦していましたが、コンボガードとしてSG起用すれば、かなり厄介な存在になるでしょう。期待値をあげまくって良いと思います。

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ノエリアはインサイドの選手ですが、上背は決して高くありません。だいたい、アスフレお馴染み村越と同じくらい。ただ、ウィングスパンの長さとアスレチック、そして、ハードワークは試合を通して目立っていました。リムラン、リバウンド、ルーズボール、とにかくサボらず動き回っており、ウーゴHCがスペインリーグ2部から引っ張ってきた理由がよくわかりました。この選手も期待値あげまくって良いと思います。

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この二人の活躍により、アスフレは一気に点差を詰めました。そして、残り2分、少しの余裕ができたから、やっとマークを休ませます。コート上には、ノーハンドラー。ウィングの髙木、ビリー、宮越を同時に起用し何とか乗り切ろうとしていましたが、ドリブルも、プレイメイクもできない選手たちがつくるオフェンスは、はっきり言って酷かったです。でも、個人的には、この2分間がこの試合で最も興奮しました。なぜなら、新しい髙木が見れたからです。

昨シーズンの髙木は、とにかく迷っていました。ショットを慎重に選んで消極的とも見えるプレーをしていたかと思えば、急にエースのように乱発する超積極的なプレーをしたり、かなり不安定。私の中では、心配な選手ツートップの一人でした。ちなみに、もう一人は久岡。

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そんな髙木が、件の2分間、必死にリーダーシップをとろうとしていたのです。誰よりも汗をかき、味方に指示を出して、頑張ってボール運んで、やったことないピック&ロールのボールマンをやり、チームを何とか動かそうともがいていました。ちょっと大人になったかな。贔屓目もあるでしょうが、その必死さの中に責任感・覚悟のようなものが垣間見え、新しい髙木にに出会えた気がして本当に嬉しかったです。

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こうして、何とかノーハンドラーの2分間を乗り切り、差は一桁。心地よい勝負の空気感を肌で感じなから、第4Qに向かいました。

◎第4Q

第4Q開始早々、ウーゴHCはハンドラーのマークを戻し、あくまでも勝つことを優先するという意思を示しました。すると、流れは一気にアスフレへ。ノエリアがインサイドで起点になり、キックアウトでマークの3Pショット。JCとパットが精細を欠いたため、プレイタイムが増えたレオが村越をパワーで押し切ってAnd1。アウトサイドでボールを展開し、宮越の3pショット。3点プレーの連続で、一気に追い付きます。

ここからは一進一退。お互いがディフェンスの強度を上げ、レギュラーシーズンの試合っぽい緊張感あるゲームになりました。結局、最後にはファールでフリースローを献上して負けることにはなりましたが、ハンドラーが大量欠場するイレギュラーな状況で、クラッチタイムに持ち込めたことは、及第点と言えるでしょう。


◎試合後

敗戦後すぐ、色々なところで選手やコーチが次の試合に向けて話し合っていました。これまた、普通のチームなら当たり前でしょうが、東頭体制ではなかなか見られなかった光景です。自発的に行動できる選手やコーチがいる。勝てるかどうかは別として、間違いなく良いチームになるでしょう。

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試合後の挨拶では、ウーゴHCが以下のように試合を振り返りました。

我々は若いチーム。修正すべき点は多いですが、試合は全力を出し切りました。怪我人が多い中でも、良い試合ができたことは選手たちを誇りに思いますし、次からは修正して挑みます。こんな状況で観戦しにきてくれてありがとうございます。今後ともよろしくおねがいします。

昨シーズン、東頭HCは負けて下を向く選手の前で、「外国籍選手が怪我でいないから負けた」と堂々と言い訳をしていました。それとは逆に、ウーゴHCは欠場した選手がいる中でもしっかりと戦った選手を称えました。

もちろん、たかがプレの敗戦と、2シーズン全く結果が出ていない中での敗戦は、全く重みが違います。比べるのは不公平だとはわかっていますが、個人的な好みとしては、ウーゴHCのように選手を守る発言してくれる方が信頼できます。負けないことが一番ですが、負けが続いたとしても、今の姿勢は貫いてほしいです。

ざっくりとですが、試合の流れの振り返りは以上になります。最後に、個々人の評価ついてお話します。

◎選手紹介

No.1:ホアンゴメス・デ・リアノ(ホアン)
プレーを見られなかったのは残念。基本的には、オフェンスのプライオリティでトップに立つ選手なので、期待しておきます。

No.2:栗原 翼(翼)
ウーゴHCの話しぶりから、もしからしたら6thマン起用もあるのかなと思っています。まぁ、やることは変わらんね。とにかくリムへ向かうプレーをしてくれたらOK。

No.3:マーク・バートン(マーク)
フィジカル面で思ったよりもソフトでしたが、まぁ、問題ないでしょう。アスフレのシーズン3P成功記録は西山の114本。これを超える可能性は十分あると思います。

No.7:ジョシュア・クロフォード(JC)
はっきり言います。かなり評価低いです。相手のフィジカルコンタクトにイライラして、プレー中に審判にアピールしたり、プレーの精細を欠いているようでは信頼できません。唯一の純粋なビッグマンがこれでは、かなり心配です。

No.10:ビリシベ 実会(ビリー)
身体能力が高く、リバウンドの高さには、観客から声が漏れていました。昨シーズンまで在籍していた翔くんのように、ハンドルできる外国籍選手に対応できる可能性があるのは、ビリーだけ。スタメンは髙木でしょうが、相手のラインナップによっては相当プレイタイムが増えると思います。

No.13:坂井 レオ(レオ)
今シーズンは、JCと後述するパットが微妙なこともあり、プレイタイムはかなり増えると思います。不器用なタイプですが、泥臭いプレーで確実に貢献してくれるでしょう。あと、相変わらず色気が凄い。

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No.14:久岡 幸太郎(久岡)
久岡に関しては、別途書いています。開幕前に公開するので、ぜひそちらも読んで下さい。めっちゃ長いです。

No.21:増子 匠(増子)
アップに参加できるほど回復してたのは驚きました。年内には確実に復帰できるでしょう。ただ、その判断はとにかく慎重に。膝、アキレス腱、バスケ選手としては最悪な怪我を経験してしまっているので、早さよりも完璧な状態で復帰すること優先してほしいです。増子なら、普通にプレーできれば問題なく活躍できるでしょうから。

No.22:パット・アンドレー(パット)
評価が低いというよりかは、使い方が難しい選手。高さもない。スクリーンも上手くない。シュートも入らない。この試合に限っては、外国籍選手の特別感はありませんでした。ただ、試合前練習では、3Pラインから1mくらい離れた場所からクイックでバンバン決めていたので、3Pシュート能力はかなり高いと思います。ペイントタッチできる翼やホアンが入ったら、スペーシングと3Pで貢献できる・・・かもしれません。現時点で何か評価するのは時期尚早ってことにしておきましょう。あと、電通副社長のお父様によろしく。

No.24:髙木 慎哉(髙木)
ウィングからスタメンは、おそらく1枠。その中で髙木は頭一つ抜けている印象。マーク同様、アスフレのシーズン3P成功数記録の塗替えを期待しましょう。一応確認ですが、今シーズンはその髪型でいくのね?

No.25:マーク・エディーノエリア(ノエリア)
チームの中心。ハドルを促すのは、いつもノエリア。プレーだけではなく、リーダーシップでも期待できます。あと、めっちゃええ声をしとる。

No.34:宮越 康槙(宮越)
初めてプレーを見たのですが、いわゆる3&D。役割として髙木と被るため、プレイタイムを得るには、限られた時間で確実に結果を残す必要があります。プレーにちょっと迷いがあるように見えたので、そこはブレずにやって欲しいです。最後、敗戦を決定づけるファールをしてしまいましたが、あれはしゃーない。次、とめましょう。

その他:演出&Zgirls
ここは、良い意味で不気味でした。いや、本当に最高で文句はないのですが、何か全体的に特別感がないのですよ。ZgirlsのディレクターFukaさんや総合演出兼MCのUmeさんにしては、大人しすぎる気がするのです。特に、Umeさん。私は東京アパッチ時代から見てきましたが、予算があろうがなかろうが、船出は派手に盛り上げるタイプの人。嵐の前の静けさとしか思えませんでした。開幕節は絶対に何かやべーものを仕込んでるばすです。オープニング10分前には着席しておきましょう。

◎最後に

試合開始前、試合中、試合後、コート上のあちこちに、昨シーズンは見られなかった良い兆しが沢山ありました。それらがすぐ結果につながるほど簡単ではないでしょうが、少なくともチームは一体感を持って良い方向に進めていると思います。シーズン色々あるでしょうが、自分の中ではこのチームを見届ける覚悟ができた気がします。

さぁ、いよいよバスケシーズンが始まります。ウーゴ体制の船出を祝って。
Go Win Z ! ! !










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