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樋口楓さんのタイムカプセル配信が素晴らしかった話


本当に、素晴らしい配信だった。
でろーんこと樋口楓さんのチャンネルで4/30から行われた、4つの配信だ。
見てない人は、ぜひ続けて最後まで見てほしい。

あらすじを簡単に振り返る

ここからはネタバレ上等で、読者も既に配信を見た前提で感想を書いていく。ただそれはそれとして、簡単に話の内容を振り返っておこうと思う。

「5年後の自分に手紙を送る」というタイムカプセル企画の配信を始めたでろーん。しかし配信終了の画面には、5年後の日付とショートカットの髪型をした誰かのシルエットが映っていた。

次の日の配信に現れたのは、「平成37年」という別世界線の、22歳の樋口楓だった。

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vtuberなんて存在しない世界線で、だから彼女はにじさんじのオーディションに応募することもなく、音楽も劇団もやめて、特に友達に恵まれることもなく、キツいバイトに明け暮れるだけの生活を送る、ただの大学生だった。

自身の空疎な生活を「特に楽しくない」という彼女の姿を知らぬまま、次の日の配信に現れた17歳のでろーんは、ライブの映像や大好きなライバー仲間と笑い合う姿とともに、ビデオレターを「5年後」の彼女に送る。

次の日に現れた22歳の樋口楓は、成功した17歳の自分の姿を見てつい「しんどい」とこぼしてしまう。
しかしビデオレターのメッセージから、配信者でない方法でも自分なりに生きがいを見つけられると気付き、自分も「輝きます」と言い残して配信を終了したのだった。

平成37年の彼女は○○○○○の○か

ここから、僕の率直な感想を綴る。
これはあくまで僕自身の見立てであり、決してこれが正しい解釈だとも、唯一無二の真実だとも言いたいわけではないことは前もって留意してほしい。あくまで、僕個人が得た思いでしかない。

僕がこの配信から想像したのは、バーチャルの世界で人気者の人格を得てしまったリアル世界の魂の姿だった。
バーチャルの自分とリアルの自分、同じ人物ではあるものの、バーチャルの「樋口楓」は架空の自分であり、それを毎日モニター越しに眺めているリアルの自分は、決して人気者ではないただの一般人。
それでもバーチャルの自分やリスナーから勇気をもらえたから、リアル世界でも自分は羽ばたきたい。……そんな意思表明に思えた。
そして、バーチャルな姿を経由してではあるものの、たくさんのリスナーにリアルの自分が勇気をもらえたことに感謝を述べたのではないか。少し風変わりな形で。

「樋口楓」はバーチャルな存在であり、成功者であるのも人気者であるのもバーチャルな話。でも、決してライバーとして人気者にならなくても、みんな一人ひとりの人生があって、やりがいのあることに前向きに頑張ることで得られる幸せが一人ひとりにあって、だからみんな輝けるはず。
リアルの樋口楓はバーチャルの「樋口楓」からそう教えられたのかもしれないし、僕も彼女に、改めてそう教わった気がした。

月ノ美兎と対比される樋口楓の「バーチャル」

この配信、1月に月ノ美兎委員長がやったタイムスリップ配信と若干テイストが共通している。

(この配信について書いた僕のnoteがこちら

敢えて比べるものでもないという気もするが、僕のタイムラインでも2者を対比させている人が多かったし、2人の違いがよく表れているので、自分もここで触れておこうと思う。

委員長の配信では、現れた委員長はライバーになる遥か昔の10歳の姿で、しかしリスナーと会話の中で「月ノ美兎委員長」としての人格の元になるような知識を習得していく、というものだった。つまり、リスナーの声からバーチャルの「月ノ美兎」を獲得する物語だった。

一方でろーんの配信では、リスナーとの会話、あるいはバーチャルの自分とのやりとりを経つつも、22歳の彼女は配信者にはならず、あくまでリアルに回帰していく、というものだった。バーチャルを経由して、リスナーからの声はリアルの彼女に還元されているよ、というメッセージだったのだ。

片やバーチャルの体現者であり、片や2.9次元を標榜し、リアルに寄せていこうとするスタンスの違いが色濃く出ている。
そんな2人が互いを相棒と呼んでいるのも、とても興味深い現象だな、とも思ってしまうのだった。

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