人の思いを超えた神の道

イザヤ55:1-13　
　
主の僕の故なのか、荒廃したイスラエルは回復します。大いなる慰めが次々と繰り出されます。イザヤの呼びかけは、イスラエル国民に向かっています。直接にではありませんが、キリスト者に向けて、そしてまた私たち、この私へも語られていると受け止めてよいだろうと思います。対象は「渇いている者」であり、「金のない者」です。
　
無償で、この水もぶどう酒も乳も、受け取ることができます。無意味な金遣いや無駄な労苦は要らないと言いますが、人がいつもやっているのはそういうことだ、と思い知らされます。主の許へ来るがいい。そこで聞くならば、魂は生きる。ダビデとの契約は失われていないのです。それはもはやイスラエル内に留まりません。諸国民がここへ来るのです。
　
だからイスラエルよ、あなたは後れてはならない。光あるうちに、と言わんばかりに、「見いだすことができるうちに」「近くにおられるうちに」主を尋ね、呼べと言います。今「悪しき者」も、すべてが終わったわけではありません。それを捨てて主に立ち帰るならば、主は赦してくださるのです。生きてさえいれば、可能性はいくらでも遺っています。
　
相手が人間であったら、こうはいかないでしょう。だがこれは、神である主。人間の思いとは異なります。「私の道は、あなたがたの道とは異なる」のです。旧約の神は、厳しい怒りの神である、とよく称されます。けれども、ここに見られるのは、慈しみ深い主ではないでしょうか。その口から出る言葉は、雨や雪のように人を潤し、命を与えます。
　
だから、さあ「喜びをもって出て行」け。「平和のうちに導かれて行」け。神が定めたからには、必ずそうなる。主が人間を喜びの中に引きいれたことは、永遠に、後を追う者たちのための一つの証しとなるでしょう。この輝きが確かにあったこと、主が恵みの約束をし、それを果たしてくださったことが、人の心に刻まれることでしょう。