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東川町の令和6年度の予算166億円をざっくり解説

3月18日の定例会で令和6年度の東川町一般会計の当初予算は166億3600万円と決まりました。過去最高の予算額です。
予算というのは、その年度にどういう事業をやりますということの総計で、歳入(収入)と歳出(支出)が同額で組み立てられます。
やりたいことがあっても財源(歳入)の目処がなければ、予算に組まれません。
また当初予算であって、その年度内にやることが増えたりすれば補正予算が組まれることになります。



20年で4倍の予算額は166億円に

令和6年度の166億3600万円を前年比較しますと、令和5年度の予算が135億5600万円(政策予算を含めた3号補正後)だったので約30.8億円の増(122.7%)とかなりの増額でした。
その中身については後ほど見るとして、2004年(平成16年)からの20年間の東川町の人口と予算規模の推移を見て見ると、下のグラフと表になります。(飯塚作成)

これを見ると人口(青の折れ線)は右上がりになっていて2022年あたりから少し減少傾向にあり、
予算規模はぐいっと伸びているのが見て取れます。
私が議員になった2019年は88億円でしたので5年間でほぼ倍になってます!

※なお、2023年は町長選挙の年でしたので当初予算は骨格予算となります。
比較対象のために補正後の政策予算で記載しているため、広報ひがしかわ4月号の数字と異なります。

東川町の人口推移と予算規模 青の折れ線が人口推移 緑棒が当初予算額 
※クリックで大きく開きます

20年で1,000人増の町

2004年からの20年間で人口はちょうど1,000人くらいが増えていて(!)、予算規模は約4倍に増えています。
なんという町でしょう。合併や、大きな企業の進出がないのにこの成長度合いは全国随一の自治体でしょう、きっと。
一つ大きな要因として2015年に公立の日本語学校を設立し、現在約500人ほどの留学生などの外国籍の方々が東川町住まわれていることも勘案せねばなりませんが。
それを差し引いたとしても社会増(転入者の増)を主な要因として500人が増えたということになります。


これはもはや2万人規模の市の予算

ちなみに166億円の当初予算というと、人口19,600人の士別市(169億円)とほぼ同額。
人口22,720人の富良野市(153億円)の市よりも多くなります。
近隣町の美瑛町は人口9,300人で113億円。
東神楽町は人口9,800人で79億円となっています。
いかに東川町の予算規模が大きいか分かります。

ただ、予算規模という数字の大小が良いとか悪いの判断にはなりません。
どういう事業を行うのか?財源はどうなっているのか?将来不安はないのか?を見る必要があります。

カントリーエレベーターがR6年度の大きな事業

では令和6年度の大きな事業をちょっとだけ見てみると
主なハード事業では
カントリーエレベーター整備事業 23億7500万円
キトウシの森施設整備事業 2億8700万円
農村体験施設(コープの家)整備事業 8900万円
蒸留所施設整備事業(ジン・ウイスキー) 5億5400万円
産業ツーリズム推進プロジェクト事業(家具製造) 5億7800万円
天人峡地区公園整備事業8億2500万円
幼児センター大規模改修事業 3億円

などとなっています。

特にカントリーエレベーター整備事業の23億7500万円が今年度の増額分の大きなウエイトを占めていることがわかります。
カントリーエレベーターは、第二小学校の横に建設工事中のもので、JA東川の米を乾燥調整、貯蔵出荷する大規模な施設になります。
町で総事業費の約半分を一旦負担しますが、国の有利な財源を有効活用することによって町の実質負担額は5億円になります。

歳出はあるが、国からの補填や基金の積立あり

そのほかの事業についても同様に、起債(借金)をしますが、国の補填を受けられるため町の実質負担は上記の約2割の額であったりします。
(辺地債を使うと、国が特別交付税として8割分を交付してくれる=歳入に)
蒸留所と産業ツーリズムの公設民営の2事業は、請け負う事業者の負担金(=歳入)があるので、町の実質負担はありません。

また、大きなハード事業は計画的に行われていて、かかる費用をあらかじめ基金として積み立てていることから、将来負担はないと説明を受けています。
基金(町の貯金)と公債費(返済金)などの将来負担については、定例会の中で町長に質問しています。
が、長くなるので別項でまた書いていこうと思います。

クリックで大きくなります(広報ひがしかわ4月号より)


あと、主なソフト事業としては
東川町開拓130年記念事業 1500万円
留学生支援事業 5億8200万円
地域おこし協力隊事業 4億9800万円
高校生までの医療費給付事業 5100万円
などがあります。

地域おこし協力隊は98名分の予算措置をしている(!)とのことで、現状の70名ほどでも相当な人数ですが、全国でもダントツのトップだろうと思われます。
事業として約5億円の歳出がありますが、国からの補填があるので、同額以上の歳入になります。

166億円分の歳入あり

歳入の円グラフ
クリックで大きくして見てください(広報ひがしかわ4月号より)


少しだけ歳入を見てみますと、町税収入は9億8100万円でコロナ明けを受け約6000万円の増を見込んでいます。
余談ながら、そのうち4700万円がたばこ税で前年より340万円の増となっています。
全国的に健康上たばこの消費量が減っている中で、東川町では逆に納税額が増えているという逆転現象が。
愛煙家の方々にはせっせと納税していただいて感謝しないといけませんね・・・w

町税を上回る寄付金が大きい

一方で寄付金が14億2300万円です。これは個人版、企業版を含めてのふるさと納税になります。
8600人の我々町民が収めている税収入(9億8100万円)よりも、他の町に暮らす方々、企業からの寄付(14億2300万円)の方が遥かに上回っているという事実です。
これはもうたいへん有難いことです。
それだけ東川町のオリジナルな政策が耳目を引いている証だと言えるでしょう。
アド街ック天国や、所さんの番組など、テレビをはじめとした全国的なメディアに取り上げられた効果であり、町長を筆頭とした行政マンの営業努力が実った成果と言えるでしょう。

これまた余談ながら、東川町の法人町民税のトップクラスで100万円ほどの納税額だそうですが、寄付金では数千万円や1億円以上の寄付をしてくださる企業様もいらっしゃいます。
裏返すと東川町のほとんどが小さな会社や個人経営だということです。

地方交付税は50億円で約2.7億円の増を見込み、全歳入のうちの30%を占めています。
これは国からの手当が大きいということです。
国が勧める重点施策、先ほど触れた地域おこし協力隊の増加分や留学生支援の取り組みなどに寄与しているからです。

とざっくり見てきましたが、166億円の予算ということは、それだけの歳出があり同額の歳入の見込みがあるということです。
町債(借金)についてはまた触れなければなりませんが。
少ない自主財源の中からやりくりして事業展開しているということでもあります。
同時に166億円分の仕事量を抱えるということでもあり、東川町の職員の皆さんの負担が単純計算で前年度より22.7%増えるということですから、心身の健康に留意しながら取り組んでいただきたいと思います。

そして町の事業は全て町民の福祉向上のために行われるので、たくさんの事業がありたくさんの歳入があるということは、東川町民はそれだけ恩恵があるということです。(税金が他町に比べて高いわけではありませんし)
そのはずです。そこはしっかり議員として見届けないといけません。