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ガンダ組へようこそ【グラブル二次創作】

 本noteは王道スマホRPG・グランブルーファンタジー二次創作小説です。各キャラクターの関係性は弊騎空団ののうないせっていに基づいておりますので、貴騎空団とは関係性が異なる点もあるかもしれませんが、気にしないでください

登場人物

(左から)
 団長:ゲームにおける主人公。騎空挺・グランサイファーの長。形から入るタイプ。稽古中はチャイナドレスを着用している。
 ツバサ:今作の主人公。魔法学校・マナリア学園でヤンキーしていたがひょんなことから弊騎空団に留学することになった。ケッタギアという魔導自転車で爆走する暴走族の総長。おばあちゃんっ子。
 ガンダゴウザ:格闘術"古今無双流"の開祖。拳ひとつで不可能を可能にしてきた72歳の大拳豪。その正拳突きは山ひとつを簡単に消し飛ばす
 グレア:可愛い。マナリア学園で知らぬ者のいない"竜姫"。趣味はピアノ。半竜であり、強大な魔力、大きなツノ、尻尾を持つ。
 ルリア:ゲームにおけるヒロイン。雪原を歩く時も森の中を歩くときも常に裸足。

【ガンダ組へようこそ】

「その……突然、なんだけど」

 文武両道、才色兼備。マナリア学園では知らぬ者はいない美少女、"竜姫"グレア。

 そんな学園のアイドルが、なぜかツバサの留学先──グランサイファーに居て、そしてなぜか、甲板で仲間たちとケッタギアの手入れをしていたツバサに声をかけてきた。

 それも──顔を赤らめて。

「明日の朝、甲板にきてくれない……かな?」

 ツバサのリーゼントの先端や、詰襟、胸元──緊張しているのか、グレアの視線は定まらない。顔を赤らめ、上目遣いでもじもじと言葉を続けたグレアを見て、ツバサはしばしフリーズし……やっとの思いで、答えた。

「お……おう」

***

 翌朝。いつもより3時間も早く起きて、いつもの3倍くらいの時間をかけて髪の毛をセットしたツバサは、グレアに言われた通りに甲板へとやってきた。

 そして彼は今、胴着を着た一団の中で正拳突きを繰り返している。

「破ッ! 破ッ! 破ッ破ッ!」
「「「ハッ! ハッ! ハッハッ!」」」

 胴着の一団の中心に居るのは、山脈の如き大男。確かガンダゴウザとかいう名前だったと思う。
 彼が繰り出す正拳突きに合わせて、他の胴着たちも拳を繰り出す。そこにはもちろんグレアがいて、その隣に団長、そしてルリアもいる。

「ハッ! ハッ! ハッハッ!」
「はッ! はッ! はッはッ!」
「はぁ! はぁ! はぁはぁ!」

「……………………は?」

 とりあえず彼らに合わせて正拳突きをしていたツバサは、不意に正気に返った。
 動きを止めたツバサを見て、ガンダゴウザ達が拳を止める。

「む? どうした童」
「どうした、じゃねぇよ! なんでオレが──」

「ご、ごめん、迷惑だったかな……」

 ガンダゴウザに食ってかかるツバサに声を差し込んだのは、他でもないグレアだった。

「その……ツバサくんも、マナリアの生徒でしょ? 前は、ちゃんとお話しできなかったし」
「あー……そうだな」

 相変わらずもじもじと話すグレアに、ツバサはバツの悪そうな顔で相槌を打つ。

 グレアの言う「前」というのは、ツバサが"ツッパり"はじめた頃のことだ。落第学級でグレていた彼らを、生徒会のグレアたちは案じていたのだが──「住む世界が違う」とツバサたちは対話を拒否したのだった。

「それで、その……せっかく同じ騎空挺に居るんだし、お話しできたらな、って……」

「娘っ子が相談してきたのでな、ワシが助言したのである!」

 ガッハッハと笑い、ガンダゴウザが口を挟んできた。

「そういうときは、拳で語り合うのが一番であるとな!」

 ルリアと共にガーッハッハと笑い合うガンダゴウザをジト目で眺めながら、ツバサはグレアに問いかける。

「……おい、この爺さん大丈夫なのか」

「うん。色々教わってるんだ」

 聞くところによると、グレアはグランサイファーの面々と旧知の仲であり、時おり騎空団の仕事を手伝うこともあるらしい。そして、同じく火の力を持つガンダゴウザと共に依頼をこなした際、「お主スジが良いな! ワシらと共に稽古せい!」とガッハッハされ、今は団長共々、定期的に朝稽古を行なっているらしい。

「騎空団のこととか、他の島のこととか……色々と教えてくれて。なんか、お爺ちゃんみたいなんだよね」

「ヘェ……」

 おばあちゃんっ子であるツバサは、グレアの言葉に感心したように頷く。そんな二人の側に、団長が歩み寄ってきた。

「まぁ、若干人とズレてるから、たまに大変な目に遭うんだけどね」

「やっぱそうだよな……ズレてるよなあのヒト……」

「さァて小僧ども、稽古を続けるぞい! あと1000本じゃ!」

 そうして、日が昇りきって他の団員が起きてくるまで、正拳突きは続いた。

***

「ツバサ、こっちだぜ」「ツバサくぅーん」

 仲間(ダチ)──タイガとリンタロウは、一足早く朝食の席にいた。
 ツバサは鉛のように重い体を引きずり、なんとか席につくと、その場に突っ伏した。

「どうだったんスか、デートは」
「どうもこうもねーし……デートでもねーし……疲れた……」
「おいおいグッタリじゃねぇか。ナニやったんだよ」

「あの」

 ギャーギャーと騒ぐ男どもの後ろから、可憐な声がかかる。

「隣……いい?」

 もちろんそれはグレアであった。

「「ど、どうぞー!」」

「なんでおめーらが答えンだよ!」

「ツバサくん! 俺ら席外すから!」
「頑張ってくださいねェツバサくん!」

「いや待てお前らそんなんじゃ──」

 否定するいとまもなく、仲間達は自室へと帰ってしまった。

「…………あいつら……」

「な、なんか……ごめんね?」

「いや、いいよ……オレも飯貰ってくるわ」

 心を落ち着けるため、ツバサは席を立った。

(つづく)

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