ティアキンのインタラクティブミュージックの工夫


ティアキンのインタラクティブミュージックしている部分
細かい工夫が多い。
(やっとエンディングまでいけた)

フィールドにあるBGM

まずシンプルなところ

特定の建物や村など、近づくとBGMが流れ始める
離れればBGMが消える。

非常にきれいに変化している。

フィールド上の空間配置とかで、
不都合のないように音楽変化をするための間が用意されている印象。
(テーマのある音楽をもったフィールドを隣接させない、隣接させたとしても少し道のりを用意している←音楽デザイン優先なのか、フィールド設計をみてサウンドデザインできていたのか、たまたま自然にそうなったのか、綿密に打ち合わせてできたのか気になるところ。完成イメージが各パートで共有されていないとうまくいかない)

少し距離があれば、その間にフェードアウトして、環境音のみにしてから、
次の曲にうつることができる。

時間による音楽の変化、井戸中などの音楽の変化
非常に細かい調整がある印象。

音楽とゲームを合わせるのは大変

気が付いてしまうというか職業病というか自分たちでも気にしているところ
音楽の流れで違和感に感じる部分があるとすれば、

  • ユーザーが流れに合わせるのであれば、音楽は綺麗につながる。

  • 意図的に寄り道したり、時間遅延したり(パラセール開いてなかなか進めないとか)、あるいは過度に展開を早めるような行動をすると、音楽は破綻しやすい。

ブレワイとかではあまり感じなかったのだけど、
今回はユーザーによる自由度がさらに高く設計されている感じがしている。
故に音楽のつながりはかなり慎重にデザインされている印象。

音楽的に調性感の少ない音を入れ込むことで、突然の変化がおきても、「そういう演出」 ということができる。
ゲームの音楽は様々だけど、なんとなく現代音楽的なものを感じる。

ブレワイの時からだけど、ピアノソロの音数少ないルバートみたいなの挟んで、まるでピアノ演奏家がゲーム見ながら適当に弾いているみたいな印象だったけど、さらに進めている感じ。

テーマのしっかりした音楽であったとしても、普通じゃやない音の当て方(きわどい)感じで重ねまくるので、 凄い、やばい。(良い意味で)

リズムの複雑さ、コードの複雑さなど、(個人的には目が回りそうな)
緊迫感のあるところは、なんかカオス 

終わりの部分を音と映像演出タイミングが合わさる

たとえば、魔物の群れなどを倒して宝箱がでてくる演出
ブレワイだと、カットインが入って、宝箱にズームして、音楽も綺麗に終わる。
とかよくあったけど、
ティアキンだと、しつこくならないようにしているのか、たまたまなのか、そういう演出が少な目になっている印象。
(ここぞというところにとっておいている感)

状態を表す音楽変化

インタラクティブであるために音数が極端に少ない。状態遷移のためのフェード処理が長めに設定されている印象。

バトル中かそうでないか、 敵を殲滅できたか否か、 バトルフィールドから逃げたのか
バトルの時に入ってくる不穏な音は、長いフェードをかけて消えることが多い。
入りは少ない短い音から入ってきて、何もなければそのパートが消えるだけですませる。

敵と対峙するのであれば、ブラスが入って盛り上がる。
パーカッションも多め。楽器が増えていく。

敵に狙われているかどうかの判定で音楽が変わるのだろうけど、ブレワイと比べて敵がわりと見失いやすい印象。 ので緊迫感は低めなのかもしれない。
代わりに、強敵とかの時はしっかり追従してくる感じ。

フィールドでしつこく音楽が変化しすぎてもマンネリ化してしまうだろうから、よい塩梅なのかもしれない。


個人的に好きなのは馬にのって街道を走っているとピアノでテーマが聞こえてくるのが好き。音楽を聴きたくて、目的なくただ走ってしまうことも。

余白パート


少ない音のパッセージを繰り返すことで、どのタイミングでも次の状態へ遷移できるようになっている部分が多くなった印象。
遷移が急速に進んでしまう場合もあるからかもしれない。

ほぼカットシーン(固定尺)の演出ながら、ユーザーにボタンを押させる場面とか

音楽的な繰り返し感を感じさせない工夫として、ポリリズムやポリループっぽい感じの音が増えていく。

音楽が遷移しなくなるので、うまく合わせたくなってしまう。
また、状態を先に進めたくなる。

(ただいじわるしてなかなか押さないでいるとどうなるかとか、あえて目標地点に向かわない天邪鬼とか、 職業柄デバッグしがち ←たぶん素直なケースを楽しめていない  ←ティアキンはそれもある程度許容している 凄い)

音を重ねていく演出

神殿のようなテーマがあるところでは、段階をおって音楽のパートが増えていく。

これは、なかなかデザインが難しいところ。

盛り上がった部分を聞かせたいけど、あんまり長く何度もループは聞かせたくない。
とか思ってしまう。
→ ユーザーが適切な想定時間でクリアできるかにかかっている。

なんだかあっというまにクリアしてしまうと、もったいないし、
ぜんぜん進めないと、イライラしてしまうかもしれない。
これは音楽をどのタイミングで切り替えるかのデザインの話だけど、
最期の謎解きをあっさりクリアしてしまった時はちょっと損した気持ちにもなるかもしれない。 (何週もすればよいのかもだけど)
ゲームバランスとかも関わってくるので、依存しすぎるとシステム(機械)っぽい感じの演出になってしまうかもしれない。

想定通りの操作が見込めていれば、自然に音楽が盛り上がっていくとかになるのかもしれない。
ここは課題かもしれない。(どこまで許容するか、だれがタイム管理をして、どの時点で作曲を依頼するか、ゲーム調整後に再度修正依頼するのか否か)

モーションに合わせて演奏

楽団員が演奏するときに、演奏音と動きがあっていると、感動してしまいます。
これ実現するの面倒だろうに・・・というか専用でモーションキャプチャーする必要がでてくる←先に楽曲とか構成が決まっていないとできない。

モーションの制御とかも地味に大変だろうに。適切に音を止める、鳴らすを仕込む必要がある。 途中復帰とか。まるで演奏家に話しかけてしまって申し訳ない感じになる。

レコーディングとかのときに、途中からとるときみたいな感じなのがリアルだなぁと。

・・・
あと地味に楽器ごとに距離減衰違うのとか こだわり感じる。
(太鼓が遠くでも聞こえるとか  自然だ)

ゲーム音楽は誤魔化し

映像表現に付随する音楽で、映画とかと違って
時間軸を操作できてしまうのはゲームならでは。
人によっては、すぐ先に進んでしまう人もいれば、
立ち止まってしまう人もいる。

これらを許容するように音楽を流すのはなかなか難しい。
デザインも相当難しい。想定と異なることは開発中に多々発生しうる。

昔の2Dシューティングゲームとかであれば、時間軸は一定
音ゲーとかも時間軸は一定なので、音楽に合わせる演出もできる。

アクションゲームとかで、フィールドを移動して、敵にエンカウントしたり
倒しきるタイミングが人によって違うとかだと、
もし音楽が変化するのだとしたら、違和感ないようにする必要がでてくる。

ゲームに合わせる音楽は、調整が大変

多くの方が携わっているので、何かしらルールを決めて作成していると思われる。
これらを実現していることがとてもすごい。

全ての工夫に気が付けるかどうか

とにかくいろいろ埋め込まれていて
時としておなか一杯になってしまうかもしれない
でもどれが人(ユーザー)にヒットするかわからない

個人的に「みふぁ」「しど」とかのテーマすごいなぁといつも思う。けど、普通には気にせんよなぁ・・・

気づかれなくて良い。  (もっとやって)
変なことしてバグってしまって変な挙動になるのは避ける。(ループとか繋がり部分にノイズとか不自然な遷移が含まれるとか)
そこがクリアできていればよし。 という印象。

なかなかそういうタイトルの開発に巡り合う機会も貴重なので、できるときは全力でやっていきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?