月ノ美兎委員長 2020年新モデル配信の話

さて、新春早々我々はまた彼女にしてやられたわけですが。

配信終了直後から、TLが新モデルを描いたみとあーとで溢れている。気持ちはわかる。衝撃だったもんね。
僕自身、たった30分ちょいの配信だったのに、終わった後は衝撃の大きさにどっと疲れたし、でもずっとモヤモヤとした感情を持て余して、寝床の中でまで色々と考え込まざるを得なかった。

ということで、今から思いつくまま、雑多に感想を書き連ねようと思う。
ここから重度のネタバレを行うので、まだ見てない方はぜひアーカイブを見てほしい。あと、後半はとてもメタな分析を重ねているので、そのへん嫌いな方もブラウザバックしてほしい。



ネタバレ防止で改行しまくる古き良きインターネッツの風習。


配信内容を振り返る

さて、簡単に配信の内容を振り返る。
委員長は事前に、この配信で新規の大人モデルを披露すると予告していた。

配信が始まってみると、委員長はタイムマシンで6年後の未来に行って、大人の自分を連れてくるという。
しかし事故でタイムマシンが暴走。リスナーは6年前、2013年の、どこか空き地?にぽつんと置かれた(どう見ても6年前どころじゃないくらい古い)パソコンの中に飛ばされてしまう。
そのパソコンを、小学3年生、10歳の月ノ美兎(以降、ロリみと と呼ぶ)が覗きに来るのだ。

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現れたロリみとは今の月ノ美兎の特徴をほとんど持っていなかった。雑草こそ小1の頃に食べていたが、一人称は「わたくし」ではなく「わたし」だし、学級委員長は大変だからやりたくないと思っているし、あまつさえ体躯もちんちくりんではなく脚長で、将来長身になると周りから思われていた。
パソコンに映るリスナーのコメントと対話するロリみと。本当も嘘もないまぜのコメントを読みながら、「あてぃし」という、本来彼女のものでない(椎名結華っぽい)一人称を覚えさせられたりする。
その後パソコンの電源が切れてしまい、するとリスナーはタイムスリップ前の現代に引き戻されてしまう。そこにいたのはいつもの月ノ美兎……だったはずだが、たまに一人称が「あてぃし」に変わっていた。

まんまと踊らされたリスナー

あらすじだけ見れば何のことはない、単純なタイムスリップものに見える。
しかしこの配信が光っているのは、すべてリスナーの存在が前提の、リスナーを巻き込む「参加型劇場」だったことだ。
委員長がタイムマシンに乗っていたはずなのに、実際にタイムスリップしたのはリスナー。そして現在の月ノ美兎とは似つかないロリみとが、「わたくし」「にじさんじ」「委員長」といったキーワードをコメントから拾ってしまうことで、あたかもリスナーが現在の月ノ美兎を作り上げてしまったかのような錯覚を覚えさせられてしまった。

まんまとリスナーが踊らされてしまったのは、コメントの数からも推測できる。にじさんじ配信結果報告botのツイートによると、瞬間最高コメント速度は998コメント/分もあったらしい。委員長の配信は元々コメントが多いが、それでも普段の配信ではだいたい500〜600コメント/分なので、普段の倍近いコメントが一度に流れていたことになる。
僕はflow chatという、YouTubeの画面上にコメントをニコニコ動画のように流すプラグインを普段使っているのだけど、昨日はあまりにコメントが爆速で、いわゆる「弾幕」がずっと流れ続ける状態になってしまい、リアルタイム視聴時は機能をオフにせざるを得なかった。

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彼女の手のひらの上で踊らされた感覚が半端ないのである。

「魂を取り戻す」配信との類似性

ここで考えさせられるのは、夏に彼女がやった「魂を取り戻す」配信との類似性だ。
夏の配信は、事故で月ノ美兎の「ガワ」を失い「魂」だけになった彼女が、リスナーに自分が何者かを教えてもらいながら月ノ美兎の姿を取り戻す、という内容だった。
その時の僕の考察は以下のnoteにまとめている。

この配信と通底するのは、我々の知っている、インターネットに存在する「月ノ美兎」像はリスナーが(リスナーも)作り上げているということで。
しかも、内容は今回一段と過激な方向に進んでしまった。夏の配信では「月ノ美兎」とは何か忘れてしまった月ノ美兎が「月ノ美兎」をリスナーに教えてもらって取り戻す、という内容だったが、今回は「月ノ美兎」を月ノ美兎に最初に仕込んだのはリスナー、ということになってしまった。
では、そもそも我々リスナーの知っている「月ノ美兎」はいったいどこから来たのか。今インターネットに漂う偶像「月ノ美兎」とはいったい何なのか。

と思っていたところで、配信後に彼女がこんなツイートをした。

とうとう、俺らリスナーがインターネットになってしまったのだった。

このあとどうなるのか

以降の文章は、「ロリみと」が今後いったいどういう展開をするのか、僕の思うところを書いてみる。ただし委員長、たぶんだけど先の展開あんまり考えてる気がしない(夏の配信も何だかんだ百物語配信が終わった後数日で続きを考えたらしい)し、委員長はエゴサの鬼なので、このnoteを委員長が読んでしまうかも、と考えるのは別に自意識過剰でもないだろう。
予言の自己成就みたいになるのも何か違う気がするので、委員長に読まれてもいい程度のことを当たり障りない程度に記しておく。

Twitterで「よく考えるとただの新モデルお披露目だったんだよね」とツイートしている人を見かけたのだけど、僕はちょっと、そうではないのでは、と思っている。
なぜかと言うと……とてもメタな話をしてしまうが、このロリみと、とても動かしづらいキャラなのだ。

先に書いたとおり、ロリみとは現在の月ノ美兎の特徴をほとんど持っていない、というか真反対のキャラクターだった。理知的で賢そうで、初期の月ノ美兎公式設定よりもよほど優等生だった。逆に言うとこの「ロリみと」、ライバーとしてこのまま活動したら恐ろしくつまらないキャラじゃないかと思うのだ。このキャラ、例えば誰か他のライバーとコラボで絡んで、何か撮れ高を作れるだろうか?
そもそも、こういう優等生キャラをぶっ壊してエンタメの塊みたいにしたのが委員長その人だ。その委員長が今後の配信で、このキャラそのままで活動するとはとても思えないのだ。ロリみとはあくまで「月ノ美兎の過去」としてこそ存在価値があるのであって、にじさんじライバーとして単体で面白いキャラになるかと言うと、違うのではないかと思う。

そう考えると、この新モデルが極めて異色だということがわかる。
過去に年齢変更のセカンドモデルを作ったライバーとしては、森中花咲(大人かざ)、勇気ちひろ(大人ちーちゃん)、静凛(女将しずりん)あたりが思い当たるのだけど、いずれも「幼い」「未成年」というファーストモデルの制約を取っ払って、より活動の幅を広げることが作成の目的だったように思われる。
ロリみとはその真逆だ。小学生になることでむしろ制約は厳しくなった上に、更に動かしづらいキャラ設定を付け加えてしまっている。なので、彼女らと目的はまったく異なっているのではないかと思う。

当初は、配信のエンディングもぶつ切りでリスナーを放り出すようなものだったので、今後なにか続きの企画を仕込むための前フリなのかな、と考えた。しかし今は、もしかするとロリみとの登場は今回限り、あるいは、委員長は先の展開を何も考えてないのではないか、という気もしてきた。

過去にしずりん先輩だったか誰かの配信で、にじさんじライバーは5万円払って新モデルをいちからに発注できる、と言っていた気がする。
1回こっきりのキャラに5万円は高額に思うが、最近の委員長は体験レポート配信や先日のデレステガシャ配信の経費として1度に数万円を投資している。(ガシャ配信に至っては、委員長は手違いで33,000円をいきなりドブに捨てている)
そう考えると、1回の配信に5万円って特別高い金額ではなさそうにも思えるのだ。

(1/8 追記) 今やってるJK組マイクラで先輩がぽろっと漏らしたところによると、十何万するらしい。あやっぱ高いわ。

単発の使い捨てキャラとして、委員長は過去に
・ヘラピン(2018年エイプリルフールで生まれた、普段胸に留めているヘアピンが意思を持ってしまった姿)
・ロング=カントラケッティ(2019年3月「にじさんじ初・彼氏持ちVtuber配信」で生まれた彼氏。配信の最後で委員長に殺される)
・偽ノ美兎(2019年エイプリルフールで生まれた、月ノ美兎風の不気味な着ぐるみに身を包んだリアル世界の何者か)
といったキャラを生み出している。
まぁこういうほとんど手がかかっていないキャラに比べると、ロリみとは明らかに最近のねづみどしママの作風を備えた、しっかり作り込まれたLive2Dモデルで、使い捨てはとてもとてももったいない気がしなくもないのだが……

もっとも、ヘラピンは最近あったマスコッツオーディションに登場未遂だったのでは疑惑があるし(委員長が急用で出演キャンセルしてしまったが)、カンちゃんは最近動画で復活を果たしたし、偽ノ美兎に至ってはよもやの委員長メジャーデビュー告知スポットCMに登場してしまった。ロリみともこういう形で、ある日ふらりと再登場する可能性は大いにありそうだ。

まとめのような何か

この配信の前日、元旦の晩は「NHKバーチャル紅白歌合戦」の副音声で白上フブキと1時間以上マシンガントークを繰り広げ、演者としての才能を大いに発揮した委員長だけど。今回僕らは、委員長のクリエイターとしての側面を強く強く印象づけられたように思う。
そして、これは配信後にTwitterでもつぶやいたのだけど……この人、VTuber/バーチャルライバーとして、1人だけ別のゲームやってませんかね?
バーチャルライバーの中で1人だけ、YouTube Live、生配信の表現の限界に挑戦しようとしているように思う。本当にこの人は他に代えがたい、不世出のバーチャルライバーなのだな、と思わざるを得ない。

新年の最初っからこんな面白いものに付き合わされている我々リスナーは、とても幸福なんだろうなと思う。2020年はきっと楽しい年に違いない。


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