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アイドル論「アイドルを推す本当の目的は死への不安からの解放」
あなたはアイドルが好きですか?
古来より繰り返される無駄な質問
世の中には特定のアーティストを熱列に応援し、自分の時間・お金・愛情の殆どを捧げることができる稀有な趣味の人達が存在し、ヲタクと呼ばれる。
そんな人に対して必ずされる質問が「目的は何ですか?」
「何がそんなに楽しいの?」という質問に置き換えられることがあるが、楽しさを説明したところで質問者の要求は満たされない。
彼らは実のところ、そこまで推しに対して人生を捧げることができる人間の心理状態と科学的な根拠が知りたいのだ。
やはり「目的は何ですか?」が正しく質問の意図を表現しており、ヲタクはこの質問に正確に答えようとして幾度となく敗北してきた。
今ここで、この質問への解(テンプレート)を提示するので、正しく理解して活用頂きたい。
そうすることで今後は、解答を考えるという無駄な時間を過ごすことなく「推しごと」により集中していって欲しい。
みんな死ぬのが怖い
誰もが無意識に死への不安を感じている。
このような考え方を心理学では「脅威管理理論」と呼ぶ。
全ての人間は無意識に死への不安を感じており、私達が選ぶ行動の多くは、その恐怖を解消するために行われるという説だ。
簡単に言うと、私達の普段何気なくしている行動を選択する基準や、AとBどっちが好きか?といった判断の際に、死への不安がより解消される方を選んでいるということだ。
医者「あなたは病気です。ここに完治する確率が50%の薬Aと51%の薬Bがありますがどちらを飲みますか?」
患者「薬Bです。」
あたりまえだ。
重要なのはもっと無意識の話
死とは全く因果関係の無さそうな何気ない判断や、個人の趣味嗜好でさえ、死への不安をより遠ざける方へ向かうように人間の感情が動いていくということを説明したい。
さらに言えば、私達の全ての選択は「より死なないと感じる方」を選んでいると言っても過言ではない。
原始時代は死への不安など無かった
私達の祖先が狩猟採集によって生活していた時代がある。
そして、今も同じような生活様式で暮らしている人々がいて、その人達は「輪廻転生」を信じており、ストレス社会で暮らす私達と比べると圧倒的に死への不安もメンタル疾患も少ないことが研究で明らかになっている。
死への不安が生み出すストレス障害は現代病だ。
現代を生きる私達は意識的に死への不安について、対策を講じることが必要である。
秒で解決する方法
出家だ。
出家によりすべての欲望から離れることができるため、死への不安は無くなることは原始仏教の教えである。
無理だ。
現代人が日常で実践していく方法としては合理的でない。(多くの人が殺到した場合に寺のキャパシティーを超えるので迷惑だ。)
現代を生きる私達は、狩猟採集民族とブッタが編み出したアイデアをミックスさせ、できる範囲で死への不安を減らしていく方が現実的である。
死への不安を消す現代的対処法
ある感情を体験した回数が多い者ほど、心理的な不安や体内の炎症レベルが低いという事実を発見した研究が存在する。
それが「畏敬の念」だ。
心理学でいう「畏敬」とは、なにか自分の理解を超えるような対象に触れた際にわきあがる、鳥肌が立つような感情である。
例えば私であれば以下のような対象に対して畏敬の念を抱くと思う。(多分)
「極地で目撃する壮大なオーロラ」「オリンピックでの人間の限界を超えた大技や新記録」「新進気鋭なアート」「相対性理論などのグランドセオリー」「美術館で観る絵画や彫刻」「グランドキャニオン」「宇宙」「音楽」
畏敬の念がどうして死への不安を和らげるのだろうか。
私達は畏敬を感じると、自分の小ささを思い知らされ、より大きな存在の一分になったかのような感覚を得る。
自分と外部の境界が曖昧になったかのような独特な意識である。
そんな時、自分の死という大問題でさえ矮小化ができるのではないだろうか。
アイドルに抱く感情は「畏敬の念」だった
上記のような感覚を理解するのは一朝一夕ではいかないと思う。
簡単に考えると「とんでも無く大好きなことに没頭している時に死への不安など感じている暇がありますか?」ってことだ。
畏敬の念を抱く対象は人によって千差万別だ。
それが私にとっては「アイドル」である。
「好き」「愛してる」「尊い」「萌える」「推せる」
好きな対象に対する感情表現には様々な言葉があるが、心理学的には「畏敬の念」をアイドルに対して抱いていると考えることができる。
ヲタクを苦しめる無駄な質問の一つに「恋愛感情はあるのか?」という質問もある。
別にアイドルに恋愛感情を抱いたっていい。
実現するかは知らないが、自分の感情を否定することは相当に苦しいことだ。
その自分の大切な感情に嘘をつく必要はない。(不必要に他人に公開する必要も無いと思う。)
私はアイドルを好きになってから、恋愛感情では説明できないこの感情は何なのかずっと考えていたが、畏敬の念という概念に出会い、初めてしっくりきたのである。
初めてアイドルのコンサートに行った時、目の前で全力で歌って踊るキラキラした彼女達を観た時、私は自分が宇宙にいるような人智を超越した感覚になった。
それは当然「好き」であり「応援したい」ではあるのだが、そんな一般的な感情表現の言葉では、何年間も推し続ける原動力を生み出す無限の感情を説明できない。
当然、非アイドルヲタクの方々にアイドルヲタクが説明する言葉としても不十分なため、これまで幾度となく論争が繰り広げられ一向に収束しなかった。
アイドルに抱く感情、それは「畏敬の念」
私達は死ぬのが怖い、だから無意識のうちにアイドルを推していたのである。
人によってはそれが、大自然だったり美術館だったりする。
まだ、四の五の言う人がいたら逆に美術館に行く目的を説明して欲しい。
死ぬのが怖いから、不安を紛らわす方法が必要なのだ。
これは「自然的超越」と呼ばれ、死への不安を和らげる立派な戦略なのである。
ヲタクをはそれを無意識に実行してきた、幸せに関する上級者なのだと言えるだろう。
アイドル=宗教だった
宗教の世界では古来から意図的に自然的超越を採用してきたことを知り、私は予てからアイドルと宗教が同じだと考えていたことを思い出し確信した。
コンサートが地方で開かれると聞けば会いに行き(祭礼)
好きな子のために給料を使って同じCDを何個も買い(お布施)
尊敬する推しの顔を毎日眺め(祈り)
暇さえあれば同じ曲(経典)を何度も再生し
ファンクラブに入会する(入信)
上記の行動を何の疑いも迷いもなく、毎日、そして何年間も続けている。
これは宗教では?
宗教は悪か?
日本人は基本的に無宗教の人が多く、宗教に対しては懐疑的な人もいるかも知れないが、私は本人が好きでやっているならば合理的な一つの生き方として尊重している。
あなたは友達の家庭が新興宗教にハマっていたら助けようとするか?
新興宗教にハマっている家庭に育つ子どもたちがいる。
本人達は根っこから信じている人も当然いるが、自分は自分の考えがあり(経典の教えの全てに賛同している訳ではない)ながら、そういう環境を受け入れながら大人になっていく子もいる。
新興宗教を信じている人は死ぬのが怖いだけだ。
それは私達もみんな同じだ。
そんな人達を否定したり、差別したり、止めさせようとすることで、その人達の死への不安が軽減されるのだろうか。
そんなことを考えさせられた作品を紹介しておく。
アイドルも宗教も形は違えど根底にあるものは畏敬の念なのだと気づかされた体験だった。
芦田愛菜主演 映画「星の子」2020年公開
「よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話」 (ヤングマガジンコミックス) いしいさや著
自分が理解できない世界観を否定したり自分の世界観を押し付けても何も変わらない。
大切なのは頭で理解できなくてもお互いの違いを尊重して、相手の気持ちに寄り添うことだ。
宮崎駿から学ぼう
映画「もののけ姫」にこんなシーンがある。
モノの君「お前にサンは救えるか」
アシタカ「わからぬ。でも、共に生きることはできる」
他者を自分の思い通りにしたり、救ったりすることはできないけど、寄り添うことはできる。
前提条件の違う人とは完全に理解し合うことは無いのかもしれないけど、お互いを尊重して共に生きることは可能である。
アイドルだろうが何だろうが、好きなものは好きで良いのだ。
アシタカはきっとサンのことが好きだ。
カヤが可愛そうだ。
これがよくある「推し変」だ。
結論(まとめ)
人はみんな死ぬのが怖い
何かで紛らわせていないと病気になるから対処法が必要
その対処法とは畏敬の念の感情をできるだけ多く体験すること
畏敬の念を抱く対象は人によって違うが、一定の人にとってはアイドルだ
実はアイドル好きが理解できない人達も畏敬の念を抱くことはあるのに、ヲタク達を理解出来ないのは、他順にボキャブラリーが無い(畏敬の念を知らない)だけ
ヲタク達は畏敬の念(アイドルを推すこと)により死への不安から解き放たれているためマックス幸せであり、いちいちくだらない質問で時間を奪うのは野暮だ
これから野暮な質問を受けたヲタクは畏敬の念を説明するか、この記事のURLでも送りつけてやれば良い
実践編
友人A「そんなにアイドルにお金をつかって意味あんの?」
ヲタク「人は皆、死への不安に縛られながら生きているのだよ。それを払拭する唯一の方法が畏敬の念であることは研究で明らかになっている。君が美術館に行くように、私達はアイドルの現場に行くんだよ。そうして死への不安から解き放たれた我々は無敵なのだ。フハハハハハハハ・・・・・」
理解して頂けただろうか。
上記を試してみたところ、友人Aが野暮な質問を繰り返すことが無くなったというお墨付きである。
次回は現役中学生のアイドルを推すことに対してロリコンと揶揄する友人にマウントを取る方法を紹介したいと思う。
参考文献
最高の体調 ACTIVE HEALTH(鈴木祐著,クロスメディア・パブリッシング,2018年)
※ 畏敬の念、恐怖管理理論、自然的超越他に対する参考文献
※ アイドルに関する記述は一切ないので注意
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