見出し画像

「晴れ間が見える」制作日記 1

 ヒーロー物を書きたいと思った。
 その思いは衝動に近くて、勢いのままに仮面ライダーをオマージュした主人公について設定を練っていた。
 設定が先行しすぎたせいだろう。いざ物語を書くにあたって、その作品のメッセージや正義の定義、戦う理由など、後回しにしていたものが壁となって立ちはだかっていた。考えても考えても、いまひとつまとまらない。
 そういうわけで、自分の備忘録も兼ねて制作日記を書くことにした。
 取り留めのない散文であるし、どこかに公開するかも、いつまで続くかもわからないが、一旦書けるところまで書いてみようと思う。

 よくきたな🍑

『碧空戦士アマガサ』制作にあたり考え、書き留めたアレコレが発掘されたので、分割して公開していきます。致命的なネタバレになる部分とかは伏せますので、「採れたてホヤホヤ新鮮で公開!」とはいかないことをご了承ください。

 なお、日記の中で出てくる「晴れ間が見える」という言葉は、碧空戦士アマガサの仮タイトルです。

2018.8.7

 昨日まで、3泊4日で新潟県の十日町エリアに滞在していた。そこで開催されている「大地の芸術祭」を見て回ることが目的だ。東京23区と同じくらいの面積に点在している現代アートたちを、屋内外合わせて100以上見た。

 その間の移動は全て車で、車内では「夏休み子ども科学相談室」を聞いたり、その時見た展示について会話をしたりしていたのだが、やはり全員が沈黙するタイミングというものもある。運転手以外寝ている、とか。私は車を運転しながら、”晴れ間が見える”のことを考え、そしてふと制作日記という形で思考をまとめてみよう、と思い立つに至った。

 というのも、考えてばかりで掴みどころがないというか、結局なんで悩んでるのかがわからなくなってきたからだ。三十路を控えて脳のメモリ・リソースが足りなくなって、短期記憶領域が逼迫しているせいかもしれない。とにかく頭の中のものを吐き出して整理することが必要だと思ったのだ。

 そういう思いつきで制作日記を書き始めたわけだが、とりあえず最たる目的は頭の整理だ。そういうわけで、この作品を書きはじめた動機から整理していきたいと思う。

 とある書籍では、「物語作りにおいては内省が全てのはじまりである」と書かれている。内省し、自己の抱く強い感情を抽出し、それが色々な状況でどうなるかを演繹し、解釈し、テーマに落とし込むものだと。それに倣い、内省のファーストステップとして、過去の振り返りを始めてみる。

「ヒーローものを書きたい」という衝動を抱き、実際に構想を始めたのは2014年半ばまで遡る。その時は「握咲茂夜子のまともな食生活」というタイトルで「ヒーローオタクの人外存在が日本でヒーローになるために来日する」というものを描こうとしていた(こちらもいつか書きたいとは思っている)。

 ちょうど『気になるあいつは怪獣少年』小説版の出版から1年経ち、出版社サイドと簡単な打ち合わせをしていた時で、KADOKAWAの担当さんに試しに話したら思いのほか食いつきが悪くてしょんぼりしたのを覚えている。あれ以来あの人と連絡取ってないなそういえば。

 さて、そんな悲しい思い出はさておき、その「ヒーローオタクの人外存在」が好きなヒーロー、つまり作中劇として構想していたものが”晴れ間が見える”の原型だ。

 仮面ライダーをオマージュするにあたり、「『日曜午前放送の、主力視聴層が子どもである実写作品』という状況ではできないことをやろう」と考えた。そのひとつが「『子供が真似したらどうするんだ』と言われそうなことをやる」というもので、そこから本作の”傘で戦う仮面ライダー”という構想が生まれた。

 ちなみに他にも「予算がかかりそうなことをやる」というものも挙げていて、初期段階では”晴れ間が見える”の舞台は「江戸幕府が倒れずそのまま発展した日本」という設定だったし、主人公の湊斗ははじめ”御門”という名前の将軍付きの護衛だったのだけど、冷静に見返したときに作れる気がしなかったのでボツにした。

 Evernoteの履歴を見るに、その着想からしばらくは『握咲茂夜子』のほうに気を取られていて、本作の制作は全く進まなかった。その他にも、2014年〜2015年は自身のMinecraft実況動画「行商路を作ろう」の世界をベースに小説を書こうとしたりもしていたらしい。

 しかし、2015年というとサラリーマン3年目の頃。仕事に馴染み、そしてプロジェクトが多忙になるにつれ精神的な余裕がなくなり、結局どれも中途半端な状態でエネルギーが切れて、長らく放置されることになってしまったのだった。それからしばらくの間は動画作成(しかも年に2本程度)のみを行なっていた。

 そこから不意にモチベーションが回復したのが、2017年の夏頃のことだ。

 今になって考えると、この唐突なモチベーション回復は”短期間で強制的にたくさんのアウトプットを行なった”ことがきっかけだったように思う。友人の結婚式の動画作成が立て続けに発生したり、友人のリアル脱出ゲーム制作でシナリオを提示したり(これは結局完成はしてないが笑)、白神真志朗with The Creatorsとしての活動が始まったり。

 用水路に瓦礫が詰まって水が流れなくなっていたところに大雨が降り、瓦礫が流されて水流が正常になったような状態。

 不意に復帰した創作へのモチベーションは動画だけでなく小説にも向かい、兼ねてより引っかかっていた”晴れ間が見える”の本格始動へと至った。彼らには本当に感謝している。

 集中力が途絶えたので今日はここまで。初日だからって張り切って書きすぎた。

 明日も引き続き内省を続けることにする。まずは、仮面ライダーである「アマガサ」の設定がどういう流れで生まれたのか、というところから書いていこうと思う。

[前] [目次] [次]

◆宣伝◆
制作本舗ていたらく】では、ていたらくヒーロータイムと銘打ってオリジナルヒーロー小説を多数お届けしております。他にもコラム書いたり記事紹介したり盛りだくさん。新鮮な記事を毎日お届け! しようフォロー!

🍑いただいたドネートはたぶん日本酒に化けます 🍑感想等はお気軽に質問箱にどうぞ!   https://peing.net/ja/tate_ala_arc 🍑なお現物支給も受け付けています。   http://amzn.asia/f1QZoXz