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子犬のトイレしつけ問題について

子犬を迎えるにあたり、飼い主が真っ先に直面するのがトイレのしつけ問題だ。
ネットではさまざまなしつけ方法が紹介されているが、コトバが通じない犬に相対するには、それなりの忍耐が必要である。
2023年5月13日に当施設にやってきたわが看板犬の場合は、果たしてどうであったか。




まずはトイレ・スポットを設定する

当然のことながら、犬にとっては、初めて肉球を踏み入れる家のどこで排泄すべきかなど知る由もないことだ。
子犬を迎えるにあたり、教科書どおりに屋内の一箇所に『トイレ・スポット』を設定した。スポットの広さは、犬が無理なくクルクルと回れる程度。そこにペットシートを二重に敷き詰め、さらに段ボールで三方を囲ってスポット感を演出した。

…という努力もむなしく、初日からあちこちで排泄を繰り返した。怒っても意味がないので粘り強く掃除するわけだが、これはかなりストレスフルなルーティンだ。
子犬は膀胱が未発達で排泄の頻度も高いから、うかつに目を離せない。屋内を移動するにも、注意深く床をチェックしないと、水たまりに足を突っ込むことになる。


2023年5月15日 当施設に迎えて3日目。このころはまだトイレしつけとの闘い中


初日から数日間は犬を24時間観察する

ほどなく肝要と認識したのが、とにかく犬の行動を観察し続けることだった。
少しでも「そわそわ」とした素振りを感じ取ったらすかさずトイレ・スポットに誘導し、成功したら大げさに褒めちぎる。もちろん空振りばかりだし、失敗もたびたびだが、これを辛抱強く繰り返すうちに、いつしか自ら進んでスポットに赴くようになった。感動もひとしおである。
当犬の場合、初日から4日目にしてどこで排泄すべきかを認識してくれたようだ。これが早いのか遅いのかはわからないが、その4日間、ほとんどの時間を犬の観察に費やすことになり、これはなかなかにして思い出したくない苦行であった。
認識後もたまに失敗することはあったが、それはスポットに前足を突っ込んだだけの放尿(泣)とか、便のキレが悪くて通路に点々と便が転がる(涙)という類のアクシデントである。


2023年5月30日 この時点ではトイレしつけは完了している
一方、なんでもかじってバラバラにしてしまう破壊王に手を焼く


しつけが入ったあとの粗相への対処法

トイレ・スポットを認識した後も、ときに粗相をしでかすときがあった。
犬がコトバをしゃべるわけもないので確証はないが、これはおそらく、何かしらのアピールであると思われる(当犬の場合は)。つまり、一種の抗議行動だ。
実際、ご主人が野良仕事などで家を空け、しばらくほったらかしにされたタイミングで粗相をする。しかも、スポットとはまったく異なる場所で、だ。
こういうときは心が折れそうになるが、それでも怒らずに、黙して粛々と処理するに限る。そして、掃除したあとは、しばらく無視をキメる。犬は、ヒトから無視されるのが一番堪えるからだ。
この繰り返しによって、そのうち抗議行動が逆効果であることを理解したのか、粗相はほぼひと月ほどで沈静化した(あくまで当犬の場合)。


2023年7月12日 月齢5ヶ月強。だいぶ大きくなってきた
敷地内を鉄砲玉のように走る


トイレ・スポットをスムーズに移動するには

トイレ・スポットを認識してくれた犬には申し訳ないが、早々にスポットを移動する必要に迫られた。
急遽造作したトイレ・スポットは、近日中にゲストの食事スペースになるからだ。あいにく、屋内のほかの場所にトイレを設定できるスペースはない。一方、庭は3haもあるということで、今後の排泄は屋外限定でしていただくこととした。
トイレ・スポットの移動にあたり、この時点で犬の排泄のタイミングはほぼ把握できていたので、「そろそろだな」という時間に表に連れ出し、積極的に排泄を促した。もちろん、空振りすることもあったが、そこは粘り強く継続した結果、再指導開始から2ヶ月ほどで屋内のトイレ・スポットを利用することはなくなった。
頻尿な子犬の頃は概ね2時間毎のペースで外に出さなくてはならず、それなりに手を焼いたが、成長とともに頻度は下がり、今日現在でおよそ4時間毎ペースまで落ちていて、状況によっては6時間ほど間隔が空いてもでも大丈夫みたいだ。

屋内でトイレ・スポットを移動する場合は、同様に犬を観察して、「そろそろだな」というタイミングで新スポットに誘導すればうまくいくかもしれない。
*都会暮らしの犬は屋内のみで排泄させることが推奨されているようです


2023年7月25日 抜けた乳歯を確保
このほかにも数本採取したが、ほかのは全部飲み込んじまったのか


子犬のトイレのしつけの要点と飼い主の覚悟


<要点>

  • 広さに余裕のあるトイレ・スポットをわかりやすい場所に用意する

  • 犬を四六時中観察して「そわそわ」したらスポットに誘導する

  • スポットでの排泄に成功したらこれでもかと褒めちぎる

  • ペットシートを取り替える際に少し汚れたものを残しておく(匂いづけ)

  • 粗相しても怒らずに耐えて黙々と掃除する


当主は動物の専門家ではないので、あくまでも個人的な意見となるが、犬には犬種ごとの傾向はあるにしても個体それぞれには個性があるはずで、巷間出回る教科書どおりにしつけしたからといって、それがその犬にとってベストな指導かどうかは謎だ。
当たり前だが、もっとも大切なのは「徹底的に眼前の犬に向き合うこと」。これに尽きる。少なくとも、子犬を迎えようという飼い主は、最低初日から1ヶ月くらいはつきっきりで自分の時間がまったくとれない、…くらいの覚悟が必要なのではなかろうか。


2024年3月28日 月齢14ヶ月弱
成犬になっても基本的な性格はかわらず…


子犬のトイレしつけについての振り返り

現在、当看板犬は月齢15ヶ月。迎えてから約1年となる。いまは、あのころの心労はなんだったのかと思うほど排泄については安泰な日々を過ごしている。
一方で振り返ってみると、「こうしておけばよかったかな」という点もある。
子犬を迎えた初日から基本的にクレートに格納して、飼い主の都合に合わせてフリーにしてやったらどうなっただろうか。犬は自らの寝床では排泄しないともいわれているので、早々にクレートに慣れさせて、クレートに格納されている間は排泄を我慢する習慣をつけるという考え方である。

子犬もヒトの子と一緒で、育て方に「これが正解」というものはない。
繰り返しになるけれど、飼い主は子犬に真摯に向き合って、個々の性格に合わせた適切な指導を心がけたいものだ。



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