人類のデフォルトは旅 ー 交換様式Aの出自について

ヒト(人類)の祖先がチンパンジー・ボノボの祖先と別れたのは600万~700万年前。現生人類(ホモ・サピエンス)がアフリカに登場したのが10万~20万年前。アフリカを出てグレートジャーニーを始めたのが5~6万年前。で、定住生活を始めたのは、たった1万年前。。

つまりヒトのデフォルトは遊動生活なのです。
何百万年も旅をしてきたのに、ごく最近(1万年前ですが)、何故か(よほどのやむを得ない事情で)旅をやめたのです。「定住革命」ってやつです。

そして、それに伴って、必要に迫られたのが「交換」でした。定住した地域にない必需品は、他の共同体との「交換」で手に入れるしかないからです。
しかし、見知らぬ他者との接触は恐ろしい。価値の尺度も言葉も共有しない他者との交換は難しい。
それでも恐怖や困難を乗り越えて交換に臨まなければならない、、という葛藤の中で、贈与しなければならない・受け取なければばならない・返礼しなければならない...という観念的強迫的な「力」が発生したのです。

それが交換様式A(互酬交換)です。
Aがすっかり後景化してしまった現代社会においても、お歳暮やお中元のやり取り、結婚式のご祝儀と引き出物、葬儀の香典と香典返し...等々のかたちで残存しているわけです。

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