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東川町の地域通貨HUCは町民の負担になっているのか?

北海道新聞の4月14日の2面(全道版)に東川町が推進している地域通貨東川ユニバーサルカードHUC(フック)のことが取り上げられました。
運営は東川町商工会のHUC運営委員会。
東川町のことが紙面に掲載されるのは嬉しいことですが、ちょっと誤解されそうなところがあったので調べてみました。

HUCの会員数が20万人を超したとのこと。
東川町の人口は8500人強ですから、会員の大多数が町外の方(9割)というのは、全国でも珍しい地域通貨だと言えるでしょう。
その理由としてふるさと納税してくれた寄付者にも一律無償配布していることが挙げられています。

北海道新聞2024年4月14日より
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HUCの利用によって東川町内での買い物が増えて経済効果が上がっている一方で、
この記事の中では
カードの発行にかかる経費が一枚約200円かかり、2023年度は町の負担が1128万円に上る」
「ふるさと納税の寄付者全員にカードを配る必要はあるのか」

と支出面でのデメリットが記されています。

この件について、私に町民から「町税を使ってばら撒くのはけしからん」と問い合わせもあったので行政に事実関係を確認しました。

・分かったこと

・運営母体の東川町商工会はカードの新規発行時に一律200円を発行手数料として徴収している。(カードではなくアプリなら無料)
ふるさと納税には事務手数料が含まれ、そこにカード発行手数料の200円が入っている。
・そこから町は商工会に一枚あたり200円を支払っている。

つまり1枚単価200円分の経費は、町の負担ではなく、実質的に寄付者が負担しているということです。

また
「町はカードを発行する一方でカードの管理・運営には関わっておらず」
「自治体がサポートする枠組みが大事」
とありますが、町から地域おこし協力隊2名を商工会に派遣しています。


・留学生への支援はどうか

もう1点
「留学生に対する月8,000円の生活支援金はカードを通して給付している。」

については
学生に対する奨学金として
・授業料の半額 約40万円/年
・寮費約7万円/月のうち4万円/月
・寮で食事が出ない昼食と週末の3食分の一部補助としてHUC8000ポイント/月を支給している。(=ここが紙面で言う月8000円の生活支援金)

これらの奨学金を含めた運営事業は国の留学生支援制度に基づき、町が支出したお金の約80%を特別交付税として国が町に手当してくれます
ですので丸々8000円/月が町負担ではありません。

手厚い奨学金制度の効果で、東川町の日本語学校は人気があり、定員MAX状態が続いています。(コロナ禍を除き)
全国数多ある日本語学校の中で、「選ばれる学校」になっているのです。
町も選抜で優秀な学生を選ぶことができ、治安の悪化を防ぐことにもつながっています。

なお、奨学金以外に留学生たちが支払う授業料の半分や寮費の残りや教材費などをトータルすると町立日本語学校で5700万円ほどの黒字が出ることになっています。(R5年度予算ベース)
それを元手にせんとぴゅあの維持管理費(光熱費)などに充てています。


HUC運営委員会のご苦労、ご尽力は会員数が増え、売り上げが増えるにつき想像以上のものがあるでしょう。
しかし上に記した通り、町税を無駄に支出しているわけではないので、誤解なきように。
ポイント還元や、宝くじなどで我々利用者のメリットは大きく、東川町のファン、交流人口の増加のためにも一役買っている地域通貨だと思います。
日本語学校については2015年の開校以来9年が経ちますが、運営についての町民の理解は低いと思います。
また改めて、ここで言及しなくてはなと思っています。



※追記 
ふるさと納税してくれた全員にHUCカードを送付してきた経緯がありましたが、今後は希望者のみに限りお送りすることに変更になりました。