毎日マクラ「え」☆襟裳岬☆

※以下は落語の冒頭でお話するマクラです。そこで喋ってる感じの、主観的なトークととらえてください。

ええ、今日は歌うんですけど、大丈夫ですよ(笑)
カラオケにね、行って練習してこようかと思ったんですが、今カラオケはやってないところが多いですからね。密閉してますし、声も出す。マイクを介してコロナに感染するなんてことも言われてるわけです。
私はカラオケ好きなんですけど、もう感染しない使い方が徹底してますね。ひとりで行きますから、まず人と接しないんですよ。あとマイクも使わないです。マイクを使わずに歌うんですよ。大きな声で。オケに負けないように。そうすると声のトレーニングになってる気がするんです。

ひとりカラオケだと、誰かいるときにはちょっと恥ずかしくてできないことができますよね。
モノマネとかしちゃいます。金井克子のダンスとかしちゃって、グルっと回っちゃて。
吉幾三の新日本ハウスの替え歌とか、いいですね。あとは三波春夫先生の『俵星玄蕃』に竹内まりやとか歌います。

極め付きは、やっぱり森進一さんです。
もう、ちゃんとした日本国民なら森進一の歌い方を信用してないじゃないですか。歌番組に森進一が出てきたら、警戒しながら見る習慣が根付いてます。コロッケさんとかの過剰なモノマネの犠牲者だともいえるんですが、ご本人がそれを超えるクオリティを常に更新し続けてるんです。もはや、この世の真理みたいになっちゃってます。宗教画をどんなに誇張して書いても本物の神様の光のほうがスゴいわけですよ。

名曲『襟裳岬』がいいですね。吉田拓郎の作曲で、作詞がフォークのイメージの強い岡本おさみさん。川内康範先生じゃないから森さんも安心して歌えます。
「襟裳の春は何もない春です」って、いいですね。何もないんだ、ってことを高らかに歌い上げちゃう。実際に襟裳岬にこの歌の歌碑があるらしいですが、この歌碑しかないんですよ。

襟裳岬って、北海道のアゴに当たるとこにあるんですけど、風が強いんですって。「風が強い」って「何もない」ことを覆い隠そうとしてる感がもの凄いじゃないですか。

襟裳って言葉、どういう意味かというと、北海道の地名なのでやっぱりアイヌ由来で、エリモはエンルムからきてるといわれてます。エンルム、意味はね、。だそうです。
サハラ砂漠の「サハラ」が「砂漠」って意味なのと一緒ですよ!
サハラみたいに広大なところだったら、ザ・砂漠って感じでサハラって呼んじゃいそうですけど、襟裳もね、岬としか言いようがなかったんでしょうね。何もないってんですから(笑)
だから「ミサキ岬」みたいな名前になっちゃった。それだけ何もないんですよ! 見事に何もない。

ただ風が吹いてるだけなんですよ。はしだのりひこが居そうなくらいです。
風が舞っているだけなんです、ボブ・ディラン的にいえば答えがたくさんあるってことですけど。東大の赤本みたいに(笑)

えーそういうわけで、一席申し上げますが…

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