酔生夢死 ②
愚かな人達は.一回ポッキリのこの人の身(人生)を.酔っ払ったように生きて.夢見ながら死ねれば本望だと嘯いたりしながら.感覚.感情が主人の如く主観的に振る舞い.そんな愚かな自我を制御すべき理性は下僕の如くその役目を忘れ付き従う…
凡そそんな人達の現実とは.虚妄に囚われ.折角の浅き夢見路を酔生夢死する事となるのです…
酒を飲んでは悪酔いし.悪夢に寝汗をかき.燃え滾る欲望の炎に苛まれるように生き.人の身なればこそ.仏となれるチャンスを逃し.輪廻の激しい流れを繰り返してゆくのです…
いろは歌に詠まれる[酔ひもせず]とは.束の間とも言える折角の人生を.[酔生夢死してしまっては勿体ない]と言う意味でもあり.酔生夢死とは[酔っ払ったように.事実.真実.現実から目を背け.感覚や感情に翻弄され.喜怒哀楽の中を.夢幻を追い求めながら.人格.精神性.境地を高める幸せを疎かにして.次の何かに成り続けるのです…
世の中には成仏を阻む罠が張り巡らされています…
凡そ.パラノイア(妄想的)なカルト.スピリチュアル.荒唐無稽.お花畑.預言.予言.憑依.イタコ.口寄せ.虚言.迷信的新興宗教などは.地獄を天国.極楽だと偽り.フィクションとファンタジーに彩られた一大スペクタル.大乗経典は無明な人々の.感覚や感情に訴えかけ.妄迷な世界へと誘うのです…
愚かな人は.自分にとって耳障りのよい言葉に惹かれ.自分に都合のよい情報は耳に入り.自分に都合のよい概念を造り出して.我欲に従った物事は正しく.我欲を逆か撫でる物事は悪だと思いなす…
そこには真実か.偽りか.現実か虚構(フィクション)かという.冷徹厳駿に物事の本質を見通そうとする客観的な判断は存在しないのです…
【いろはにほへと】
色は匂えど.散りぬるを
我が世.誰ぞ常ならむ
有為の奥山.今日越えて
浅き夢見じ.酔ひもせず…
その出来の素晴らしさから.弘法大師が作られたのではとも言われた[いろは歌]でありますが.これは大乗仏教の[大般涅槃経]の中の[聖行品]に収められた迷信的な雪山童子の物語に出てくる[諸行無常.是生滅法.生滅々已.寂滅為楽]の四句(諸行無常偈)を[いろは]で現したものであり意味あいは[諸々の造られたものは無常であり.生じては滅びるものである…汎ゆる生じては滅するものは.ドゥッカ(苦)な本性のものであり.生じたり滅したりする事から解き放たれる(解脱)ことこそが堅固な安楽である]と説かれています…
いろはにほへと.ちりぬるを(諸行無常)
わがよたれぞ.つねならむ(是生滅法)
うゐのおくやま.けふこえて(生滅々已)
あさきゆめみしえひもせすん(寂滅為楽)
◆解 説
花は爛漫と咲き乱れても一迅の風に散り果ててゆく…
それは花ばかりではなく.古代の栄華を誇った文明もいつしか廃墟となり朽ち果てる…
人間も同じく娘や嫁さんは花のように咲き.嬶(かかあ)と萎んで.婆あと散り行く…
猛きものも遂には滅びてしまう風の前の塵の如き無常なものでしかない…
有為(サンスクリタ)である変化生滅してゆく[因縁により造られたもの]は常ならず移ろいゆく無常な現象に他ならない…
だから折角の人生を酔生夢死(酔っ払ったように真理(真実)でないもの(虚仮)を真実と見間違って.夢のように儚く生きて死んでゆく事)してはならない…
人間存在の本質を見抜くならば.あたら酔生夢死など出来ず.即今当処(今という一瞬)に自分の全存在を映しだして行かねばならないのですから…
明日ありと思う心に惹かされて.
今日も空しく過ごしぬるかな…
色は泡沫の如し…諸行無常
我れと呼ぶ実体は無し…諸法無我
一切は苦により成り立つ…一切皆苦
無明な欲望の寂滅は静逸なり…涅槃寂静
【如来頂乗経】
南無妙法.如来頂乗経 一切万象.因果応報 一切万法.自業自得 衆生.心を清めたもう… 衆生.因縁(悪)を断ち切りたもう… 衆生.無明を晴らしたもう… 衆生.功徳を積みたもう…
一切万象.因果応報
一切万法.自業自得 煩悩に塗れ… 因縁深め… 無明の闇を彷徨いし… 者が行き交う辻こそ.適えたり… 如来.憐れみ.その辻に立つ…
一切万象 因果応報
一切万法 自業自得 輪廻の流れは果てなき流れ… 死して始まるものでなく. 生まれて止みしものでなし…
不生不滅 縁起の法と… 輪廻の流れは一つの流れ… 如来.尊き神通で… 見難く.微妙で.深遠な… 輪廻の流れを見透せり…
諸行無常のこの岸に… 繋ぎ留めたる因縁果… 激しき流転を繰り返す… 如来.憐れみ.その辻に立つ…
煩悩に塗れ…
因縁深め…
無明の闇を彷徨いし…
尊き理法に遵いて…
生命連鎖に軛かされ…
激しき流れを繰り返す…
無明な者を憐れみて…
如来は憐れみ辻に立つ…
道は自ら歩くもの…
道は自ら築くもの…
如来は道を指し示すだけ…
一切万象 因果応報
一切万法 自業自得