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あなたがしてくださること

申命記4:32-40 
 
「主こそ神であり、ほかに神はいないことを知って、心に留めておきなさい」(39)、これに尽きます。凡ゆる説明も勧めも、何もかもがここに集約するからです。創世の期から探し訪ねてみるがいい、というように始まるこの箇所は、大きなスケールで世界を見るように仕向けます。大いなることが起こりました。最大の出来事でした。
 
火の中から語られる神が、ほかにあるだろうか。出エジプトをどれほどすごいことか自覚しているか。主が迫ります。その勢いには圧倒されるばかりです。歴史というと、しょせん人間社会の記述であるという視野しかもてません。神の業は、そんな歴史を超えています。この民を、神は選び出しました。あなたがたは、選び出されたのだ、と言います。
 
これまでも、いろいろ辛いことに出合ってきたことでしょう。しかし、それも訓練なのでした。天から神の声が轟き、地上には火が降りて、そこから神の言葉を聞くことになります。モーセの出来事は、モーセ個人だけのものではないでしょう。エジプトから導き出されたという点は、アブラハムやヤコブの出来事よりも、申命記記者には大きなことでした。
 
ヤコブによるイスラエルの成立よりも、あのエジプトからの脱出のほうが、断然重大なのです。カナンの地では、強い民族も、この小さなイスラエルの前に制圧され、散ってゆきます。困難も去るのだ、と教えられます。この地を受け継ぎ、与えられた掟と戒めを守るならば、あなたも子孫も幸せになる。申命記が強調する「幸せ」がここにも示されます。
 
主こそ神である、という一点が、守られなければなりません。ほかに、これほどのことをなす神などないからです。この先に何があるでしょう。「あなたの神、主が生涯にわたってあなたに与える土地で長く生きることができる」(40)という報いが告げられるのですが、イエス・キリスト以降は、これが地上の生涯だけで終わらなくなりました。

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